心の罪も神はさばく
もうボランティアなんてしたくないかも。
正直そう思う。冴子は主婦業の傍ら、子供食堂でボランティア活動もしていた。
最初は、ボランティア活動も楽しかった。貧困の子供が笑顔になると嬉しい。一緒に活動をしている友達も嬉しそうだった。
しかし、最近は楽しくない。大人で食い逃げしていくものもいるし、子供でも嘘をついて余計に弁当を貰おうするものもいた。いわゆる乞食というものだろう。人の心の汚さを目の当たりにして、最近は行くたびに憂鬱になる。最近は生活保護費を上げろというデモもネットで話題になっていたが、ついつい偏見を持ってしまう。弱者そものものが問題では無い。問題はその支援を不当に奪うものがいる事だった。
「有美は、よくボランティアなんてずーっとやってられるね」
つい愚痴ってしまった。食堂の厨房で、友達と一緒に今日の弁当を作っていたが、なにも楽しくない。この弁当も嘘をついて貰う乞食が現れる。そして乞食は見た目では困っている弱者と全く区別がつかないので、厄介だ。
「そういう乞食がいるのも織り込み済みよ。どうせ神様が見てるし。心の罪も神様はさばくんだから、いいのよ」
友達はクリスチャンで「神様」という言葉を頻繁に出すが、正直ピンとこない。
「そう?」
「そうだよ。人それぞれ事情があるからね。冴子は人を叩いてる? それはあんまり意味ないかもよ」
そう言われると耳が痛い。冷凍食品を使うママタレをネット掲示板で叩いた事がある。しかし、実際自分が主婦になると、冷凍食品に頼りたい気持ちもよくわかってしまう。特に仕事の残業が多い時など、冷凍食品はとても便利だった。
その立場に立たないと理解できない事もあるのだろう。人が見えている箇所は、ほんの一部かもしれない。
「大丈夫。神様が全部見てるから」
友達があまりにも堂々と言うものだから、冴子もだんだん安心してきた。
「そっか。そうだね。そう思えば安心かもね」
「でも本当に必要な人に行き届かないのは困るね。その点はアイディア練らないと」
こうして二人で色々とアイディアを出し合う事にした。そうしている内にだんだん楽しくもなってきた。
心まで神様に見られているかは、よくわからない。
それでも暗い気持ちでボランティアをするのも何かズレている気もした。やっぱり明るい気持ちでボランティア活動をしたいと思う。




