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淫魔さんの人間暮らし  作者: 仲田悠
第七話「淫魔さん、幸せ絶頂」
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08-こんなお店にしたい-

「イキシアに来てくれて本当にありがとう。アイラさんは何かをする度にイキシアを活気付けてくれるヒトだ。それだけに大変だから、助けてあげて欲しい」

「「はい!」」

 町長さん自らも参加しての歓迎会にジェシカもアンゼリカも大喜び。

 そんな二人が楽器の専門家と聞いて親方もかなりの期待顔。呼んだ以上は披露するから安心しなさい。カクテルバー関連のお披露目は親方を絶対に呼ぶと決めた。

 良い気分な皆の前にはフィーナ特製の豪華な料理だ。

「うおお!フィーナちゃん凄えな!」

「美味い…。定食屋より美味いな…」

 羨ましいだろー。ボクの奥さんは凄いだろー。

 量は別として、質は毎日これだからなー。

「買い出しはアタイ等でやろう」

「賛成。フィーナさんに行かせるとか申し訳ないし時間と体力の無駄」

「毎日でもやるよ。どれも凄い美味しい」

 買い出しは頼みたいなー。

 これから大量に必要だし。

 あー、それだそれ。

「親方。悪いんだけど大きい冷蔵庫と冷凍庫を作ってくれない?刻印はボクがやるから」

「やるやる。やっぱ必要だよな」

 冷蔵庫と冷凍庫を新調しないと。

 家具とかは出来るだけ親方に作って貰いたい。

 落ち着いたら教えて貰えないか頼みたいな。

「これがイキシアの料理なんですか?」

「味はフィーナさんだからこそだが、種類はそうだね。料理もアイラさんが広めてくれている」

「見せた記録と同じ厚さの料理記録がデザート込みで三十冊近く有るよ」

「「えええっ!?」」

 あれ、なんか興味を示してる。

「フィーナさん!教えて貰えませんか!?」

「私もお願いします!一人では大変でしょうし、三食付きなら手伝わないと悪いです!」

「良いですよ。確かに大変でしたし、手伝ってくれると助かります」

 あー、成る程。

 それは素直に頼むべきだ。


 美味しい料理を堪能したら、お待ちかねの仮設バー。旅の途中で適当なスーツを見繕ったとも。

「あうううっ♪アイラさん素敵ですうううっ♪」

「ほんと素敵だよぉ…♪」

「「あううっ♪」」

 良い感じでしょ?

 もっと良くなるからね?

