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刹那の王は独り嘆く  作者: 黒猫
特訓編
27/35

第27話 新たなる旅立ち

 作者の都合により、長らく休載した事をお詫び申し上げます。(読者いないかもしれないけど、一応言っておきます)

 これからも、たまに休載があるかもしれませんが、辞めたりはしないのでお願いします!


「あ!あの3人組人殺しよ。近づいたら殺されるわ!」


 あぁ、分かっていたさ。こうなる事ぐらい俺にだって分かっていたさ、でも……


「これは酷いだろ!」


 殺人事件の冤罪を被せられて3日が経ち、誠達は何とか退学は免れたものの、3日間の謹慎処分をうけた。

 そして3日ぶりの学校に行くと、他の生徒達からの視線と陰口は想像以上だった。


「まったく……これならいっそ、私達退学した方が楽なんじゃないの?」


 その効果は絶大で、あのスレイヤですら弱音を吐くほどだった。


「私達……どうなっちゃうの?」


 さらにあのパトラですら、不安がった表情を見せる。3人とも怒りと悲しみと恐怖、様々なものに駆られながら教室のドアを開いた。


 刹那、恐ろしい視線の中で何人かが近寄ってくる。大とヤクザ3人組だ。そして来た瞬間、大が一言いった。


「誠、これは本当のことなの?僕は君はそんなことする人じゃないと思うんだ」


 あぁ大、お前だけは信じてくれるか。俺はいい友を持ったな……

そう思うと後ろの矢久座3人衆も、パトラに真偽を問いている。誠達は、思い切ってクラス全員の前で言った。


「みんな聞いてくれ、俺達はドラスを殺していない!本当だ!」


すると周りがとてもうるさくなった。そんな時、あの男がクラスに入って来た。


「おい静まれ!そして伊達、スレイヤ、パトラ。3人は無罪だ!」


 あの男、十文字達也の言ったその一言は周囲のものを瞬間的に黙らせ、その後爆音のような生徒の声がクラスに鳴り響いた。


「まぁ落ち着け!実はドラスが魔王軍のゴブリンに、連れ去られたことが分かった。

そしてその3人はゴブリンと関わった痕跡がないと、調べて分かった。よって無罪だ!」


 すると口々に、周りのクラスメイトが謝ってくるが、誠達は浮かない顔をしている。

そしてしばらく経つと、誠が十文字先生に向かって言った。


「単刀直入に聞きます。貴方はミラ校長の本性を知っていますか?」


 そう聞いたが、十文字先生は首を横に振って知らないと答えた。

 誠達は、あのミラの事実を公表しようか迷ったが、これ以上疑われるのを避けるため、あえて公表しなかった。


 そして誠達が再び席に座ると、ホームルームが終わった。だがその後、誠達3人は十文字先生に呼び出された。


「先生、俺たちに何か用ですか?」


 呼び出された誠は、唐突にそう聞いた。すると十文字先生は真顔で言った。


「実はゴブリンの足跡を調べた結果、現在のドラスの居場所が分かった。そこで、こちらとしては君達にドラスの救出をしてもらいたい」


「……は?」


 誠は、あまりに唐突な話だった為に動揺が隠せなかった。そんな時、スレイヤが鋭く指摘した。


「ドラスは、生きているのですか?それと、何故強い人達ではなく私達なのですか?」


 そう、それなんだよ。よく言ってくれたスレイヤ、ありがとう!

 誠は、あまりに意をついた質問だった為、思わず心の中で全力で礼を言った。


 すると、十文字先生は落ち着いて言った。


「あぁ。まず、ドラスは生きている。ドラスの生命反応を感知できた。

 それと、我々が君達を推薦する理由は、君達のためを思ってなんだ。汚名払拭のチャンスを与えたかったんだ」


 十文字先生がそう言うと、パトラは不思議そうな顔で言った。


「私達が目撃した後、ドラスはユリウス先生の監視下にありました。その中でさらわれたのは何故ですか?」


 すると突然十文字先生の顔が曇り、それからやがて言った。


「それは、ユリウス先生は戦闘向きの異能を持っていないからだな。それより引き受けてくれるか?」


 その質問に誠は真剣な表情で言った。


「どんな状況であれ、俺達の目の前で殺されたドラスが生きているのなら、自分達で助けに行きたいです」


 そう言うと、十文字先生はホッと胸を撫で下ろした後、このことをホームルームで言うことを約束してくれた。




○○○○○○




 あっという間に1日が終わり、気がつけばもう帰りのホームルームになっていた。

 誠達が真剣な顔になっている中、十文字先生はついに口を開いた。


「今日は大事な話がある。それは、今からドラス奪還作戦を行いたいと思う。行く者は、ドラス奪取に立ち会った、伊達とスレイヤとパトラだ」


 十文字先生がそう言うと、いつもはヘラヘラしている矢久座達でさえ真面目な顔になった。

 皆、この事の重大さを感じているのだろう。


 そんな中、4人の男が手を挙げた。


「先生、俺たちも行っていいですか?」


 そこにいるのは、顔つきの怖い奴が3人。そして、おっとりしていそうな奴が1人。矢久座達と大だった。

 だが十文字先生は、少し悩んだ末に冷たく言い放った。

 

「いや、連れて行けるのは1人だ。あくまで最低限の人数でないと、統制も取りづらい。

 それに俺と他の先生もついて行くから、戦力的には問題はないだろう」


 そう言うと、4人はいっせいに目を光らせ、じゃんけん大会を始めた。その最中、誠達は驚きを隠せなかった。


「「「十文字先生も来てくれるんですか?」」」


 3人が息ぴったりに声を揃えて言うと、十文字先生は頼れる男感を出しながら言った。


「当たり前だろ、まさかまだまだひよっこの3人だけを行かせるなんて危険すぎる。

 有望な卵はきっちり育てるのが義務ってもんだ」


 刹那、クラスから歓声が巻き起こった。


「先生最高ーーーー!!!」


 どうやらこのクラスに、十文字教に入信していないものは、皆無になったようだ。

 そんな中、大が1人で大声をあげた。


「やったー勝ったー」


 ふわふわしたキャラクターの大が大声をあげた事で、周りは大笑いしてさらに和やかになった。




 


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