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ギフトもの  作者: KKSY
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呼び出し。

 例の如く不定期更新な上にストック無しである。リハビリも兼ねてるので描写は拘ってません。感覚を取り戻すのだ!

 考古学者が言うには、この世は幾度も滅びと再生を繰り返しているそうで、その都度、人類が信仰する神様達が滅びないように手を加えているらしい。

 何故滅びたのか、その原因は未だ不明。その時に成れば嫌でも分かるが、判明するのは億や兆という歳月を経なければならない。

 つまり、現代に生きる人類にとっては無関係だ。


 今問題にしているのは、神様が今回の世に施した仕様……【ギフト】についてである。


 人類は、産まれたその瞬間から何かしらの【ギフト】を授かっている。その内容は多岐に渡り、ギフト研究所なる研究機関が長年その仕様を解き明かそうとしているが、今のところ成果は出ていない。


 ただ一つ、確かな事は、小さな子どもから年若い若年層の倫理に多大な影響をもたらしている、という事だ。


 夢と希望を胸一杯に抱える若者にとって、【ギフト】の優劣は絶対の価値観だ。優れた【ギフト】を授かった若者が、劣る者達を貶めている。


 はっきり言おう。俺は今の世の中が大ッ嫌いだ。なんの【ギフト】も無い事を理由に尊厳を踏みにじられて泣き寝入りなんて御免被る。

 【ギフト】なんざクソくらえ。神に祝福されなかった異端児? 上等! 俺を見下す奴には漏れ無く鉄拳をお見舞いしてやるぁあ!!


「――――」


 人の気配を感じて、閉じていた瞼を開ける。陽光に目を焼かれて眉をしかめつつ、凭れていた校舎の壁から離れ、呼び出した人物を歓迎するべく仁王立ち。


 そいつは長身の女生徒だ。背中まである長い銀髪を風に遊ばせ、冷ややかな眼差しを無遠慮に浴びせてきやがる。


 クールなその様に、思わず口角をつり上げてしまった。


 学園を牛耳る最強の生徒会長。幾つもの【ギフト】を持つ、神に愛された女。この女に敵うやつは、この学園に居やしない。まさに無敵の体現者だ。


「わたしを呼び出したのはキミ?」


 鈴の音の様に響く綺麗な声音。彼女が言葉を発せば誰もが口をつぐみ、その言葉に耳を傾ける。まるで王者の演説の様に、聞いた者の人心を掌握するのだ。


「あぁ、そうだ」


 そんな彼女に呑まれぬよう、精一杯胸を張って不敵な笑みを浮かべる。すると、生徒会長は何もない空間から二本の木剣を出現させ、片方をこちらに投げ渡し構えた。


「なら早く済ませよう。わたしも忙しい」


「ハッ! そう急ぐな学園最強さんよォ? こっちはお前に一言宣言したい事があって人気の無い場所に呼び出したんだ。こんなもん、要らねぇよ」


 そう言って木剣を投げ捨てると、彼女も構えを解いた。


「宣戦布告? そんな事で呼び出さないで」


「知った事か。お前はそうでも俺にとっては一大イベントなんだ。少しは付き合いやがれ」


「……手短に済ませて」


 「おう」と応えつつ、内心の緊張を悟られぬ様に悠然と歩み寄る。手を伸ばせば触れる距離まで近付くと、流石に少し体を強張らせてしまった。


 そして、スッ! と上体を90度に折り、手をピシィ! と差し出す。


「一目惚れしました!! どうか老後を俺と伴に過ごして下さい!!!」


「――ッ!?!?!?」


 完璧! と内心で渾身のガッツポーズをする。毎夜風呂上がりに鏡の前で練習した甲斐があったぜ。


 と満足した次の瞬間、俺は宙を舞っていた。


 背負い投げされたのだと気付いた頃には受け身を取る暇もなく、固い土の地面に叩き付けられ意識が焼き切れる。完全に気絶する直前に見たのは、疾風の様に走り去る学園最強の姿だった。ガクッ。

 テンプレなら罠に嵌められてチート【ギフト】に目覚めてたに違いない。

 なお、設定上そんなチート【ギフト】は存在していない模様。

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