台本 ももとり
だれも居ないような世界での話
男「ここはどこだ、私は誰だ、私は私のことを、知っている
いわゆるしがないサラリーマンというやつだ
金のために働き、悠々自適な趣味のためへと金を投資する
それが私という人間であることは、間違いようもない事実であり
私は、田中一郎というところも
実はその堅実的かつ
どこにでもいそうな名前は、私のような人を確保したい
我が会社の採用理由としての、一員であることは、実はまがいようもない
事実であると、私は以前
人事部長の同席する飲み会で、隣り合わせになった時に知った紛れもない
事実であることを、ここに言わなければならないのは、事実である
しかし、その時の部長の飲みっぷり、いや、食べっぷりには、瞠目すべき点が、あったのも、またまがいようもないまぎれようもない事実として
ここに思案することも可能だ
彼は、開口一番から
他の人間が、泡麦茶を飲むさなか
彼だけは、まがいようもない
その名も麦茶を口にして
そのあとに続く
食べ物から食べ物
さらには食べ物
その勢いたるや
飲み物にまだ余韻を残している言うな居ないような
部下らしきOLのお通しを、部下自らが、伝言ゲームのように
彼のもとへと、招集いや、お伊勢参りいやいや、参勤交代を果たし
かくして、数え、五皿の栃木県産の枝豆が
彼を合わせ六皿、早くも、早くも、並べられたものを
彼は、到着したそばから、手を付ける有様であった
ゆえに、そのせいなのか
彼は、決して、一滴として、酒を飲まず
ただ一心に
「小籠包 天津飯 麻婆豆腐 そして挙句の果てには、皆酔いつぶれたのをいいことにか
高級なふかひれを、三皿注文したところで、私がいまだに、生き残っているのを、目撃し黙視したのであろう、それは、照れ隠しだったのかは知らないが
彼は、私の目を見据えると
その中華料理で脂ぎった舌を、クルリくるくると回すように
私に、朗々と、とうとうと、話し始めた
「やあ、田中君だったかい、楽しんでいるかい」
他の人間はみな、この中華料理屋に古くから伝わるという薬膳酒に、酔いしれ
麻酔薬か睡眠薬を、過剰に摂取されれた
推理小説の被害者のように
息をわずかにひそめ
呼吸低く今にも、冷凍睡眠でも、するんじゃないかという
さんざんたる屍を並べたように、突っ伏しているわけであるが
その中で、やけに、冷徹なその声は、一種人間発電しているような
熱量が、体温のせいか酒のせいか
それとも店の暖房機器のせいなのか
あたりを、ほんわり、ジンワリと、温めているが
その中で、氷を前に、扇風機を、回すような冷めた、冷たさがあるが
火照った体に対しても
それはあまり気持ちの良い物ではなく
寝しなに、布団の中
ぼんやりと、廊下を眺めていると
何か背中に冷たいものがあり
さわるとそれは、何やら粘着質であり
取り出すと・・
と言いうような、幼き日のぼくの夏休みの
服の中に、深夜、ナメクジがいたときのような
恐怖体験を、こんな飲み屋で体験している風体なのである
僕は、何やら聞かれた答えが、独り言や、ものを食べている
噛み音でないことに、気が付き
手尺で、飲んでいたオレンジジュースの手を止めて
黄色いコップを腕に、隣のスーツ姿の
灰色の男に、向き直る
油のひかれた唇は
その血色の悪そうな、顔とは、反比例に、やけに赤く
油のせいか、妙に、てかっていた
「楽しんでいるかい田中君」
とかなんとか何とか言われたが
私は、この人に、余り会った事が無い
のちに、面接のときにあったと言われて、ようやくそれがこの男だと私自身が全く記憶になく
この、よく食べる男は、実は、社員の酒に睡眠薬をもって
好き勝手に、食べ物を食べて、会計もせずに去っていく
この会社に縁もゆかりもない
よくわからない人物の可能性も、無きにしろあらずと考えていたが
名刺をご丁寧にも出された時には
その疑惑も、だいぶ晴れていた
それは、わが社のギンギラリと、光るホログラムというらしいが
見る角度によって、印刷された絵が変わるという
わが社の社員に配られる名刺であったこともあるが
それ以上に、食べるだけの食べに、それほど面倒なことをする食欲に支配された
もしくはそのような不毛な意味の分からないことをするような人間が地球上にいるとは思えず
居たとしても、それは、大学や高校という
頭のおかしい日現実社会の現実ではない非現実区域限定であり
現実には、地球上には、居ないのではないだろうか
もしも、地球外の宇宙か
