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淫魔さんの人間暮らし  作者: 仲田悠
第七話「淫魔さん、幸せ絶頂」
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03-自分の為にもうひと頑張り-

 何か自分から動き回る羽目になったけど気にせずギルドへ。

「アイラさんじゃないか。もう何か始めるのかい?」

「それがさ。町長さん達が三人揃ってボクにお礼って酒場の費用を持ってくれる事になったんだ」

「「おおおおっ!?」」

「乗った。それに必要な素材って事だね?」

 そう言う事。

 玉の材料が欲しいし、キューも単なる棒じゃない。部品も素材もしっかり選びたい。

 アッサムもアイリスも欲しがるだろうから六台分かな。二台ずつで。

 キューはまだ使いまわせば良いから一台につき二本、十二本分。

 玉は六台分で六十個。塗料は親方が揃ってるって言うから問題無し。

 それともう一つ遊具を作るつもりで、それに最適な毛皮も欲しい。

「遊具の材料か。アタイでも出来るかい?」

「どっちもルールは簡単。ジャネット達はボクを手伝って。他の皆は材料集め」

「「おう!」」

「何でもやるよ!」

 子猫ちゃんに頼むには重い物だけど、支援魔法を使えば楽なんでジャネット達を贔屓する。

 依頼を発行したら早速出発だ。


 荷馬車を出してガタゴトガタゴト。

「気になるねぇ。石材を使った遊具かい」

「出来たら店の雰囲気を再現しながら見せるよ。故郷でも大人気の酒場だ」

「本当に素敵なんですよ!私も凄く楽しみにしてるんです!」

「うわ。フィーナさんがそこまで期待するなら間違い無いね」

「「うんうんうんっ」」

 ほんと期待してくれてるんだよ。

 今だって少人数で危ないのについて行くって押し掛けてきたし。もうほんと可愛い。

 向かう先は鉄鉱山。良さそうな岩を探す。

「イアン。先行して同族を説得しといて」

【任せて頂戴!アチシがご主人様の安全を確保してくるわん♪】

 アイアンホークのイアン。

 オネエ言葉のオス。

「イアンとは初めて会ったけど、何か変わってるねぇ…」

「あれ男の声じゃなかった?」

「でも女の喋りだったよ?」

「オスだよ。オネエ言葉って言って、平たく言えばオカマ喋り」

「「ぷふぅっ!?」」

 会話すると面白いんだよな-、あいつ。

「どうもアイアンホークはオスメス問わず皆ああらしい。アッサムとアイリスに置いた奴等もああだった。アチシは鉄が大好きなのよぉう!とか、ごめんあっさぁせぇー♪とか妙な喋りばっか」

