モフモフは最高である
私はスズメである。野良スズメなので、名前はないわ。
それにしても最近は、寒い。もう冬。
でも大丈夫。
私の毛はモフモフのダウンコートになるからね。空気を溜め込める事が出来てあったかい。
うん、モフモフであたたかくて最高!
これは神様の贈り物。私を造ってくださった神様が、冬でも寒くないように設計してくれてるのよ。こんなスズメ一匹も、こんなに良くしてくれる神様ってすごいわ!
そんな事を思いながら町の方へ飛び、人の姿を見てみた。
人もダウンコートを着て温かそう。だけど、多くの人は、マスクをして、スマートフォンに釘付けになり、目が死んでいる。
おかしいわ。私のような小さなスズメ一匹もよりも、人はずっと高価なのに。人は神様の似せて造られているから。でも、なんだか全員不幸そう。
例えばあの高校生の女の子は、ネットのインフルエンサーや同級生と比較して、自分は価値がないと思っている。
あのスーツ姿の男の子もそう。就活に失敗し、この世の終わりのような顔をしてる。
子供を連れた若いママ。あのママも夫に不倫をされ、「結婚なんてするんじゃなかった、ワンオペ育児もつらい」と嘆いている。
あのお爺さんは、定年退職後、燃え尽きて生きる意味も失っている。
あのお婆さんも「自分が絶対正しい」と思い、マスクをしていない人を取り締まっている。
どうして、こうなっちゃったんだろう?
早く神様について気づいて欲しいけれど、無理矢理そうは出来ない。人は自由意思もあるからね。あと、罪もある。罪を誘惑する悪魔もいる。人は、こっちを神様だと勘違いしちゃってる状態なんだよね。これが神様と和解できてない事。
私は空から公園に降り立ち、枯れ葉の上で遊んでいた。人の事なんて考えていると、本当に憂鬱になっちゃう。
ふと、遊んでいる私をずっと見ている人がいた。さっき見た女子高生だ。スマートフォンをカバンに入れ、珍しく現実世界に集中していた。
「おかしいな。なんで、冬になるとスズメってこんなにモフモフになるの? まるで神業じゃない?」
おしい、あと一歩よ。
でもそこまで気づいたのなら、希望がある。私は突然変異して偶然モフモフしてるわけじゃないないからね? 「あなたの造り主をおぼえよ」と叫びたくなる。
「本当におかしいな。こんな偶然、モフモフしたりする?」
希望はある。そこまで自力で気づけたなら上出来かもしれない。
「しかし、モフモフなスズメ可愛い」
でしょ?
これも神様の愛なのよ。私達、小さなスズメ一匹でも寒くならないように、モフモフに設計してくれてるの。
誇らしげにモフモフボディを見せたい気分だった。