「ようこそ、当店へ。お好きな席にお座りください」

「やはりアイラさんを見る為に通えるな」

「ええ。とても素敵です」

「な?俺が熱入れるのも解るだろ?」

「良く解ったわ…。私も通いたいさね…」

 歓迎会の主役は当然カウンター。

 後はフィーナ、町長さん夫婦。

 親方夫婦とジャネット達は悪いけどテーブル席に座って貰う。

 メモをカウンター裏に置いて注文を受けよう。

「え。甘いお酒なんて言うのも有るんですか?」

「ええ。当店は様々なお酒や食材を混ぜたカクテルと言うお酒を扱っております。お客様が好む味でご用意させて頂きますよ」

「凄い…。じゃあ…」

 曖昧な注文でもばっちり。

 テーブル席の注文も今回はカウンターに立ったまま聞く。メモは見せない。

 皆から注文を聞いたら手早くシェイク。振り方も見せ場なんで格好良く。

 全員分を一度に出したいから速度勝負。

 皆がボクを静かに見てるんで、この段階から良い雰囲気だ。

「大変お待たせ致しました。このカクテルは…」

 出来たら一人ずつ渡して説明。

 この間も動きに注意。常に格好良く。

「綺麗…」

「素敵…」

 手間が掛からず綺麗なカクテルを選んだ。

 色鮮やかなお酒ってのは初めて見たと思う。あの町は葡萄酒しか無かったし。

「どうぞごゆっくり」

「「わあ…」」

 最後は恭しく一礼。ばっちり。

 そのまま部屋を出て素早く着替えだ。

 アッサムで買ったドレスをここで使う。

「「きゃー…♪」」

「「おおぉ…」」

 中々でしょ?ちょっと女っぽさが強いけど。

 歌う場所も決めてあって、その天井には明かりのアーティファクト。他の明かりを少し弱めてボクが目立つ様にする。そして歌。

「これで仮設なんだぜ…」

「あんた、暫く他の仕事断ってよ…」

 やっぱりちゃんとジェシカとアンゼリカに教わろう。故郷の店で歌ってる夢魔にはまだまだ全然敵わない。

「――♪」

「「わぁぁ…♪」」

「「おぉぉ…」」

 耳汚しで申し訳ない。

 それでも喜んでくれてるからありがたい。

「ジェシカ、アンゼリカ。雰囲気掴めたなら頼めない?」

「やらせて下さい。ピアノで行きます」

「なら、その間にサックスを取ってきますね」

 宜しくねー。

 その間にボクはウイスキーのロックを。

 お、流石は音楽の専門家。かなり良い曲。

「贅沢な時間だ…」

「ええ、本当に…」

 雰囲気に酔いしれながら、ここで少し試す。

 奥さんにお願いして親方と交代して貰おう。

 フィーナもジェシカが座ってた席に。

「仕事か」

「流石。親方にしか頼めない。店が出来たらここに個人用のバーを作って欲しい。冷蔵庫と冷凍庫を台所と兼用する形で。出来たら定期的に呼ぶ」

「乗った」

 ホームバーが欲しくなった。

 内装は店と同じだけど規模は店より少し小さい程度。ダーツ無しでピアノも練習用のサイズ。

 何で欲しくなったかと言うとだね。

「ここでこう言う話をしても雰囲気を感じられません?」

「感じられるね。ふむ。これはかなり期待したいのだが」

「月一でミシルガ町長さん一家とセシル町長さん一家を呼びましょう。この雰囲気の中で発展について話したり、何も気にせずのんびりとした家族付き合いをしたり」

 元から交流が有るって話だし、会議も含めた交流会なんてどうかなと。本気で会議した後に慰労会って形を取っても良い。

「是非ともお願いする。そう言う事なら私個人からも少し出させてくれ」

「その町長会議にも呼んでくれるなら俺の分って事で値引きするぜ」

 ここは素直に甘えよう。

 楽器の大量購入でかなり飛んだ。

 アイルとシャルルにも伝えよう。…よし。

「ミシルガ町長さんもセシル町長さんもお金を出して下さるそうです。それまでにお酒を作り置きしておきますよ」

「む。良かったら手伝わせてくれないか?純粋に興味があってね」

「なら、他の町長さん達にも声を掛けて交流会を兼ねますか」

「それにも参加させてくれ…っ!」

 親方も参加ねー。酒造許可の緩さに乾杯。

 他の町長さん達も参加決定。材料をしこたま用意してくれるらしい。

「で、フィーナ。カクテルも覚えて。フィーナに作って貰いたいし、会議でボクが塞がるし」

「是非教えて下さい。私もアイラさんに作ってあげたいです」

 フィーナ愛してるー♪

 ホームバーの席は店と同じくらいになるんで、店と同じ二人でやりたい。

 ジャネット達にも後で話してやりたがったら仕込もう。

「で、ここからが本題です」

「うお。個人用でも十分大きいと思ったが」

「となると、本題は町の為の事だな?」

「うん。一時間幾らでって形のビリヤード場はどうかなと。三つの町で何ヶ所かずつ建てて、大会なんかも開くと地域の娯楽として盛り上がると思うんですよ」

「やりたいな…っ!」

「石材を何とかしてくれるなら絶対ぇやる」

 酒造交流会で本格的に突き詰めたいけど、親方には少し待ったを掛ける。

「親方には各町の大工にビリヤード台の作り方を仕込んでやって欲しいんだ。まず一軒ずつ建てて、要望が出たら増やしてく。そうなると他の大工も覚えた方が良い」

「確かに。乗ったぜ」

 あれだけ上質な台を作ってもまだまだと言える親方には大きな仕事を頼みたい。

 それに、まだ有る。

「店のと同じ質でウチ用に二台頼めない?」

「むしろ店用のを超える質で作ってやる」

 親方ほんと凄え…っ!

 あれの更に上の上とかどんなだ…っ!

「ほんとお願い。あー、一時間幾らより一ゲーム幾らの方が回転率高いな。大勢が出来るし」

「だな。一時間幾らより安けりゃ最高だ」

 それは必要だよね。諸経費をはじき出してから値段を決めよう。一人一ゲーム幾ら、か。

 そこで必要になるのが親方の腕。

「ビリヤード場用の台はさ。従業員しか落ちた玉を回収出来ない様にしたいんだよ」

「ははあ、成る程な。黒玉落としちまった時にどうするかが問題か」

 専用の台を考えられるのも親方だけ。

 …っと。

「おお…」

「あの楽器も良いな…」

 ピアノの演奏が終わり、アンゼリカがサックスを吹き始めた。やっぱり良い。

 ジェシカが出たところを見るとトロンボーンもやってくれるんだろう。

「とにかく解った。何とかする」

「頼むね。最悪、予備の黒玉を幾つか置くんでも良い」

「いや、何とか考えてみるさ。ここは腕の見せ所だ」

 ほんと頼れるわー。

 交流会にも来てくれるのは凄い助かるよ。

「親方。今度お邪魔させて。お風呂改良する」

「うお。それ頼む。幾らだ?」

「タダで改良するから今後も宜しく」

「死ぬまで手伝うぜ」

 是非とも頼むよー。

 だから長生きしてくれー。

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