「「あはははははっ!!」」

 イントネーションも独特で楽しい。

 身嗜みとか周辺の汚れにも気を付けてて、抜けた羽を拾うのはむしろ大歓迎なんだと。

 ああ言う個性が有るのを知ると、色んな魔物と契約したくなってくる。

 イアンの話は尽きる事無く、あっと言う間に鉄鉱山だ。

【ご主人様ぁ♪話を付けてきたわよぅ♪】

「ありがとう。後で鉄と野菜をしこたま食わせてやるから待ってて」

【はぁい♪アチシ良い子にして待ってるぅ♪】

「「ぷくっ」」

 面白いでしょ。

 ほんと飽きないんだよ。

 あー、待ってる間の鉄を先に掘るか。

 拳大くらいあれば良いだろ。掘って砕いて食べやすい様に。

【ご主人様と契約して良かったわぁんっ♪いっただっきまぁすっ♪】

 さて、登ろうか。

 山を登りながら風魔法の真空波で色々と質を確かめて見る。試作品の玉を持ってきたんで切り口にコツコツ。

「それで何が解るんだい?」

「いや。良い音を出す石が欲しいんだ。その石の上に布を布いて台にする。この玉をぶつけ合う遊びでね」

「へええ。確かに簡単そう」

「「うんうん」」

 ルールを教えながら探そう。

 スパスパ切ってコツコツ当てる。

「お。この音と感触。これ使おう」

 良いの見つけたー。

 真空波を乱発して必要な形より少し大きめに加工。大きな袋に空間魔法を刻んできたんで運搬も楽ちんだ。

 ここが一番の悩みだっただけに助かったー。


 イキシアの町に帰ったらまず親方の所へ。

「親方ー。石材あったー」

「うおおおおっ!道具と木材持ってくる!」

 見つけたと言っただけでこれ。

 親方もほんと期待してくれてる。

「待たせた!早く作ろうぜ!」

「よし、行こう。実は空間魔法で別室を用意しててね。再現し易い場所にしたよ」

「うおおおおっ!また飲ませてくれよ!」

「勿論勿論。あ、皆にも出すからね」

「「きゃーっ♪」」

 うわ、フィーナも一緒に黄色い悲鳴。

 辛抱溜まりません。

 ウキウキな表情のフィーナに悶々としながら帰宅したよ。辛い辛い。

 先に別室を見せるかね。

「うおおおおっ!」

「何ここ!?え、お店こうなるのかい!?」

「そそ。こう言う感じの店で静かに飲むの」

「「きゃーっ♪」」

 テーブルとか椅子も元の部屋から引っ張り出して設置してる。と言うかフィーナがやってくれたよ。綺麗に整えてくれたのもフィーナ。

 軽く見せたら工房に行って石材を出す。

「うおー。ちと毛織物を布いてみて良いか?」

「うん。縁の板も置いてよ。試作品の玉も出す」

「よっしゃ」

 どんな感じかジャネット達にも見て貰おう。

 魔法で固定して玉を並べる。

――カッ!カカカカカッ!!

「うおおおおっ!!」

「凄いです!全然違いますね!」

「面白いじゃないか!」

 縁の木材も音が良い木材を頼んであったんで、しっかり仕上げれば更に良くなる。

 玉も作り直すし、最高の物が出来そうだ。

 取り敢えず石材を加工しよう。

「魔法様々だな。こんなクソ重いモンまともに運んでたらぶっ倒れるぞ」

「ね。でも妥協出来ないんだよ」

「出来ねえな…」

 適切なサイズに切断し、穴の場所も加工。

 ここからは親方の出番だ。

「こんなにワクワクする仕事は初めてだぜ。校舎作った時より楽しい」

「あはは。遊具だとまた違うよね」

 まずは側面を板で覆う。ここは普通に打ちつけて良い。石に打ち付けるのは大変だけど、ステンレス製のドリルとネジを用意して貰ってたんでアーティファクトのドライバーを使えば楽ちんだ。

