第32話 精霊水と強大な異能
今回の回、複雑なので知識の復習を。
・精霊回廊が体内にあると、異能を1つ使える。
・太田 大など、ほとんどの生徒は死んでから神様に、転生させてもらっているが、誠は死なずに転移。
本当に大きく進展と言いますか、謎をかなり解明させた代わりに、謎をさらに増やしました。
「おい、この3人をどうするよ? あんた」
アラスト学園のとある部屋の中、そう言いながら薄ら笑いをしている誠に向かって、あんたと呼ばれた者は少し怒って言った。
「あんたじゃ無いよ、誠。お前に力を与えたのは私だぞ。マダムと呼びな」
「へいよ、マダム。それでこの3人どうする?」
「そんな良い異能を持っている感じじゃなさそうだしね。このことに関する記憶だけ消したら、さっさと帰すわ」
そう言うとマダムと呼ばれた者は、捕縛されても暴れ続ける3人を強引にベットの上に乗せ、静かに言った。
「それじゃあ後はよろしく、ミラ。いえ違ったわ、貴方は『記憶改変』の異能を持つミラNo.5だったわね」
マダムと呼ばれる者がそう言うと、呼ばれたミラNo.5はコクリと頷いて一言呟やいた。
「了解しましたマダム、『記憶改変』。対象、矢久座 岩。矢久座 磁力。府領 霧弥」
刹那、必死に暴れていた3人は急に動きを止め、何があったか分からない、と言ったような目をしていた。
そんな3人に向かって誠は一言、
「本当は殺したかったんだけどな、まぁいいや」
と言って解放した後、トボトボと帰って行く3人を見届けた。
そして3人がいなくなると、誠はボスに尋ねた。
「マダム、俺はどうしてあの水を飲んだだけで、この新たな異能『時間超過』を使えるようになったんだ?」
「あの水は精霊水と言ってね、異能を使うようになるために必要な精霊回廊を人工的に作り出したもの、擬似精霊回廊を溶かしたものが入っているんだ」
「そんな凄いことをして、副作用はないのか?寿命でも縮まったのか?」
誠がそう言うと、マダムと呼ばれる者は笑みを浮かべながら言った。
「副作用ならもう出ているよ。まぁ伊達 誠、今のお前には察知できない作用だがな」
「ふっ……まぁいいぜマダム。この新たな二つめの異能の能力は、対象にしたものの時間経過を5分に一度10秒間、100倍にすることができると言うもの。
つまり、対象が100秒動いた間に対象以外は1秒しか経たない。
応用して『時間停止』に使えば、インターバルは900秒から9秒となる。もはや無敵だ」
そう言う誠の顔は、普段からは想像もつかない程に不気味だった。
○○○○○○
「はいそれでは、出席を取る……と言うか休みが多いな今日は」
誠と矢久座達が出て行った後、その教室に入ってきたのは十文字先生だった。そして状況を知らない先生に対し、状況説明をしたのはスレイヤだった。
「実は誠……いえ、伊達くんと口喧嘩をしまして、彼は教室を飛び出してしまったのです。
そしてそれを探すために矢久座君達が、教室を出た次第です」
スレイヤがそう言った直後、ドアが開いて入ってきたのは矢久座達だった。
「おい、誠は見つかったのか?」
3人が帰ってくるや否や、十文字先生は誠の所在を尋ねた。
だが、矢久座達は俯いてただ一言呟いた。
「俺達は、何も 知りません」
「そうか……まぁ良い、後に捜索しておくので取り敢えず気にするな。それより、授業を始めるぞ!」
「「はい、ボス!」」
そして誠の事は一度放り置いて、授業が始まった。
○○○○○○
やがて授業は終わり、十文字先生は校長室を尋ねていた。
「ミラ校長、うちのクラスの伊達 誠が失踪しているのですが、何か知っておりませんか?」
かなり真剣な顔で話した十文字だったが、ミラは笑って答えた。
「えぇ、勿論知っていますよ。ただ、貴方に教えられる話ではありません。
貴方は、ただ私に従っていれば良いのです。それは、貴方が勇者として私に屈した時から既に、決定づけられている事ですよね?」