それとも、別次元だったら、そういう可能性は、決して否定できないが
もし、それらの、現実的可能性を、のぞけば、最後にあるのは、小説などのフィクションであろう
つまり、この血色悪いサラリーマンが、嘘をついてまで行う
そんな高校じみた大人には、到底思えない
いや、そう言う年頃には、見えない
それ相応に、老けているように、年を重ねていると、思った
つまり、そうでは、まったくないのではなかろうかと、
つまり、大人だと私は、そう思い
半ば安心しきっていたのは、まぎれようもない事実であろうと
私は、そう考えていた訳である
つまり、楽しんでいるかいと聞かれてしまった私は
わざわざ犯人が、そんなぼろの出すような危険を、おかすのは
あえて、それゆえに、犯人だと思わないカモフラージュだろうとも、考える間もなく
「ええ、ここのオレンジジュースは桃印を、半分使っていますからと」
朗々と、そのあと三十分ほど話
のちに、意気揚々と、桃印たる話に流れて行ってしまったわけであるが
その途中で、唐突に、私にこう言った
それは、私という人間に、
桃印と言う、ネームに、安心させたのだろう
男は、舌を、滑らせ、活舌よろしく
あかさたなはまやらわと言いかねぬように
口を滑らせて、こう言った
それも、桃印を話の中に取り入れれば
相手が自然と油断していく
まさか、あの会社をこんなにも楽しそうに語る人間が
悪い人間なわけがない
と
そういう、サラリーマンの中で得た
数少ない実地の利益、そして、経験則をも、用いて
彼を、喋らすことに成功した
それが、どういう内容にしろ
私は、オレンジジュースと言うエビを用いて
蛇にしろ何にしろ
何かを、得ようとしているかに思っていた訳なのであろう
その時は
「君は」
男は、そのあと、田中という平凡性、万能性、そして、安心性を
まるで、大手の量産製品でも語るように
それは、会社哲学 サラリーマン詩情 そして、帝王学から、六法全書
まで、脈略無く
幅広く
そして、歴史を絡めつつ
市場の人間の田中性に関する、その意識調査を、踏まえたうえで
さらには、私の下の名前の一郎に関しても
風水、
陰陽五、広辞苑、書道、柔道、合気道を、脈絡なく踏まえながら
しかし、それは、筋を通して、最後には、みな、磁力に、いや、筋書きを通して
そこには、私が、この会社に採用された理由を、良略に、語られていた
そういえば、うちの会社の人間名前は
そう考えたとき
店員が、来て、最終オーダーとなりました
というのを皮切りに今まで起きていたのかは、知らないが
第一部係長が
跳ね起き
そつなくテーブルの片づけを、始めたころには、春先の付くしか獣のように
どこからか、むくむくと、起き上がり
うろうろと、物色し、皿を片付けるもの等々で、帰り支度が済んでしまう
隣の人事部長と言った男は
誰にも負けないスピードで料理を、その胃袋へと収納するさまを
私は、寝ている人間を見ながら観察をしていた
去り際
「うちの会社の人間って、みな、そのような理由で、決められているんですか」
私はそう聞いたが
彼は、片手をあげて、手を振りながら
去っていった
それ以降、それに、お世話になることもなく
一向に、彼を見ないが・・・
どちらにしろ、それは、私の名前を、一番語っ心象風景なのであるが
しかし、そんな現実逃避など、この現状において、現実逃避
それは、学生のような、あの、男の疑惑のように、非現実であり
現実的に、何かをしてくれるわけもなく、ただ、現実を見ないための
それでしかない
私は、目を覚ますと、木を多く使った部屋にいた、それ以前の記憶は、ぼんやりとしたもので、あまり記憶にはない
しかし、問題は、現状である、ここはどこだ
と言う、箇所に、絞られるのではなかろうか
私は、そんな風に、思いを寄せながらも
ぼんやりと、やはり何もない、その部屋を、眺めていたのであるが、どうしようもない
そんな室内に置いて、私は、やはりぼんやりと、考え事を、こねくり回すも
それは、幻想の上塗りなのか
それとも、試案の延長なのか
ただ、窓の外は、明るかったが
窓ガラスは、はめられてなどいなかった
私は、一人いるその部屋が、まるで、一つの世界のように静寂しているにもかかわらず
逆に言えば、それは、宇宙の外に出れない
虫かごの昆虫のような
そのような世界観に基づいているかのように
私は、その木の箱の中で
動くべきかどうかを、思案することが、問題であった
なぜ、私が、外に出ることを、拒絶しているかと言えば
