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刹那の王は独り嘆く  作者: 黒猫
入学編
8/35

第8話 本当のチーム

よろしくお願いしま〜す

 怪物が現れたと同時に、パトラが叫んだ。


「みんな早く逃げよう!ゴブリンは見た目より強いから!早く!」


 ただ、そう言うパトラも腰が抜けてて動けていなかった。

 そして同じようにスレイヤも誠も、ギルドの人のいない中に現れた魔王軍の魔物(この緑色のやつはゴブリンと言うらしい)に対して、恐怖で動けなかった。そんな時、パトラが叫ぶ。


「ゴブリンが私達に、斧をふりおろそうとしてる!このままだと3人とも死んじゃうよ!」


 まずい!まずい!まずい!

 俺の頭の中で緊急コールがなっている事は知っている。

 どうすれば良い?せめて少しでも敵を止められたら!少しは逃げられる!

 でもどうやって?考えろ!時間がない!時間がないから早く!


 すると誠はふと思いつく。だがもう既に斧は俺らのすぐ上まで来ている。


「おい!スレイヤ、パトラ!今から5秒時間を作るから、しっかり走れよ!」


「どう言う事!説明し…」


「そんな余裕はねぇ!じゃあ行くぞ!」


 俺は異能の存在を昨日知った。

 鑑定をしてもらって、使えるようになったとは言われたが、まだ使った事はないし、試したことすらない。

でも……


「やるしかないんだ!時間停止(タイムストップ!)

行動可能人間、伊達誠!スレイヤ!パトラ!」


 俺は人生で初めて異能を使った。

 と、その次の瞬間世界が紫色に染まり、俺とスレイヤとパトラだけが動ける状況になった。


「急いで逃げるぞ!」


 俺はそう言って二人を先導し、できる限り早く逃げた。

 よし!このまま逃げ切れる!そう3人とも思った。

 だが…5秒経って、誠達以外も動けるようになった途端、ゴブリンが恐ろしい速さで近づいて来た。


「くそ!もうあんな化け物、どうすりゃいんだよ!」


 もう誠は若干諦めかけていた。が、


「もう、あのクズ男がやったんだから、私もやるしかないわね、氷結(ブリザード)!」


 そう言いながら、スレイヤが異能を発動した。

こいつの異能は、氷の発動か。これなら足止めができる!

 誠とパトラはそう思った。

 だが……


「え、嘘…氷結を使ったのに、ゴブリンが1秒ぐらいしか止まらなかった…

そんな…」


 そう言ってスレイヤは呆然と立ち尽くした。

もうダメだ…逃げられない…

 パトラは威力増加の異能だから、足止めには向いていない。


 もう終わりか!

 そう誠達は感じた…その刹那、


「大丈夫か!君達!到着が遅れてすまなかった。

だがもう大丈夫だ。

 我々が、この近くに現れた魔王軍をこのゴブリン含め、全て倒してやるから!」


 ついに、ギルドの人達が到着した。

 すると、その人は拳一撃でゴブリンを倒した。

 俺達が逃げられないぐらい、速いスピードと、スレイヤの氷を1秒で抜け出せる、強いパワーを持ったあのゴブリンを、拳()()()


 あれ?何だろう?

 この感覚は、今まで一度も感じたことのない感覚だ。

 と、次の瞬間誠は理解した。


「あぁ、これが誰かをかっこいいと思う心なんだな。」


 と、誠が思っている間にその人は行ってしまった。





☆☆☆☆☆☆





 その後誠達は、とりあえず避難所の1つである学校に戻った。


 そして到着した瞬間、スレイヤが唐突に謝って来た。


「すまない2人とも。私が1秒しか止められなかったから、皆を危険にさらしてしまった 」


「ううん。スレイヤはすごいよ!私なんて、何もできなかったから」


「俺も、結局すぐに差を詰められた。

でも、スレイヤ。これからもっと強くなっていけば良いだろ」


「ふっ、クズ男の割には良いことを言うじゃない」


 そう強気なことを言っているが、スレイヤの目には涙が溢れていた。


「後、スレイヤ パトラ。二人に聞いてほしい事があるんだ」


「何?」

「どうしたの?」


「俺は学校で、魔王の行いについて、俺はあまり知らないし、だから本気で強くなろうとは、思ってないって言った。

 でも、今日ギルドの人達を見て思ったんだ。かっこいいなって。

 そして、いつか俺もあの人達みたいになりたいって思った。だから魔王を本気で倒したい、とかは思ってないけど、本気で強くなりたい。

 だから二人とも、改めてこれからよろしく!」


 誠が、そう決意を表明するとスレイヤは言った。


「やっと、良い目をしたじゃない。

 じゃあこれからは、本気で上を目指そう。よろしく、()


 すると、パトラは笑って言った。


「やっとスレイヤが、誠のことを認めたね。よかった。

 じゃあ誠、改めてこれからよろしく!」


 そう言った途端、俺たちは泣きあった。

わんわん泣いた。周りが引くほど泣いた。


 この瞬間、ようやく俺たちは本当のチームになったような気がした。





☆☆☆☆☆☆





 次の朝、学校に行くと、おそらく人生で初めての言葉が聞こえて来た。


「おはよう!誠。昨日は怖かったね〜」

「ふっ、ようやく来たの?遅くないかしら?」


 俺はそんな挨拶を聞いて、思わず感動していた。

 すると、スレイヤから、言葉の槍が飛んで来た。


「何感動してるの?もしかしてどM?」



「い、いや…初めて挨拶を受けたから、つい嬉しくなって…」



「もう、スレイヤったら、素直に誠と仲良くしたいっていえば良いのに!」


「え?スレイヤ、お前もしかしてツンデレなのか?」


「ツ、ツンデレじゃないわよ!」


「「ハハハ…」」


 そんな俺たちを見て、あの柄の悪い奴らがやって来た。


「あれ?クラスで溢れた人同士が、仲良くしてるとか、キモ!」


「仲良く慰め合いですかー。可愛いですね〜」


 すると、スレイヤが言い返した。


「貴方達は何か勘違いをしてしているわ。

私達は、確かにクラスで溢れた人たちかもしれない。

でも、本気で強くなりたい人たちでもあるから」


 すると、柄の悪い2人はおろか、クラス全体が静かになった…


 と、そんな所にまだホームルームの時間ではないのに、十文字先生がやって来た。


「おい!校長に呼ばれた者がいる!

今すぐ校長室に行け!

 呼ばれた者は、伊達とスレイヤとパトラだ。

では今すぐ行け!」


 それを聞いた誠達は、理由がわからず、ただ呆然としていた。








次もお楽しみに〜

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