第7話 二人の美少女
よろしくお願いしま〜す
「なんで、あなたみたいな人が異能なんて才能持ってるのよ。
本当に虫唾が走るわ」
白銀の髪の子は、そう言い残して、自分の席に戻ってしまった。
一方、鬼の角と獣の耳を持った子が、誠の元に寄ってきた。
「さっきはあっちの子が変な事言っちゃってごめんね。
私の名前はパトラ。あっちの子はスレイヤ。
これからよろしくね」
「俺は、伊達 誠。こちらこそよろしく。って、え⁈
あの子と知り合いなの?」
「うん。昔からの友達なの。
あ、そういえば、私の姿を見て気持ち悪いと思わ無いの?その…鬼の角と獣の耳が両方あるけど…」
「いや、別に俺は異世界出身だし、全然気持ち悪いなんて思わないぞ。
アニメとかには割といるし、そういうキャラ」
いえむしろあなたの姿に感じるのは、可愛いの一言だけです!
「アニメ?キャラ?何それ?」
「あ、いや、なんでも無い…」
そっか。こっちの人達はアニメとかキャラとか、知らないのか。
「ところでパトラさん」
「いや、パトラでいいよ」
「おう。分かった。それでパトラ、お前は俺のことが怖く無いのか?その…俺一応、魔王の異能を持ってるけど…」
「あの…実は私、人のオーラを感じることができるの。
危ない人だったら、危ないオーラ。
面白い人だったら、面白いオーラ。
そして、誠くんからは面白いオーラは感じられない」
「あ、誠でいいよ…って感じられないんかい!」
「う、うん…でも、怖いオーラや危ないオーラも感じない。だから、誠くん、じゃなくて誠の事は怖くないんだ」
「因みにそのオーラが見えるって言うのが、パトラの異能なのか?」
「違うよ。これは生まれつきあった能力。
私の異能はただの、威力増加。
誰でも、指名したら一定時間攻撃の威力を5倍に増加できる異能なんだ…」
「へぇ〜、それはその人自身の威力が強ければそのぶん使える異能だな…」
と、誠とパトラが喋っていたその時、
「こら!そこの二人、授業中だからそんなに喋るな!
それより、今から体育館に行って、筋トレを行う。それが今日の授業だ!」
と、十文字先生が言った。
そして、クラスの全員がぞろぞろと体育館へ向かった。
☆☆☆☆☆☆
「先生!なぜ異能の勉強で筋トレをするのですか?」
体育館で、一人の生徒が質問した。
すると皆、口を揃えて、そうだ!そう誰と言っている。が、それを十文字先生は一言で黙らせた。
「それは、戦いは異能だけでは勝ちきれないからだ。異能はあくまで戦闘スキルの1つに過ぎない。
たくさん筋肉を付け、武術を習い、より全体的に強くなった方が、戦いに勝つ確率が上がるからだ!」
「ただ先生、じゃあ異能は習わないんですか?」
また誰が質問した。
それに対して十文字先生が、
「筋トレと武術と異能を、ローテーションで回して行く。だから、異能の授業は明後日だ!」
と言うと、体育館に
「流石っすボス!」
と、鳴り響いていた。
もはや、十文字教の信者はクラスの過半数らしい。
「それではあと2時間、各自筋トレを頑張れ!」
「はい!」
そして2時間、耐えるようにしてその時間を過ごしたのであった。
☆☆☆☆☆☆
「誠くん、じゃなくて誠!この後異世界を案内しよっか?」
授業が終わった後、誠にパトラが話しかけて来た。
「おう。ありがとな!じゃあ一緒に行こ〜か!」
嘘?マジで?遂に俺は、デートという禁断の領域に踏み込むことになるのか!
現在誠の脳内には、おめでとうコールが鳴り響いていた。
「もちろん、スレイヤも行くよね〜!
ね?スレイヤ!」
「いや、私はこんなクズ男となんて行きたくはない。パトラと二人でならいいぞ!」
おい、ちょっと待て、パトラ何を言い出すんだ?
二人のデートじゃないのか!
それからスレイヤも、クズ男とか言うのやめてくれないですか!
「まぁまぁ、固いことは言わずにね。さぁ!」
そう言って、パトラは俺たちを半強制的に連れて行った。
その時クラスの誰かが、
「うわー、クラスのボッチ達が仲良くしてる〜
キッショ」
と言っていたことを、俺は絶対に忘れない。
そう誠は心に誓いながら、パトラに引きずられて行った。
☆☆☆☆☆☆
校門を出てしばらく歩いたところで、
「やはりパトラ、こんなクズ男の為になど、案内したくはないぞ!」
と、スレイヤが怒りの目で俺を見つめる。
そんな時、スレイヤも結構可愛いのにな〜笑えば…と誠は心の中で呟く。
やはりこの男、クズ男だ。
「まぁまぁ、チームのメンバーは変えられないわけだし、仲良くやっていこうよ!スレイヤ!」
と、パトラが言うと
「本当に最悪なやつとなってしまった。
この事は生涯悔やまれるな」
もはやスレイヤは泣く寸前だ。
本気で魔王を倒そうと思わないと、どうやら本気で軽蔑されるようだ。
かと言って俺は、別に好きで学園に来たわけじゃないのにな…
と、誠が考えていると、パトラが喋りかけて来た。
「誠!ここはすっごく美味しい食べ物屋さんなんだよ!特にエビフライがすっごく美味しいんだよ!今度みんなで食べに来よう!」
おお、それは美味しそうだ…と思っていると、急にスレイヤが喋った。
「ねえ、パトラ貴方は何でそんなにこのクズ男と仲良くしようと思うの?
こいつは、魔王のことなんて全然考えてない。
なのに何で?」
すると、パトラは笑って答えた。
「だって、私のことを、気持ち悪くないって言ってくれた人第2号だもん!」
「パトラ、それだけが理由で…まぁ良いわ。
えぇと貴方、誠といったかしら?
パトラは心を許したそうですけど、私は貴方と友好的な関係は築きません。
まぁ、もし貴方が改心するのなら少しは関係を改善しますが…」
と、スレイヤが言ったその刹那、大きな音の警報がなった。
『緊急警報です!緊急警報です!
近くに魔王軍が接近。直ちに避難してください。
避難した後、ギルドの到着をお待ちください』
誠達もすぐに避難しようと思ったが、どうやら遅かったようだ。
「ウォーーーーーー」
そう言って、俺達の前に緑色で3メートルぐらいの怪物が目の前に現れた。
俺は今日、人生で初めて魔王軍というものを目にした。
次もお楽しみに〜