第23話 原点回帰と果て無き決勝戦 (後編)
よろしくお願いします。
「さて……じゃあ一丁行くか!」
スレイヤはすでに配置についている、あとは俺が二人の注意を引き、最後に支持されたところまで連れて行けば終わり!
ただ早くやらないと、ドラス達が息を整えてまたやってくるんだよな……
「できるだけ急がねぇとな!おい、そこにいる二人!俺が相手だ!かかって来いや!」
よし!これで挑発できたかな……
そう思ったが、目の前の2人は顔を見合わせて動揺一つせず言った。
「あの人は確か、このクラス内推定25位の弱者。私たち2人でかかれば、余裕で倒せます。行きましょう!」
「うんそうだね。さっさと片付けてしまおう」
舐められてるッ!何だよ、ドラスの扱いがひどいんだろうな……とか思ってたけど、テメェらくたばれや!
「俺がテメェらをぶっ殺してやるわ!」
ああ、ついつい語気が荒くなってしまった……まぁいい!この2人と3分間戦って耐久すればいい。
「それじゃあ俺が……気合の拳ッ!」
どうだっ!決まった……ってあれ?おっかしぃな〜全然効いてネェーーー!!
「やっぱりこの人弱いわ。私のHPゲージを1%しか削れなかった」
「そうだね。じゃあ次は僕たちの番です。僕の防御力増加の異能と、彼女の速度増加の異能。2人の合わせ技をとくとご覧ください」
目の前の2人がそう言った刹那、いきなり2人は突進してきた。まるでイノシシの様に恐ろしい速さで、加速した2人は、1人ずつ誠の腹をえぐった。
「うおえっ……ブハッ……」
まあそりゃ……2匹も腹にイノシシが突進してきたら……誰だって吐くよな……でも敵も捨て身のはず……!
「やっぱりこの人は弱いわ。私達のHP消費量は1%に対して、貴方は今の2発で25%削れた。つまりあとこれを4回行えば私の勝ちだわ」
「うんそうだね。じゃあもう一発行こうか」
おいおいマジかよ。俺もう限界だぞ!あと何秒稼げばいいんだ?
とりあえず話で時間を潰すか……
「おいお前ら2人。2人はドラスの事をひたすら支援し続けるのは、苦痛じゃないのか?」
誠が若干親身になって聞くと、2人は言った。
「そんな事、弱い貴方には関係ありません。ただ少しヒントを言うなら、私達はこの3人のペアを、既に6年前から組んでおります故、信頼しているのです」
え?ちょっと分からないんだけど……
「俺たちが異能を手に入れたのは、今から1週間程度前の話だよな……」
そう誠が不安全開で聞くと、2人は顔を見合わせて言った。
「まぁいつか貴方も、『魔王の家』についてわかる日が来るでしょう。その時にでも知って下さい」
いやいやいや……そんな超意味深なこと言われても……まぁいいか!これで3分経過だろ!
「とにかく俺はお前ら2人を倒すぞ!かかって来い!」
後はあの木の下まで行って、2人に突進させて激突させれば、スレイヤが氷のドームを作ってくれる!
「では行かせてもらいます!」
よし、2人とも突進してきた!これを受け止めたら……ブハッ!
「今だッ!スレイヤ!」
後は俺が上手く離れられたら……
「ナイスだわ、誠!それじゃあ……『絶対氷結』!」
どうだ……上手く行ったか……
「できたわ!氷のドームの中に2人を閉じ込めれた!それじゃあ誠、私はこのドームを管理するからドラスの元へ向かって!」
「分かった!やってやるぜ!」
そう言って誠は、ドラスの元へ向かった。
○○○○○○
「よし!ドラスのところに着いた!」
そう言ってようやく誠が到着した時、ドラスが言った。
「あら、やっと息も落ち着いて獲物を狩りに行こうかと思ったら、そっちからやって来たのね。まぁいいわ!行くわよ!ドラっち!」
『おうよ!まだ体力も残ってるぜ!』
たとえ相手が最強でも、負けるわけには行かない!俺はこれからもっと強くならないといけないんだ!
「だから……勝ってやる!」
パトラのおかげで、ドラスの残りHPは残り30%。俺の拳は一発0.5%削れるとしたら、60発当てれば勝てる!
そう思った時、ドラスが言った。
「ドラっち!こいつ弱そうだから、ドラっちは参加しないでいいわよ!」
『おいおい、また休みかよ!まぁいいけどよ!じゃあ俺はのんびりしてるぜっ!』
チッ舐められてんな……まぁ武術 を習って1週間程度だし、それまでは引きこもったてたし……
「でも舐められたら悔しいんだよ!」
まぁ勝てばいい!ただそれだけだ!
