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心からネコを信じなさい〜眠る前の優しい物語〜  作者: 地野千塩


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私は真理です

 僕は新米刑事だった。元々臆病者で、死体なんて見たくないのだが、先輩と一緒に現場へ行く。


 とある田舎の空き地で、ヤクザの男が殺されていた。ヤクザといえでも、包丁で胸を刺され、死ぬ直前は苦しかったに違いない。先輩によると、このヤクザは指名手配犯でもあったが、よりによって殺されるなんてな。


 僕は死体にかけより、手を合わせた。


「あれ、先輩。これ、指をみてください。どこか指さしてません?」

「うん?」


 先輩と二人で確認する。どうも、ヤクザは塀にある変な看板を指さしているようだ。それにしても黒と白の不気味な看板だ。しかも「私は真理です」と意味不明なメッセージも書いてある。これは、ミステリ小説のようなダイイングメッセージか?


「これは田舎によくあるキリスト看板だよ。聖書のメッセージが書いてある。おそらくイエス・キリストの教えは真理と言いたいものだろう」

「へえ。それにしてもホラー系な変な看板ですね。デザインとか怖いなぁ」

「真理か。マリとも言えるんじゃないか?」

「まさかマリって名前の女が犯人だったりして」

「そんなギャグみたいな事ないやろ」

「ですよねー。あはは」


 先輩と大笑いした。こんなギャグみたいな事はありえないと思っていた。


 しかし、先輩と調査をするにつれ、捜査線に江田マリという女が浮上。この女とヤクザ、そして薬の売人の男と金銭面で揉めていた事も発覚。


 いくつか証拠も見つかり、マリとその男が共犯してヤクザを殺害したと判明した。すぐに二人を捕まえ、この事件は無事に幕を閉じた。売人の男には余罪があり、調査はもっと必要ではあったが。


「それにしても、ギャグみたいなダイイングメッセージだったわな……」


 仕事の帰り、あの空き地に行き、キリスト看板をまじまじと見る。


 キリスト看板をインターネットで調べると、ネット民にネタにされ、数々のパロディが生まれている事も知る。


 さらに調べると、キリスト看板は防犯にも役立っているようで、野菜泥棒などが減ったという情報も見た。同業者からもこの看板がきっかけで下着泥棒犯が自首してきたというのも聞いた。


 まさか、本当に神の加護か?


「いや、そんな事はないよな……」


 そう呟くが、堂々としたキリスト看板を見つめていたら、少しぐらいは科学で説明できな事があっても良い気がした。


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