05-楽器の研究も続けてます-
コンサルトからダークエルフの楽器職人子猫ちゃん達が来てくれた。
皆揃って美人なんでかなり楽しい。
シスのおかげで順応も早かったんで、早速工房に席を用意したよ。
「シス、どう?工房長が興奮してたけど」
「アイラお姉様の英知は本当に凄いわよ。そこの練習用は全部改良品だから試してみなさい。下手な本番用より良い音が出るから」
「「ええっ!?」」
練習用が本番用を越えちゃったんだよね。
何も言わずに子爵の前でジェシカがバイオリンを弾いた事が有ったんだけど、練習用って話したら目を丸くされた。音楽鑑賞も貴族の嗜みたいで解ってくれた。
「本当だわ…っ!見た目は練習用なのに…っ!」
「私が作った本番用より良いし…っ!」
「これを使わせて貰えるんですか!?」
「そそ。だから手伝って」
「「はい!!」」
承諾してくれたんで部屋を開けよう。
ボクの事情を話したらゴーレム登録で驚かせたり案内したり。
一通り済ませたら戻って発表。
「実はね。最初から楽器向けの性質を持った金属の開発もしようと思ってるんだ」
「「えええっ!?」」
「そんな事まで出来てしまうのか!?」
「ええ。子爵に作るゴーレムの材料もボクが開発しましたし、このアイラブルーもその過程で生まれた物です。ちょっと離れてしまうんですが、遠くまで鳴き声を響かせる魔物に心当たりがあるので嘴を集めてきてくれと冒険者に頼んであるんですよ」
そう言う研究もちゃんとしてる。
まだ材料が無いんでこれからだけど、これまでの経験から硬さとかしなやかさとかは大体掴めてるんでね。
沢山集めて貰って、出来たら少しずつでもコンサルト付近に移住して貰う様に契約して頼むつもりだ。
「シャウトウムって言うオウムの魔物だ。普通のオウムと違って言葉は覚えないけど、綺麗な鳴き声なんだよね。音楽が好きな魔物なんでコンサルト付近なら落ち着くと思う。あそこの冒険者に頼めば確保も楽だし」
草食で温厚なのも良いし、ヒトは絶対に襲わない。たまにでも音楽を聴かせてくれると知ってるから。
何か演奏して近付いたところを狙えばあっさり狩れるはずだ。だから契約用に別の生息地で捕獲も頼んでる。同郷の同族を狩るのは気が引けるからね。ウチなら色々と喜んで貰えるだろう。
呼ぶのは同郷の同族のみだけど、交渉はどこの同族でも出来るらしい。
「そうそう、アル。話は変わるけど、あんた好みの良い男がここに住んでるわ」
「え。本当ですか?」
おや?
弦楽器職人のアルシェリナ、アルに男紹介。
「確かあなた、チェロは普通に弾けたわよね」
「ええ。え、その方も楽器を?」
「ううん。演奏が必要な店をお姉様に任されてるの。弦楽器を作りながら一緒に働けるわよ」
「紹介して下さい!」
あはは、成る程。ツェーガルか。
そう言う事なら喜んで協力しよう。
家族が増えて毎日が楽しい。
店やホームバーの利用で職人の子猫ちゃん達が喜んでくれたし、ツェーガルが早くもアルと交際を始めたし。
研究を手伝ったり町での事を聞いた他の職人の子猫ちゃん達がハーレムに入ったりと幸せ続き。
研究の成果もちゃんと出た。
「これ!これよお姉様!」
「よし、完成!」
「おおおおおっ!」
「「きゃああああっ♪」」
シャウトウムの嘴が届き、嘴を使った楽器用金属が無事に完成してくれた。名前はアイラコンサルトと命名する。薄い金色になったんで金管楽器の色味をあまり変えずにすんだのも大きいし、元から音響に適してるんでエンチャントしなくても大丈夫。エンチャントするともっと良くなるからイキシア産としても売り込める。
すっかりボクの研究の常連見学者となった子爵も喜んでくれたよ。
「素晴らしい発明に立ち会えた…っ!」
「喜んで貰えて何よりです。シス、トロンボーンとサックスを先に作って。今度はニスや弦に挑戦するから」
「解ったわ!」
遠い場所の魔物素材だから若干割高かな。
エンチャントした後に鋳造し直す事も可能だから、コンサルトで生産してイキシアでエンチャントするって事も出来る。
アイラコンサルトから嘴の分量をだいたい掴めたし、ニスや弦に混ぜていこう。
「音楽が変わる瞬間だ。コンサルトの楽団が揃えたら聞きに行きたい」
