第27話 新たなる旅立ち
作者の都合により、長らく休載した事をお詫び申し上げます。(読者いないかもしれないけど、一応言っておきます)
これからも、たまに休載があるかもしれませんが、辞めたりはしないのでお願いします!
「あ!あの3人組人殺しよ。近づいたら殺されるわ!」
あぁ、分かっていたさ。こうなる事ぐらい俺にだって分かっていたさ、でも……
「これは酷いだろ!」
殺人事件の冤罪を被せられて3日が経ち、誠達は何とか退学は免れたものの、3日間の謹慎処分をうけた。
そして3日ぶりの学校に行くと、他の生徒達からの視線と陰口は想像以上だった。
「まったく……これならいっそ、私達退学した方が楽なんじゃないの?」
その効果は絶大で、あのスレイヤですら弱音を吐くほどだった。
「私達……どうなっちゃうの?」
さらにあのパトラですら、不安がった表情を見せる。3人とも怒りと悲しみと恐怖、様々なものに駆られながら教室のドアを開いた。
刹那、恐ろしい視線の中で何人かが近寄ってくる。大とヤクザ3人組だ。そして来た瞬間、大が一言いった。
「誠、これは本当のことなの?僕は君はそんなことする人じゃないと思うんだ」
あぁ大、お前だけは信じてくれるか。俺はいい友を持ったな……
そう思うと後ろの矢久座3人衆も、パトラに真偽を問いている。誠達は、思い切ってクラス全員の前で言った。
「みんな聞いてくれ、俺達はドラスを殺していない!本当だ!」
すると周りがとてもうるさくなった。そんな時、あの男がクラスに入って来た。
「おい静まれ!そして伊達、スレイヤ、パトラ。3人は無罪だ!」
あの男、十文字達也の言ったその一言は周囲のものを瞬間的に黙らせ、その後爆音のような生徒の声がクラスに鳴り響いた。
「まぁ落ち着け!実はドラスが魔王軍のゴブリンに、連れ去られたことが分かった。
そしてその3人はゴブリンと関わった痕跡がないと、調べて分かった。よって無罪だ!」
すると口々に、周りのクラスメイトが謝ってくるが、誠達は浮かない顔をしている。
そしてしばらく経つと、誠が十文字先生に向かって言った。
「単刀直入に聞きます。貴方はミラ校長の本性を知っていますか?」
そう聞いたが、十文字先生は首を横に振って知らないと答えた。
誠達は、あのミラの事実を公表しようか迷ったが、これ以上疑われるのを避けるため、あえて公表しなかった。
そして誠達が再び席に座ると、ホームルームが終わった。だがその後、誠達3人は十文字先生に呼び出された。
「先生、俺たちに何か用ですか?」
呼び出された誠は、唐突にそう聞いた。すると十文字先生は真顔で言った。
「実はゴブリンの足跡を調べた結果、現在のドラスの居場所が分かった。そこで、こちらとしては君達にドラスの救出をしてもらいたい」
「……は?」
誠は、あまりに唐突な話だった為に動揺が隠せなかった。そんな時、スレイヤが鋭く指摘した。
「ドラスは、生きているのですか?それと、何故強い人達ではなく私達なのですか?」
そう、それなんだよ。よく言ってくれたスレイヤ、ありがとう!
誠は、あまりに意をついた質問だった為、思わず心の中で全力で礼を言った。
すると、十文字先生は落ち着いて言った。
「あぁ。まず、ドラスは生きている。ドラスの生命反応を感知できた。
それと、我々が君達を推薦する理由は、君達のためを思ってなんだ。汚名払拭のチャンスを与えたかったんだ」
十文字先生がそう言うと、パトラは不思議そうな顔で言った。
「私達が目撃した後、ドラスはユリウス先生の監視下にありました。その中でさらわれたのは何故ですか?」
すると突然十文字先生の顔が曇り、それからやがて言った。
「それは、ユリウス先生は戦闘向きの異能を持っていないからだな。それより引き受けてくれるか?」
その質問に誠は真剣な表情で言った。
「どんな状況であれ、俺達の目の前で殺されたドラスが生きているのなら、自分達で助けに行きたいです」
そう言うと、十文字先生はホッと胸を撫で下ろした後、このことをホームルームで言うことを約束してくれた。
○○○○○○
あっという間に1日が終わり、気がつけばもう帰りのホームルームになっていた。
誠達が真剣な顔になっている中、十文字先生はついに口を開いた。
「今日は大事な話がある。それは、今からドラス奪還作戦を行いたいと思う。行く者は、ドラス奪取に立ち会った、伊達とスレイヤとパトラだ」
十文字先生がそう言うと、いつもはヘラヘラしている矢久座達でさえ真面目な顔になった。
皆、この事の重大さを感じているのだろう。
そんな中、4人の男が手を挙げた。
「先生、俺たちも行っていいですか?」
そこにいるのは、顔つきの怖い奴が3人。そして、おっとりしていそうな奴が1人。矢久座達と大だった。
だが十文字先生は、少し悩んだ末に冷たく言い放った。
「いや、連れて行けるのは1人だ。あくまで最低限の人数でないと、統制も取りづらい。
それに俺と他の先生もついて行くから、戦力的には問題はないだろう」
そう言うと、4人はいっせいに目を光らせ、じゃんけん大会を始めた。その最中、誠達は驚きを隠せなかった。
「「「十文字先生も来てくれるんですか?」」」
3人が息ぴったりに声を揃えて言うと、十文字先生は頼れる男感を出しながら言った。
「当たり前だろ、まさかまだまだひよっこの3人だけを行かせるなんて危険すぎる。
有望な卵はきっちり育てるのが義務ってもんだ」
刹那、クラスから歓声が巻き起こった。
「先生最高ーーーー!!!」
どうやらこのクラスに、十文字教に入信していないものは、皆無になったようだ。
そんな中、大が1人で大声をあげた。
「やったー勝ったー」
ふわふわしたキャラクターの大が大声をあげた事で、周りは大笑いしてさらに和やかになった。