ひとえに、これは、動くべき場所なのかどうか
もしここが、到底そうは思えないが
しかし、大抵、目を覚ますと知らない場所の場合は
病院と、程場が決まっているのだ
そうであれば、もしかすると、私は、ここで入院しているかもしれないが
しかし、もしそうであれば、奇妙なことが、非常に多く、そこには存在している
その一つは、この部屋には、何もない
壁と床と天井
そう、この部屋には、扉が、無いのである
私は、それが、まるで、精神病棟か
何かのようにも感じられたが
しかし、だとすれば、私は、どういう状況をもってここにいるのか
いや、それ以上に、私が、居るこの部屋には、窓が開いている
もし私が出ようと思えば、外に出てしまうことを考えるに、それは、可能性が、そこまで高くはないのではないだろうか
そう思わせるものを、私は感じていたわけである
では、監禁か何かかと言えば
それも分からない
それは、窓が開いていることを含めて考えるに、前のことと以下同文なのではないだろうか
では、なぜ私が、この板のへやにいると言えば
それは、その窓の外が、決して一階などではなく
多分に、二階に相当する、高さだと私には、うかがえた
もしも、これが、単なる何かの勘違いで
私が、表へと、落ちてしまったというのであれば
それは、私の損と言うことに、なりかねない
しかし、そうだとしても、私は、ここにいる以前の記憶を
ぼんやりと、考えていた訳であった。
男2
「しかし、大変なことになった
あの熱弾頭の36倍の威力の原子力爆弾が
あの男のせいで、いや、あの男が、爆発させたのだ
これは、自殺で片付けていい数の被害ではない
ゆえに、行動を、起こさなければならないのだ
しかし、何ということであろうか
今ここにいるのは、私しかいない、しかし
何と言う事であろう
私し以外は、皆巻き込まれてしまった
いや、あれは、あの男の敵討ちと言っても仇討ちと言っても
差支えがなかったのかも知れないが
しかし、大きなことの前に、犠牲は、付き物だ
国も、金を出せばいいのに
こんなことに、出し渋るから
こう言うことになるのだ
しかし、本当に、何と言う事であろうか
私は、天を仰ぎながら考える
何と言う事であろう
しかし、一番の問題点は、何を隠そう、そんな事実は、まったくなかったという点においてだ
しかし、現実は、いや、過去には、それが、爆発していたことになっている
余りにも強大なエネルギーは、時間という概念を、曲げ
実際に、あの場所では、原爆が、爆発したはずだった
いや、そう観測されているし
そうなると、機械も、予測していたはずだった
しかし、その予言だけが、機械のお告げだけが、事実を、告げただけで
そこには、何の変哲もない現実があった
予測率99999パーセントの機械のほんのまずかな
誤差が
寄りにもよって、この一大事に、果たして起きるだろうか
それを予測したら、機械は、間違いを、認めることだろうか
実際には、何も起きてなどいない
しかし、我々科学者は、それは ,実際に、起きたことと、仮定して
それを、非現実の事実日記と、名付けた
もちろん学会などには、発表などしなかったが
しかし、奇妙な点は、他にもあった
過去に、超ド級化学災害と、名づけられた
都道府県一つが、吹き飛ぶような
それ、それは、常識的に考えれば、到底、一つの核燃料廃棄置き場が
爆発したとしても、起こりえるわけがない
しかし、事実とは小説よりも奇なりと
実際にあったという一点張りで、それは現実の事象になってしまった
しかし、私は、前々から不思議に思っていたが
どうも、私の仮説では、これがどういう因果関係かはいまだにまだわからないが
しかしも、どうにも、怪しいと、踏んでいた
と言うのも、今回の爆発がなかった
爆発された現場には
何一つとして、あの設計図に、記されていたような
放射線は、確認ができなかった
しかし、いまだなお、立ち入り禁止区域に指定されている
あの場所で、採取された放射線の種類が
どう考えても、今回、起こらなかったし
なんだったら、忽然と消えた
博士と、そして、其の原子爆弾
の起動した場合の形状が、丁度、ぴったりと、予測されたような、ものに、なっている
その上に、過去地球上で行われたあらゆる原子力実験
水爆も、含め
それ以上の威力を持つ、エネルギーを、放出したものはなく
つまり、これでなければ、おかしいことになる
ただ、不可思議なのは、それは今から三十年ほど前であり