「良いですね。他の酒場で楽しい音楽を頼みたいですし、試しに呼ぶのも良さそうです」
「おおお。それは良い」
「「うわぁ♪」」
コンサルトとは懇意にしたいなー。音楽も良い文化だ。
「アイラお姉様万歳…♪音楽を変えた楽器職人よ私達…♪」
「「きゃーっ♪」」
「あはは。そうなるね。アルカナ文明時代には無かったと思うし、ボク達が音楽を変えたんだ」
そう考えるとかなり気持ちいい。
「あ!お姉様!ニス行けますよ!」
「お。この配分か」
「いえ、ニスは工房ごとに調合して秘伝となるのでシャウトウムの嘴が使えると解っただけで十分です!」
おー、それ凄い楽。じゃあ弦に取り掛かろう。
ビッグスパイダーの腹を切り裂いて糸の素を取り出し、粉末状にした嘴を混ぜて熱してから蜘蛛弦と同じ作り方で生成する。
弦の太さは前の試作品を作った時に覚えたんですぐだ。
「凄い!弦も成功しました!」
「よし。エンチャントしよう」
「…凄いわ!やっぱりお姉様女神!」
「「きゃーっ♪」」
淫魔だけどボク女神っ。
弦もばっちりで、こっちも工房ごとに調整するからこれで良いらしい。
そうそう、金属が出来たら頼みたい事があったんだよ。
「シスー。工房に無かった楽器で作って欲しい物が有るんだー。笛の一種だと思うんだけどさー」
「作る!教えて!」
昔見た物でどう言う作りなのかまでは知らないんだけど、これまでの研究で大体の構造が掴めてる楽器が有る。
金属製だから完成したらシスと開発しようと思ってたんだ。
前に見た物の絵と、そこから想定出来た内部構造を紙に描いてみよう。
「ハーモニカって呼んでた。普通に吹いたり吸ったりするだけで音が出るし、穴で音階を変えられるから小さいけど演奏出来る」
「「うわぁ♪」」
「やらせて!これは画期的よ!」
旅歩きながら音楽をって場合に凄く便利なハーモニカって楽器。
もう一つ有るから描こう。ピアノ職人の子猫ちゃんも必要だ。
「多分このアコーディオンも似た原理だと思うんだ。ここふいごみたいになってて、広げたり狭めたりする事で空気を送って弾いてたから。笛っぽい音になるけど持ち運べるピアノと考えれば悪くないと思う」
「行けるよ!ピアノと言うよりオルガンね!えーと、ピアノの中身を笛にした物がオルガン!」
アコーディオンも酒場に合う。
似た楽器を知ってるなら作りやすいだろう。
「どっちも普通の酒場に合うんだよ。軽快で陽気な音楽に合うからさ」
「間違いないわ!鍛冶屋のおじさんにも手伝って貰う!」
「私はミセリナに声掛けてくる!良い布も見つけないと!」
どっちも必要だね。
また面白くなってきた。
新しい、と言うより失われたとか近辺には無いって楽器作りに親方が顔を出してくれた。
酒場に合う楽器と聞いてぴんと来たらしい。
「アコーディオンの話を聞いてよ。上品な仕上がりより俺の出番じゃねえかと思ってな」
「流石。頼むよ」
「任せろ。ついでに仕込む」
ありがたいわー。
どこまでも頼れる。
「アイラさん。試作品が出来たぜ」
「うあ早。流石おじさん」
鍛冶屋のおじさんも頼れるね。
ハーモニカの試作品がもう出来た。
調律師の二人を呼んで試して貰おう。
「これ新しいですね!ちょっとやってみます!」
――ファーッ。
「「きゃーっ♪」」
「「おおおっ!」」
そうそう、この音。
大体の構造さえ解ればシスならと思ってたけど大正解。
一音だけ出す練習をして、音階を確かめてから演奏。最初なんでたどたどしいけど問題ない。
「もうちょっと音階の調整が必要ね」
「はい。ですが凄く良いですよ。この小ささで三オクターブ行けるなんて」
「ちゃんと練習すればテンポが早い曲もやれるでしょうし」
結構幅広くやれるんだなー。
昔聞いた時も良かったし。
「面白い。実に面白い」
「だからあっしなんかはアイラさん専属になったんでさあ。面白えもんばっかだし、男心を擽る物も多いんで」
「ハーモニカも男心を擽るよな。もうちょっと倅や弟子が頑張ってくれりゃ、俺も引っ越させてくれと頼むんだが」
「男心か。成る程、納得してしまう。カクテルバーなと心から痺れた」
そうでしょうそうでしょう。
可愛さと格好良さは正義だと思うのだ。