「とりあえず、まずは一発……殴るっ!」
どうだ……ってあれ?ドラスがいない……
「やっぱり貴方、弱いですね。私の動きも読めないんですかッ!」
グハッ……さっきの腹のところに拳を入れられたら……いてぇ……
「でも今度こそ当てるっ!」
「だから遅いって言ってるでしょ!さっき闘ったパトラは、もっと強かったわよ!1対1で負けたのは久々だったからね!」
グハッ……
「まだまだ!これから当て……グハッ!」
もうチート級だろ……こいつ……グハッ!
「もう貴方が弱すぎて失望しました。一体貴方はなぜそんなに弱いのに、何故強くなりたいのですか?」
あ?それはな!
「俺はあの日憧れちまったんだよ!ゴブリンから俺達を救ってくれたギルドの人に!
それから、いつかスレイヤ達と一緒に、ミラ校長の謎を解決するためにも、力が必要なんだ!」
俺がそう言った途端、ドラスの様子が変わった。
「ミラ校長?何?あいつに敬語?笑わせないで!私の人生を狂わした、あの忌々しい少女を!」
いきなりの変貌に誠が恐れる中、頭上の龍が焦っているかのように言った。
『落ち着け!ドラス、とりあえず落ち着くんだ!もう『魔王の家』でのことは忘れろ!』
「ドラっち、気が変わったわ。もうスタミナ全て使い切って良いから、龍装備を使うわよ」
『おいやめろ!それを使ったら、ドラス、お前の身体は持たないぞ!』
「うるさい!もうミラのことを考えただけで、怒りが止まらないのよ!良いから使いなさい!」
ん?目の前で、どんなやりとりが行われているんだ?さっぱりわからねぇ。
『もう好きにしろ!やってやるよ!ただ、死ぬなよドラス!』
そう龍が言った刹那、眩い光を放ちドラスが白銀の鎧を着ていた。
「そうよ!これよ!力が……力がみなぎってくる!!!!!ハッ!」
ものすごい装備を見にまとったドラスが、地面に拳を叩きつけた瞬間、まるで爆弾が爆発したかのように恐ろしい衝撃波が誠達を襲った。
「ヤベェぞ!これだとスレイヤも巻き込まれる!こんなデタラメ食らったら100%のHPも、持つかわからねぇぞ!でも俺も逃げないと!どうすれば!」
考えろ、考えろ!どうすれば良い?HPを減らさずにこの衝撃波を耐えきる方法は……あ!もしかしたらアレが出来るかもしれない!
「―時間停止!行動可能人間、伊達 誠、スレイヤ、以外!」
もしこの衝撃波が一過性のものなら、自分たちの時間のみを止めれば外の時間のみが動く。
従って時間の止まっている俺達は、5秒間無敵!
そして次の瞬間、迫り寄る衝撃波はいつのまにか消滅し、ドームがなくなったことにより、衝撃波を食らった敵の2人はHPが無くなっていた。
そしてドラスはあの鎧をまとった副作用なのか、地に這いながら悶え苦しんでいた。
そして誠はドラスの元へ近づき、告げた。
「お前、ミラ校長について何が知っているのか!あるなら教えてくれ、一体何者なんだ!
なんでキルタ村を滅ぼしておきながら、魔王を倒すための学校の校長をやっているんだ?」
するとドラスは苦しみながら言った。
「私の……知っていることは……教える……だから……そっちの情報も……教えてくれ……ないか……」
その声は息苦しいのか絶え絶えで、辛さがひしひしと伝わってきた。
「あぁ、約束しよう。そしてこれからは俺たちと協力しないか?何がこの世界で起こっているのかは知らないがスレイヤの持つ悩み、そしてドラス、お前の悩みも全部解決しようぜ!」
「ふっ……私がこんな雑魚に屈するとは……全く皮肉な話だな……まぁいい。これから宜しくな、というにはまだ早いが……」
そう言ってドラスは意識を失い、俺たちの勝利となった。
なんだか呆気なく終わり、どこかホッとしているが、誠達はまだ知る由もなかった。
この先に待ち受ける、驚愕の真実と果てなき悪夢を……
ついに次回が2章ラスト!(今回終わらせる予定が……)
予告 3章からは、少しシリアス要素が強くなります!今までの作風と、若干変わると思われますのでご了承ください。
ただ、超個人的に言うと面白そうな展開です。(自画自賛かよ!)