どういう理屈にしても、そんなことが考えられない
もし過去に、人類以前に、そんなことが、起こっていたら別かもしれないが
しかしながら、それは地中深くに埋まっていた訳ではない
ただ、三十年前の工場で、採取されたものだ
過去のものではないのであれば
それは、未来から、過去に、そう、あの爆発の意味は
今、この時代で起こった
あの爆発、観測されなかった
それが、何らかの理由で、時空をゆがめ
過去のあの場所を、爆破地として、代わりに、爆破、してしまったのではなかろうか
だとすれば、やはり、罪深く
そして、非常に、科学的に、舌なめずりしたくなるほどに
興味深い事象である
私は、資料を前に、考える
もし、それが、答えであるとすれば
男
私は、飛んでもない事を、見てしまっている
目の前の、黒い布を、被った人が、私を、助けようと、している人間を、
私は、その光景を、目を覆いたくなるような、感覚の中、凝視していた
私が、呼んでしまった手前
どうしようもない、私は、それを、見ながら考える
何なのだあれは
いきなり、ハンマーを、取り出して、撲殺を、始めた
私は、目を覆いたくなったが
しかし、やはり、背けることもできない
そんな、無意味に近い責任感の中
私は、自らを叱咤するような感覚の中
その草原の中の光景を、思い起こしていた
あの時、呼ぶことさえなければ
そうは思うのであるが、いつの間にか、男は、どこかへと、消えていた
あれは、果たして、男だったのだろうか
いや、あんなひどいことをする人間が、果たして、人間だったのか
私は、居てもたってもいられず
窓枠の木に捕まると、そのまま下へと降りる
そこには、赤い血を流した人間が、倒れていたが
黒いあの男の姿は、そこにはこにこには、見えなかった
どこかへと行ってしまったのだろうか
あたりを見渡しても、そこには、青い原っぱがあるばかりであり
一人、そう、一人になった私は、そこに、ボケーと、突っ立っていた
その時、背後で音がして、私は、あの男だろうかと、振り返ったのである
男2
これら、異例であり異常としか言いようのない事だった
私は、その異様さに、頭を、悩ませていたが
学者であるがゆえに
理論よりも、現実に起こるかどうかを、考えなければいけない
理論が破綻していても実際にそこに存在していさえしてしまえば、それは、証明できるということになる
私は、その驚くべき、データを、前に、理論の構築に躍起になった
少なくとも、それが存在するということは、つまりは、ゴールは示された
後は、その途中を、作るだけである
私は、寝食を忘れたように、没頭した
それは、物理学の応用無視したような
まったく新しい試みだ
しかしこの問題点の一番大きな穴は
それは、この答えを、数字化することではない
この論理が、できたとたん
それが、常識となるほうが、よほど問題なのではないだろうか
私は、そんなことを、考えていると
機会が、ブザーのように
「キロロッパピッピ」と鳴り響いたので、
私は、画面を、覗き込み
ほくそ笑む
やはり、当たっていたか
こういう時、パソコンは役に立つ
なぜなら、常識ではなく、最適を導き出す善意悪意が欠落していることに、他ならない
私は、その理論構成よりも、めんどくさいことを、そこに見出す
さて、あの博士と同じくらいのものを、材料を、どう調達すべきだろうか
そういえば
私は、ある場所へと、電話してみることにした
すると、二つ返事で、協力してくれるという
もちろん、その設計図の提供を、元手にだが
男
何と言う所であろうか
私は、そこに、一人の男を見た
それは、純白の白衣を着こんでおり
私は、すぐさま駆けつける
草で多少青色に変色しているが
他の人たちのように、息をしていないようなことはなさそうである
それが、けがをしていない
つまりは、純白の白衣を、言い表している
私は、ぼっと、それを、眺めていたが
直ぐに勇気を出して、聞いてみることにした
「大丈夫ですか」
男は、こちらをうっすらとした目で見ると、起き上がる
「ここは、地獄か」
住所もないこの場所において、私が何かを言うことはできない
しかし、私に言えることが唯一あるかも同jかもわからない現段階において
私は一言、先ほど、黒い男がいましたが
大丈夫ですか、と、男に聞くが
男は、何のことかわからないという風に
こちらを見ながら
「あなたは誰です、止めに来たんですか」
と聞かれたが、どにも、この謎の返しあい、幾分時間が必要に見受けられたのである
