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淫魔さんの人間暮らし  作者: 仲田悠
第十話「淫魔さん、夢の生活」
67/92

01-薄明りが似合う地方-

 年が明け、三つの町の総称が決まった。

 機転を利かせて考えた名前を皆が気に入ってくれたんだ。

「トアイライト。いつか領になると良いですね」

「うん。まあ、今も同じ領だから地図に名前が載るかどうかってだけなんだけど」

 トアイライト地方。

 ボクの名前を入れつつ、何か別の意味を持たせれば新しい造語として定着するかなって。

 元はアルカナ文明で使われていた魔法言語のトワイライト。日の出前や日没後の薄明りって意味だ。

 日の出の様に未来が開ける地方。

 どんなに盛り上がっても日没の様に落ち着いて穏やかになれる地方。

 色んな可能性を持ち、それでいてとても過ごしやすい地方にしたいと言う願いを込めた。と話したら一発で納得されて喜んで貰えたよ。

 これでボクも少し安心だ。


「私、春が一番好きなんです」

 イキシアの町をフィーナと二人でのんびり歩いていると、フィーナから嬉しい話が聞けた。

 温かくて、綺麗な花が沢山咲いて、外に長く出ていたくなるからって。

「それは嬉しい」

「どうしてです?」

「ボクも殆ど同じ理由で春が好きなんだよ」

「本当ですか!?」

 同じ何かを同じ理由で好きなヒトが奥さんとか幸せ過ぎる。季節だと尚更。毎日でもこうしていたい。

 ボクの場合はもう少し理由が増えるけどね。

「外で昼寝するのが一番気持ち良い季節なのも春が好きな理由」

「ふふふふっ。アイラさんらしいです。でも、確かに気持ち良さそう。外で昼寝なんて考えた事も無かったです」

「女の子は基本的に外で寝ちゃ駄目だしね。もう少し温かくなったらケロス辺りに頼んで護衛付きで昼寝してみようか」

「はいっ♪」

 一番気持ちいいぐーたらを味わえる季節。

 今年はまだ忙しいから難しそうだけど、去年までに比べればずっと良い。

「あ!アイラさん、花壇!」

「おおお?へええ。これがイキシアかあ」

「可愛い…♪色も綺麗ですし、良い花ですね」

 去年の秋に町の皆で植え替えてたイキシアの花が一つだけ咲いてた。

 可愛いって言うより格好良いって感じの小さな花が三つ固まって付いてて、花びらは白地に緑のグラデーション。真ん中が緑で先端が白だ。

 うん、今年の植え替えはボクも手伝おう。

 ヒトが増えて町が急激に広がったけど、花壇はもそれに負けじと増やしてるから今年の秋は大変になると思うしね。


 近況報告。

 ビリヤード場の建設が始まって、各町に十件ずつ建てられる様になった。

 オリハルコンを売ったお金が凄い金額になったからだ。

 貯金一杯、安定収入確定、夢のぐーたら生活の始まり。

 ある程度したら冒険者を総動員して石材を確保し、台を沢山作る事にもなってる。

 それに関連してボクの家の離れみたいな形で大工房を建てる事が決定。

 エアリの家を工房にしたけど、ボクの側の方が楽しいからと殆ど使われていなかったんだよね。

 だから家に戻して貸家にし、誰かに使って貰って新たに大工房を建てる事になった。

「でも、お姉様。本当に良いの?」

「空間魔法は何かの理由で解除されると中身が一気に外に出されちゃうんだ。絶対安全と言い切れないから建てられるなら建てた方が良いんだよ」

 シスの工房としても欲しいしね。

 心配されたけどお金が有る内に建てるべき。

 仮説バーも戻したし、部屋として用意したマジックポケットは全部戻す。

 大工を目指す移住者の練習にもなって良い。

 親方の倅に監督して貰ってて、工場の大工の半数が取り掛かってくれてるよ。

 残り半数はお風呂。男湯も用意する。

 女湯を半分削りつつ、両方の奥行きを倍にして同じ広さのまま男女分ける事になった。

 そっちは親方に頼み、大工の残り半分と一緒に急ピッチで進めてくれてる。

 仮説風呂も用意してるから問題ない。

 と、ここでイルルから報告。

「フィーナ、シス。また面白い事になりそうだ。まだ風はボクに吹いてるらしい」

「「きゃーっ♪」」

 さあ、今年も色々と頑張ろう。

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