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刹那の王は独り嘆く  作者: 黒猫
入学編
5/35

第5話 寮と書いてボロいホテルと読む

よろしくお願いしま〜す

「じゃあ以上で今日は終わりとする。

帰りにここに置いておく、クラス全員の名前と異能と顔写真の書かれた名簿を、忘れずに一人一個持って帰るように!

 これはチームづくりに役立つからな。

それじゃあ、この世界の者は自分の家に帰ってもう良いぞ。それと、異世界の者は私について来なさい。寮の場所を教える。

 あと、伊達は保健の先生に呼び出されているからしっかり行けよ。

 それじゃあ解散!」


 と、十文字先生が言った途端にクラスはとても賑やかになった。


そんな中、

「おい、どっか遊びに行かね?」

「おぉ!そりゃいいな!今夜はオールナイトパーティだ!」

「最高だなっ!」

「…………」


 と、柄の悪そうな二人の男子が喋っていた。

その刹那、どこからか声がした。


「貴方達、何の為にこの学園に入ったの?

もし何となくだったり、馴れ合いをしたい…

だとしたら、今すぐこの学園を去りなさい」


 いったい誰がそんなことを言ったんだ?と誠は思って、声の方角を見る。

すると、そこに居たのは白銀で長い髪を持つ、女の子だった。


「チッ、感じ悪りぃ。おい!さっさと行っちまおうぜ」


 そう言って、柄の悪そうな男子二人は下校してしまった。


 その光景を、誠を含むクラス全員の人たちが、まるで不思議なものを見るかのような様な目で見ていた。




☆☆☆☆☆☆




「あの………すいませーん。来いって言われたんで来たんですが……」


 誠は呼び出しがかかっていたので、保健室に行った。


「はーい。よく来たね。伊達くん。それじゃあここに座って。魔王系統の異能について、できる限り詳しく説明するから」


 あ!そう言えばそんなことを異能鑑定の最後に言われたっけ…


 と、誠はようやくなぜ呼び出されたのかを思い出した。


「それじゃあ説明するけど、その前にまだ名乗ってなかったね。私は、ユリウス。ユリウス先生って呼んでね。

あと、もう若くないから、ゆーちゃんとか呼んじゃダメだよ❤️」


 いや。死んでも言わないから。こんな70代のお婆ちゃんに…


「じゃあ、気を取り直して説明するね。

まずは復習から。魔王系統は誰が作った異能でしょう?」


「はい!魔王です!」


「そう。魔王が作ったとされるんだけど、ここからは、深い話だからよく聞いてね。

魔王は、何故だかわからないけど、異能を作ることができるの。そして、その異能を全て使うことができるんだよ」


「え⁈異能は一人一個じゃないんですか?」


「んーまぁ厳密には、精霊回廊を二つ有する人がいるから、そうとも限らないけど、基本は一人一個だね。

だけど、理由はわからないけど、魔王は自分で作った5つの異能を全て使えるの」


「そんなのチートじゃないですか!」


「そう。チートだから、幾多ものギルドが魔王軍を攻撃しても、完全に勝ちきれない」


「そして、その5つの異能(チート)の中の1つが、俺の異能である、時間停止なんですか」


「そう。まぁ、5つのうちで1番下の異能なんだけどね。

じゃあ、こんなもんで終わりかな」


「有難うございま…ってえぇ!!

 呼び出しといて、結局教えてもらったことは、魔王が使う異能が魔王系統っていうことだけですか!」


「まぁ、魔王系統は情報が少なすぎるんだよ」


「はい…有難うございました」


 そう言い残して誠は、保健室を後にした。




☆☆☆☆☆☆




「オォーーーー。これが寮か、すげーでけー。

だけどその割には、()()()()


 保健室を出た後、十文字先生に寮の場所を教えてもらって、やって来たのはいいが、なんだこのボロさ!

築60年ものです!って感じじゃねぇか!

 しかもその割にはでかい!でっかい、アラスト学園の敷地の中の1つの建物に過ぎないが、なんだこのでかさ!

 と、誠は驚きにあふれた顔をする。


 中が気になるので入ったら、そこには案内役と思われる20代くらいの男の人がいた。


「はい。アラスト学園男子寮へようこそ。

では早速ですが、名前を教えてください。

個室なので、空いている部屋1つを自分の部屋としていいですよ」


 アァ良かった。相部屋だったら、今の俺はドン引きされること間違いなしだからな…


「はい。俺の名前は、伊達 誠です。

部屋はどこでも良いです」


「分かりました。では、135号室をご利用ください。因みに食事処は3階。風呂場は4階です。それでは」


 俺はこの施設に一言いいたい。


()()()()()()()()




 部屋に入った誠は、135号室の中は、ボロいものの、ゴキブリレベルは居ないとわかってとりあえず安心した。


「さて。それじゃあ、少し名簿に目を通したら、さっさと寝るか。

それにしても、チーム組もう!って声かけてもらえる立場じゃないしな…

少なくとも異能に関しては、恐怖の対象。しかも味方にしても強くない。

どうしたもんかなー…」


 と言っているうちに、誠を睡魔が襲った。


「仕方ないし、もう寝るか…」


 そう言って、誠は目を閉じた。





☆☆☆☆☆☆




 次の朝、教室に行くと、ある二人の生徒が、茶髪で短めの髪で(つの)と動物の耳を持った女の子に、暴言を吐いていた。

 その二人は、あの昨日の柄の悪い二人だった。


「お前、気持ち悪いんだよ!」

「ほんと、何?鬼人族と獣人族のハーフ?マジキモ!異世界でハーフって、聞いたこと無いんですけどー」


 そう言ってゲラゲラ笑っていた。

 そして、他の人たちの中にも、若干その子を気持ち悪いものをみるような目で、見ている人もいた。


「まぁ。仕方ないよねー。この世界じゃまず9割の人間が種族を持たない種族。通称人族。

 ましては同士の結婚、さらに出産なんてありえないもんねー」


 と、呟く人までもいた。


ただ、そんな所をまたもやあの女の子が割り込む。


「あの。貴方達、誰かをいじめたりさげすむ為にこの学園に来たなら、本当に去りなさい。

貴方達が目指すのは何?魔王軍を滅ぼすことじゃないの?

その為にその行為は必要なの?」


 その子は昨日の、白銀の髪の女の子だった。


「チッ…またお前かよ。あぁー、また気分悪くなった」


 と、その時、ようやく十文字先生が来て、みんな慌てて席に着いた。


「はい。それじゃあ今日の連絡。

みんな知っての通り、今日までにチームメンバーを決めるように。

余った人たちは、その人たち同士で組みなさい。

それでは異世界の者は残って、学習。

他のものは午前は自由!

以上!」


「はい!」


 十文字流ホームルームは、ものの1分かからずに終わった。

次もお楽しみに〜

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