「私は、田中一郎です、あなたと同じかどうかは、分かりませんが、どうにも、ここに来た前後のことが、全く記憶にないのです
あなたにはありますか」
私は、どうせないと思いながら
男に来てみるが、男は、ハッキリとこう言った
「私は、自殺をしたのだ、だから、ここが、病院でもなければ
そうであれば、あの世だとそう思ったのだ
しかし、君の感じだと、そうだともとれるし、ここが全く私が、元居た場所だという感じもする
空気も、有毒性のものでもなさそうだし
感じからして、ここは、日本のようだが、どうであろうか、君は先ほど、黒い人影と言ったが、それは、亡者を、痛めつける鬼という獄卒なのではないか」
鬼、そういわれると急にここが、非現実めいてきた
もしもここが、あの世だとすれば、半ば納得ができるが
しかし、そうとも言い切れないではないか
私はそんな風に思った次第なのである
男は、初老に差し掛かろうとしているが、一人小難しいことを、ぐちぐちと言いながら
あたりを見ているが、それで何がわかるというのだろうか
先ほどの人たちがもし
自分たちと同様に、意味も分からずに、ここにいるとすれば、それは、つまり、あの世という考えが、一瞬よぎらないでもない
しかし、どちらかと言えば、ここに住んでいた村人という考え方だってできるわけでもあり
そうなると、住居が近くにあっても、何らおかしくはないはずだ
しかし、あたりを見るが、そんなものは、遠くのほうにも、私には見えなかった
しかし、目の前の、博士は別らしい
何かを言っていたが、不意に、こちらを向いて、言うのである
「これは、面倒なことに、なった、私は、もう一度、死ななければならない」
私は、せっかく助けてもらった命
いや、たまたま偶然か、
どちらにしても、この老人を救うべきなのであろうか
いや、何をもって救うというべきか
この現状においては、それ以前に、ここが、どこだかを、考える必要性がありそうだ
過去に、雪山で墜落した飛行機の乗組員が
死んだ者の人肉を食べて
人家を探して、山をさまよったと言うような話がある
そうなると、この場合
近くに民家があるのだろうか
もし地獄であれば、そんなものは、ここにはどこを探しても、到底なさそうであろう
例えば、お盆という奇跡があれば、多少は違う可能性が、一部残っているかもしれないわけであるが、それも、世界によるところが、大きい
男2
恨みつらみというものは、非常に不可解なものだ
それは、現世利益的なものであろうか
それとも、心的ものだろうか、それもチープなものではない
深層心理のような、人間芯の根本のようなものである
科学者というものは、実に、理論に支配されなければならない
なぜならば、それは、とんでもない直感を支持することは、到底できないが
しかし、凡人を、量産することには、良く向いている
残念ながら、生産という世界経済を回す歯車には、個性というものは、まじりっけが多すぎて、使えないと、国は見ているようなものだが
それも、半世紀前の敗戦教育のたまものがいまだに怨霊となり
残っているに過ぎない古臭いパソコンのような気持ちもしないではない
しかし、その新しく不具の多い感情論を前に
殺人増加、交通事故多発自殺者の増加、孤独死、病弱体質、病人増加を、語っても意味はないかもしれない
なぜなれば、ダウインのような、進化論を、唱えるのであれば、環境が、生物を、淘汰するだけで、生物に、生きる権利は与えられていないと言う事になる
つまりは、自殺者というものは、国が、必要としない人間たちだという論法が、成り立つ
つまりは、この国にとサつされたいけにえということになるが
しかし、それに、見合う成果を、得られているとは、到底思えない
果たして、そのいけにえで、台風や、地震、病を、しり除けようとしているのだろうか
そこにあるのは、単なる、便利さと、自己都合の個別主義に、相違ないのではなかろうか
どちらにしても、考えとは、経験において、あまり意味のない事が多い
いくら物事が進化しようとも、それを万人が受け入れるには、それはあまりにも下劣なにおいのするものである
科学万能主義が破れて、幾年
果たして、そのさなかでありながら
私は今、赤く照っている
このボタンを押そうとしている
あたりには、緊急のブザーが鳴り響き
このまま押さなければ・・・
私は、自分の前を進んでいったであろう
あの人間のことを考えた
きっと時間が巻き戻った押しても、それは、このアメーバのような選択主義の世の中で
