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刹那の王は独り嘆く  作者: 黒猫
模擬戦編
9/35

第9話 キルタ村と唯一の生き残り

1日1投稿の夢が崩れてしまいました…

「し、失礼します」


 誠、スレイヤ、パトラの3人は、十文字先生に言われて、今校長室にやって来た所だ。

すると中から、何だか聞いたことのある声がした。


「やっと来ましたね、みなさん。まぁ、一旦ここに座ってください」


 中に見えたのは金髪の少女。

 この学園の校長であり、俺を呼び出した張本人でもある、ミラだ。


 まぁ、とりあえず座るか、と思って座った俺たちに、ミラ校長が話しかけて来た。


「今回貴方達を呼んだのは、単刀直入に言えば学校の規則に反したからです」


「私たちがいったい何と規則に反したと言うのでしょうか?」


 ミラの言った直後に、スレイヤが食いかかった。

 本当にスレイヤは誰にでも楯突くよな…と誠は思ったが、言うのをやめた。

 それは、スレイヤと同じ意見だからだ。


「まぁ、仕方がないでしょう。本当は今日校則を教えようと思っていたのですから。

貴方達は、学園外で無許可に異能を使ってしまったのです」


「ミラ、じゃなくてミラ校長、俺たちはそれを知りませんでしたし、あれは自己防衛の為です。

あれが無かったら、ギルドの人が来る前に死んでいました」


 俺はミラ校長に必死に弁明する。するとパトラも、


「そ、そうですよ…私はそこの2人の異能で助けられたようなものです」


と、弁明してくれた。


「そうです。今回はこちらのミスです。なので不問とします。

今回貴方達をを呼んだのは、次はやらないで下さいと、忠告する為です」


 そうミラが言った途端、誠達は急に落ち着いた顔になった。

 ただ、パトラだけは腑に落ちないような顔で質問した。


「何故私は呼ばれたのでしょうか?

私は異能を使っていませんが…」


 そう聞くと、ミラ校長は一瞬動揺したような顔を見せた後、最初から隣にいた影の薄い、執事のようなおじいさんと目配せした後答えた。


「そ、それは貴方が異能を使うことを止めなかったからです。なので一緒に言っておく必要があると思いました。

質問は以上でしょうか?

それでは。もう帰っていいです」


 ミラ校長はそう言うと、俺たちを校長室から追い出した。





<☆☆☆☆☆☆>





 誠達のいなくなった校長室で、校長とその執事の声が響いていた。


「クラル。バレてないわよね」


「はい…ミラ校長。恐らく大丈夫でしょう。しかし何故、彼らに監視用の召喚獣を使ったのですか?

彼らにそれだけの価値があるのですか?」


「いいじゃない。私の異能なら、好きなだけ召喚獣を使えるのだから。

それとクラル、彼らはこの先どんどん育つわよ」


「何故でしょう?私にはただの新1年生のようにしか見えないのですが、ミラ校長…」


「1人は、魔王の異能の保持者。

1人は、攻撃力1位の鬼人族と2位の獣人族のハーフ。つまり世界トップレベルの攻撃力の所持者。

ただ、本人の自覚なし。

1人は、()()()()()()唯一の生き残り。

これの何処に()()()新一年生の要素があるのですか?」


「こ、これは失敬。まさか()()()()()()()生き残りがあの中にいたなんて…」


「ふっ、他の2人も面白いことになりそうよ。

だからこそ、あの3人にそれぞれ監視用の召喚獣で監視させたの。分かったかしら?クラル?」


「流石です。ミラ校長」



 誠達のいなくなった校長室で、校長とその執事の声は聞こえなくなった。





☆☆☆☆☆☆





 さっきのミラ校長の動揺、一体何だったんだろうな?

 校長室を出て、教室に戻った誠は席に座り、朝のホームルームを聴きながら考えていた…とその時、


「伊達!お前なにぼーっとしてるんだ!」


「は、はい!すいませんでした!」


 まぁ、このことを考えても仕方ないか…


「次から気をつけろ!」


「はい!」


「それでは改めてもう一度言うぞ。

今から生徒手帳を配る。その中には校則が載ってるからよく見るように。

ではこれで以上だ!」


 やはり十文字流ホームルームは早かった。



 その後、誠はスレイヤとパトラの元により、さっきの動揺の理由について考えた。


「一体なんでミラ校長は動揺したんだ?」


 誠は2人に質問した。


「さぁ、ど忘れでもしたのかしら?」


 スレイヤは興味なさそうに答える。対してパトラは、ものすごい目がキラキラしている。


「私は、私達チームに何か秘密があると思うの!」




「いやないだろ!俺達が集まったのは偶然だし…」


 と、話している最中、


「おい!この世界の者は教室を出ろ!

異世界出身者は、早く席につけ!」


 十文字先生がやってきた。

 こうして誠達は、答えが出せないままこの議論をやめることになった。




☆☆☆☆☆☆




「はい、それでは今日は魔王軍の行動の歴史について話すぞ」


 あぁ、1日1時間の悪夢が始まった。

寝ると怒られる。素直に聞いていれば話は分からない。

 これだから勉強は嫌なんだ。

 そう考えている誠をよそに、授業は淡々と進んでいく。


「まず、魔王軍の始まり、魔王とその部下の計15名が、()()()()と言うところを襲撃し、その村を壊滅させ、そこに魔王城を建てた。

 因みに、ここまで壊滅させられた村はキルタ村だけで、他の所は魔王軍が吸収したような形となった為、壊滅的状況には陥らなかったそうだ。

 そして、キルタ村の住民は1人残らず()()したそうだ」


 うわー物騒な集団だな。

 城立てるために、村を壊滅させるとかそれが魔王軍なのか…って言うか眠い!

 そして耐えられなくなった誠は、眠ろうとすると、終わりのチャイムが聞こえた。


「それじゃあ今日はここまで!

では解散!」


「キルタ村か…何だか可哀想な村だな」


 誠は生まれて初めて、まともに授業に対して感想を言ったような気がした。














次もお楽しみに〜

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