「あれ。ここはこの形で良いのかい?」

「うん。ほら、穴から落ちた玉がここを通ってここに落ちるんだよ」

「あ、成る程ね。へぇぇ」

 穴の構造もちゃんと考えてる。そこまで作ったら一区切り。後は縁を付けるだけって段階。

「アイラさん。魔法の準備頼む」

「何時でも良いよ」

 縁を付ける前に側面の木材にニスを塗る。

 このニスはボクが教えた特別製で、魔物の素材も使ってるから魔法を刻む事も可能。

 これに耐火魔法を刻むと燃えなくなる。強化魔法はニスにしか効果が及ばないんで無意味、と言うかひび割れの可能性まで出るので却下。

「よし。この面を頼む」

「解った」

 一面ずつのニス塗り。まずは乾燥魔法でニスを乾かす。続いて魔法を刻印する。

「今のって刻印魔法だよね?」

「うん。魔物素材を使ったニスで、魔法を刻む事が出来るんだ。刻んだのは音響魔法。音の響きを良くする魔法で、適度に調整した」

「ますます楽しみだよ」

 四面全て終わったら、最後に縁を作る。

 縁の場合はしっかり加工しないと駄目。

 寄り掛かったりするし、グラスを置く奴も絶対に出るからね。

 かと言って平坦なままだと格好悪い。

「アイラさん。こいつは出荷用にしよう」

「あれ。何で?」

「アイラさんの店に置くんならもっと良い仕上がりにすべきだ。出荷用を先に作って慣れるから、アイラさんの店のは最後にさせてくれ」

「解った。店が建たなきゃどうしようもないしね。まだ客間があるから空間魔法を使って遊びに来たヒトの為に出荷用を並べるか」

 どうやら親方が本気らしい。

 店用のが楽しみだ。

「よし。アイラさん、これ頼む」

「うん」

 縁の木材は先にニスを塗る。そうしないと毛織物にニスが付着しちゃうからね。

 魔法での加工は他と同じ。

 それが終わったら毛織物。

「縦に巻いておいてくれ」

「解った」

 ここは親方だからこそ。

 石材に接着剤を塗るんだけど、匠の技で薄く均等に塗っていく。

 いやー、親方ほんと凄いわー。

 塗り終わったら巻いた毛織物を親方に。

「よっ」

「「うわぁ…」」

 これもやっぱり匠の技。一発で綺麗に敷いてくれたよ。その上で空気を抜こうと撫でてる。

 穴の部分や縁からはみ出た部分もすぱっと綺麗に裁断。とにかく見事の一言。

 最後に縁を付ける。ここも匠の技。

「凄いよ親方。故郷の店に置いた奴より良い出来だ」

「そいつぁ良かった。本番はこれでもちゃちく見えるくれえのを作るぜ」

「「うわぁ…」」

 いや、それほんと想像つかない。

 縁がとにかく綺麗に付けられてて、どこを打ち付けたかぱっと見じゃ全く解らないんだ。

 下から斜めに釘を打ったり、穴で見にくい場所に釘を打ったり。

 故郷の店のだと馬鹿正直に上から釘を打ち付けてるんで少し見苦しかったんだよね。

「やっぱヒトって凄いわ。こんなに綺麗に物を作れる。故郷の大工に見習わせたいよ」

「へへっ。伊達にイキシアの建築業を支えてねえよ」

 お見逸れしましたー。


「おおおおおっ!」

「どうでえ町長。こいつがアイラさんの店の遊具、ビリヤードとダーツだ」

「これは凄いな!ここにも驚いたが、遊具も店の雰囲気に合っている!」

 折角なんで町長さんを呼んだ。

 親方ってば仮設なのに本気出してカウンターまで作ってくれちゃってさ。

 試作品の玉にも塗料を使って、カウンターも黒くしてくれて。

 そこまでやってくれるなら、ともう一つの遊具のダーツも用意しちゃったよ。

 遊び方を教えて皆に遊んで貰おう。

――カッ!カカカカカッ!!

「これは良い…っ!」

「だろ。アイラさんが言うには、もっと音が良くなるらしいぜ。台は出来たが玉も棒も未完成なんだ」

 完成した台は故郷の物よりずっと上質だった。

 ほんと、これ以上は想像無理。解んない。

「あ、くそ。意外に当たらないもんだね」

「やっぱ矢を自作しよう。これ楽しい」

 ダーツは手の平大の短い矢を投げて的に当てるってだけの遊び。

 矢と言うよりは針に近く、突き刺さるんで的に自己修復魔法を刻んである。

 魔物の毛皮で作った的には点数が書かれてて、当てた点数で勝負するんだ。

「矢を自作出来るのかい?」

「ジャネット達は装備を整えるのに鍛冶仕事を覚えていますからね。一応販売も考えています」

 鍛冶仕事が出来るなら自分で比重を変えられるよと作る時に教えてあげた。

 単純なだけに熱くなれるから、他の奴も作りたがるだろ。

 さて、それじゃ始めようか。

「町長さん、親方、カウンターへ」

「待ってました!」

「今日も招かれるとは思ってもみなかった。実に楽しみだ」

 ジャネット達には両方遊んで貰っておく。

 町長さんと親方、そしてフィーナはカウンター席に。

 それらしい格好にしてきましたともさ。

「本日はどのような味をご要望でしょうか」

「うお。き、昨日のと同じの頼む」

「私は、そうだな。後味が爽やかな物が有れば」

「まだ飲んだ事が無い甘いのをお願いします♪」

「畏まりました。少々お待ち下さい」

 親方は昨日のを。町長さんとフィーナには見た目も良いのを出そう。

「お待たせ致しました。当店自慢のカクテルで御座います」

「お、おう。やべえ、アイラさん最高」

「実に様になっている」

「師匠素敵すぎます…♪」

 開店当初はボクもカウンターに入ってたしね。

 あ、ジャネット達もボクの変わり様に驚いてる。って言うかうっとり気味。なんかいけそう。

 そのままカウンターを出て、ビリヤード台に腰掛けて歌も披露。

「ほんともうアイラさんの下僕で良い。エナジードレインされてみたい」

「ね。押し掛けちゃおうよ」

 あ、これいけるわ。

 フィーナを押し倒したら誘おう。

 フィーナが先。まずフィーナ。

「――♪」

「「おぉぉ…」」

――パチパチパチパチ。

 どうもどうもー♪

「いや、ほんとたまげた。これなら毎日でも通うぜ」

「あはは。実際にカウンターに入る頻度は高くならないけどね。週一で入るかどうか。歌も出来れば本職を呼びたい」

「いやいやいや。アイラさんが歌うから良いんじゃねえか」

「「うんうんうん」」

 んー、それなら少し練習してみるか。

 せめて楽器を弾けるヒトが居ればなー。

「町長さん。楽器弾けるヒト知りません?」

「む。どうだったかな…」

「師匠。竪琴なら私弾けますよ」

 なにぃ!?

 フィーナと歌えるなら真面目に練習するぞ!?

「町長さん。楽器の産地知りません?」

「王都なら有るとは思うが…」

「すぐ隣の国に音楽で有名な町があるよ」

「え。ジャネット、詳しく」

 それは行くしか無いでしょ。

 良い竪琴を持たせたい。

 あ、結構近いな。行こう。

「フィーナ、行こう。楽譜読める?」

「大丈夫です」

「じゃあ楽譜も。ジャネット、護衛お願い」

「何処にでも着いてくよ!」

「「うんうんっ」」

 よし、明日行こう。その前に仕立屋か。

 特注でドレスを頼もう。フィーナは白。ボクは赤。っと、赤ならアッサムか。

「アッサムに行ってドレスを発注してから楽器と楽譜を買いに行こう」

「「おおおっ」」

「「きゃーっ♪」」

 やるなら徹底的にやるべし!

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