きっと、あまり意味の持たない
どうでもいい
知りえない世界から見た常識的な一部分を脱出できてなどいないのではなかろうか
赤いブザーが、鳴り響き
鉄の扉が、何かによって、壊されるような音が、鉄の響きの中「かんかん」と猛烈な勢いを、あたりにふりまわし、まるで、鐘堂の中の鐘に、入っているような気分を、私は、彷彿とさせるわけである
「もう、押してしまおうか」
私は、まるで、プレゼントの包みでも、開くように、そのボタンを覆う
ガラスを開くと
軽く、簡単に、指に力を籠める
次の瞬間、とんでもない、エネルギーが、あたりに、飛び散った
そう、計算上は、認識することはできる
今体験することになるが
男
男は、実に奇妙な話をした
なんでも、ここは、過去の可能性があり
自分は、未来から来たというのだ
実に意味がよくわからない
しかも、その理由というものが、実に、自己中心的としか言いようがなく
救いようのない大量殺人者だ
しかし、そこで、行おうとしていることは、
聞けば確かに、それほどまでの、緊迫を持った理由に思えた
ただ、仇討ちの時代でさこんな対等交換も法も存在はしまい
私は、ぼんやりと、嘘なのか現実なのか
そんなことを言っている、白衣の老人を、見つめていた
その横には、先ほど亡くなった人間が寝ている
土をかけるべきなのだろうか
あの木のログハウスのようなものは
どうやら、下から見ると
ネズミ返しのように、ツリーハウスと、なっており
私は、これが、真剣に、夢の可能性も、思案し始めていたわけである
「しかし、あなたは、仇討ちは、失敗したといったが」
私がそう老人に、言おうとすると、彼は、首を振った
いや、それはもういいんだ」
目の前の死体を、見たせいだろうか
老人は、そういうと、そばに置かれていた、いや、もともとそこに、留まったとでもいうべきか、草原の石を、見て、そこに、向かうと、腰を落ち着けたのであった
男2
私は、ため息をついた
どうやら、実験は、失敗したらしい
向こうに行った私の体は、意識は、何者かによって、殺されてしまったらしい
いや、実験自体が、失敗し、私という存在は、あの爆風か
何かのせいで、ばらばらに、消し飛ばされた可能性だって決して捨てきれはしないのであるが
私は、一人考えを、巡らせる
これを、読んでいるということはつまり
私に取り付けられた、心音が、途切れたことを、意味する
他の小さな生物で実験もしてみたが
一応の成功はみせていた
つまり、私という大きな生物の場合は、まだわからなかったが
どちらにしても、死んでしまったようだ
ここには、私が行おうとしていた、いや、実験と設計図だけを乗せる
これを乗せるということは、きっと、過去のあの博士の行動を、すべてなかったことにしてしまうだろう
つまりは、この実験も、無かったことになる
いつか、誰かが、発見するかもしれないし
まったく別の行動により、まったく別みちで、それ以上の行動を、示すかもしれない
どちらにしても、私は、この実験を、ここに残さなければならない
それが、科学というものだからかも知れない
男
私は、目の前で、捕らえられる男を見ていた
男は、何やら、泣き叫びながら叫び吠えて言えた
何を言っているのか
周りの人間は、一体だれなのか
しかし、それはきっと、この男が恨んでいた人間たちに違いない
私は助けることもできず、茫然としていてもよかったが
しかし、どうしようもない、私は、あの人に、助けられたのかもしれない
私は、その多人数の中へと、足を進めた
誰かが、私の肩を、刺したようだ
ひどく痛く熱い
私は、それでも、何か興奮状態だったのか
それを、押し開くように取り出すと、相手へと、とびかかった
博士の怒号、きっとこの世は
私は、目が赤くなるをの感じたが
不意に、背後が、黒く、見え始めた
きっと、目の神経が、やられたに違いない
私の意志は、博士の怒号が、途切れるまで、続いていた
翻訳
この話は、とんでもない憎しみを抱えた
博士が、原爆の三十六倍というものを、爆発させたが
しかし、それは、空間をゆがめ
過去の大爆発となり
そして、博士自身が
まったく別の何かの存在へとなってしまった
過去の爆発を、不審に持った人物が調べてみると
未来の一時期に存在する
一つの実験が浮き彫りになる
それをおいもとめ、もう一度実験を行うと
同じ場所へと言ってしまう
サラリーマンは、たまたま居合わせただけであり