ミラが薄ら笑いを浮かべる中、十文字は俯いて答えた。
「はい……自分はミラ校長、いやミラ魔王に負けたあの日から、御身に忠誠を誓いました」
「フッ……ならば良い。十文字、伊達 誠は引きこもった事にしておけ。それで事は足りる」
「了解しました、ミラ校長」
そう言うと、十文字は校長室を去った。その時、ずっと隣にいた執事と思わしき人物、クラルがミラに言った。
「ミラ校長、この事をあの方にご報告した方が良いのでは無いですか?」
「えぇそうね。マダムに報告しなければなりませんね。では行きましょうかクラル」
ミラがそう言うと、2人は校長室を出た。
○○○○○○
目的地に着いたミラは、マダムと対面した直後に話した。
「マダム、一つ報告したいことがあります。」
「何だい?ミラNo.2。いや、ミラ校長と呼んだ方がいいかな?」
マダムが少しからかったような目で見るが、ミラは特に表情を変えなかった。
「何でもいいです。貴方が作ったこの学校の校長、それが私、ミラNo.2ですから。
ですが周りの目があるときは、ミラ校長と呼んでください」
「相変わらず釣れないね、ミラ校長。それで、報告って何だい?」
ようやく本題に入ると、ミラはかしこまった様な顔をして言った。
「えぇ……十文字と言う教師が、伊達 誠の失踪を探し出したのです」
ミラがそう言うと、マダムは少し困った様な顔をした。
「そうかい……確か十文字は私が作った人間では無く、ミラNo.1。通称、魔王ミラが十文字と戦い勝った時に、契約で仲間にした者だったか……」
「はい。十文字の異能は、マダムの力になると思ったそうです。
ところでマダムは何故、伊達 誠に貴重な精霊水を飲ませたのですか?」
「ん?ミラNo.2、どうしたんだ急に」
「いえ、精霊水は飲んだ者に、飲ませた者への服従と人格の破壊の代償にもう一つの異能を提供する物。
それを、5秒間しか止められない者に飲ませるよりも、他の強力な異能を持っている者に飲ませた方が強くなるはずでは?」
ミラがそう言って首をかしげると、マダムは笑みを浮かべて言った。
「ミラNo.2、お前に1つ面白い事を教えてあげよう。精霊水は異能をもう1つ使える様にする為に、もう1つの精霊回廊を生み出す。
だがもしも、元々2つの精霊回廊を持っていて片方が使われていなかった場合、生み出す分のエネルギーを異能の強化に当てられる」
そこまで言うと、ミラはわかった様だ。
「伊達 誠は、精霊回廊を2つ持っているのですか?」
ミラはそう叫んだが、マダムは首を横に振って言った。
「私は地球から、伊達 誠をこちらの世界に呼ぶために、死んだ人間がこちらの世界に転生するのでは無く、ミラを派遣させ無理やりこちらの世界に転移させた」
「……と言いますと?」
ミラは、答えの目前まで来ていたがまだ分からない様だ。マダムはそんなミラに向かってニコッと笑って言った。
「彼は2つどころじゃない。精霊回廊を3つ持っている。
つまり彼に精霊水を飲ませたと言うことは、通常よりも強い異能を、合計2つ手に入れられる」
その後に響いた笑い声は、まるで悪魔のようだった。
さて、ちょっと書いてあったことの確認を。
素直に、読んでいて全て理解するのは大変だと思いますので……(じゃあもう少し、分かりやすく書けよ!)
・誠の2つめの異能は、『時間超過』《タイムブースト》。能力は、指定した対象の時間経過を5分に一回、100倍にできる。
イメージとしては、ドラ○モンのタイム風呂敷と言う道具みたいな感じです。
・誠は精霊回廊を3つ持っており、精霊水を飲んだせいで、時間超過が使える様になり、さらにあと1つ、異能を手に入れられる。
・だが現在の誠では、まだ3つめは使えない。いつか、使える様になるかもしれない。
・精霊水を飲めば、飲ませた者への服従と人格の破壊を代償に、2つめの精霊回廊が無ければ生成。あれば活性化ができる。
長々とすいません。




