第9話 キルタ村と唯一の生き残り
1日1投稿の夢が崩れてしまいました…
「し、失礼します」
誠、スレイヤ、パトラの3人は、十文字先生に言われて、今校長室にやって来た所だ。
すると中から、何だか聞いたことのある声がした。
「やっと来ましたね、みなさん。まぁ、一旦ここに座ってください」
中に見えたのは金髪の少女。
この学園の校長であり、俺を呼び出した張本人でもある、ミラだ。
まぁ、とりあえず座るか、と思って座った俺たちに、ミラ校長が話しかけて来た。
「今回貴方達を呼んだのは、単刀直入に言えば学校の規則に反したからです」
「私たちがいったい何と規則に反したと言うのでしょうか?」
ミラの言った直後に、スレイヤが食いかかった。
本当にスレイヤは誰にでも楯突くよな…と誠は思ったが、言うのをやめた。
それは、スレイヤと同じ意見だからだ。
「まぁ、仕方がないでしょう。本当は今日校則を教えようと思っていたのですから。
貴方達は、学園外で無許可に異能を使ってしまったのです」
「ミラ、じゃなくてミラ校長、俺たちはそれを知りませんでしたし、あれは自己防衛の為です。
あれが無かったら、ギルドの人が来る前に死んでいました」
俺はミラ校長に必死に弁明する。するとパトラも、
「そ、そうですよ…私はそこの2人の異能で助けられたようなものです」
と、弁明してくれた。
「そうです。今回はこちらのミスです。なので不問とします。
今回貴方達をを呼んだのは、次はやらないで下さいと、忠告する為です」
そうミラが言った途端、誠達は急に落ち着いた顔になった。
ただ、パトラだけは腑に落ちないような顔で質問した。
「何故私は呼ばれたのでしょうか?
私は異能を使っていませんが…」
そう聞くと、ミラ校長は一瞬動揺したような顔を見せた後、最初から隣にいた影の薄い、執事のようなおじいさんと目配せした後答えた。
「そ、それは貴方が異能を使うことを止めなかったからです。なので一緒に言っておく必要があると思いました。
質問は以上でしょうか?
それでは。もう帰っていいです」
ミラ校長はそう言うと、俺たちを校長室から追い出した。
<☆☆☆☆☆☆>
誠達のいなくなった校長室で、校長とその執事の声が響いていた。
「クラル。バレてないわよね」
「はい…ミラ校長。恐らく大丈夫でしょう。しかし何故、彼らに監視用の召喚獣を使ったのですか?
彼らにそれだけの価値があるのですか?」
「いいじゃない。私の異能なら、好きなだけ召喚獣を使えるのだから。
それとクラル、彼らはこの先どんどん育つわよ」
「何故でしょう?私にはただの新1年生のようにしか見えないのですが、ミラ校長…」
「1人は、魔王の異能の保持者。
1人は、攻撃力1位の鬼人族と2位の獣人族のハーフ。つまり世界トップレベルの攻撃力の所持者。
ただ、本人の自覚なし。
1人は、あのキルタ村唯一の生き残り。
これの何処にただの新一年生の要素があるのですか?」
「こ、これは失敬。まさかあのキルタ村の生き残りがあの中にいたなんて…」
「ふっ、他の2人も面白いことになりそうよ。
だからこそ、あの3人にそれぞれ監視用の召喚獣で監視させたの。分かったかしら?クラル?」
「流石です。ミラ校長」
誠達のいなくなった校長室で、校長とその執事の声は聞こえなくなった。
☆☆☆☆☆☆
さっきのミラ校長の動揺、一体何だったんだろうな?
校長室を出て、教室に戻った誠は席に座り、朝のホームルームを聴きながら考えていた…とその時、
「伊達!お前なにぼーっとしてるんだ!」
「は、はい!すいませんでした!」
まぁ、このことを考えても仕方ないか…
「次から気をつけろ!」
「はい!」
「それでは改めてもう一度言うぞ。
今から生徒手帳を配る。その中には校則が載ってるからよく見るように。
ではこれで以上だ!」
やはり十文字流ホームルームは早かった。
その後、誠はスレイヤとパトラの元により、さっきの動揺の理由について考えた。
「一体なんでミラ校長は動揺したんだ?」
誠は2人に質問した。
「さぁ、ど忘れでもしたのかしら?」
スレイヤは興味なさそうに答える。対してパトラは、ものすごい目がキラキラしている。
「私は、私達チームに何か秘密があると思うの!」
「いやないだろ!俺達が集まったのは偶然だし…」
と、話している最中、
「おい!この世界の者は教室を出ろ!
異世界出身者は、早く席につけ!」
十文字先生がやってきた。
こうして誠達は、答えが出せないままこの議論をやめることになった。
☆☆☆☆☆☆
「はい、それでは今日は魔王軍の行動の歴史について話すぞ」
あぁ、1日1時間の悪夢が始まった。
寝ると怒られる。素直に聞いていれば話は分からない。
これだから勉強は嫌なんだ。
そう考えている誠をよそに、授業は淡々と進んでいく。
「まず、魔王軍の始まり、魔王とその部下の計15名が、キルタ村と言うところを襲撃し、その村を壊滅させ、そこに魔王城を建てた。
因みに、ここまで壊滅させられた村はキルタ村だけで、他の所は魔王軍が吸収したような形となった為、壊滅的状況には陥らなかったそうだ。
そして、キルタ村の住民は1人残らず全滅したそうだ」
うわー物騒な集団だな。
城立てるために、村を壊滅させるとかそれが魔王軍なのか…って言うか眠い!
そして耐えられなくなった誠は、眠ろうとすると、終わりのチャイムが聞こえた。
「それじゃあ今日はここまで!
では解散!」
「キルタ村か…何だか可哀想な村だな」
誠は生まれて初めて、まともに授業に対して感想を言ったような気がした。
次もお楽しみに〜