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刹那の王は独り嘆く  作者: 黒猫
模擬戦編
21/35

第21話 原点回帰と果て無き決勝戦 (前編)

今回は前編後編で分けたので、文字数が少なめになってしまいました。

すいませんでした……

決勝戦の直前、演習場の中に入った俺たちは、最後の作戦を立てていた。


「それじゃあ準決勝の戦い方を参考に、まずは隠密行動でドラスにバレないようにしながら、強化系統使いの2人を倒す。

これでいいかな誠、スレイヤ」


パトラがそう聞くと、俺とスレイヤは真剣な表情で言った。


「「了解!」」


その言葉の直後、頭上から戦いの幕開けを告げる声が聞こえた。


「それではこれより!伊達チームVSドラスチームによる、模擬戦決勝戦を開始する!」




○☆○☆○☆




さて……ついに始まったか。前回の大チームの試合を見る限り、今回もドラスは早めにドラゴンを召喚するはずだ……


そう思った刹那、奥の方で轟音が鳴った。恐らくドラゴンが現れたのだろう。


 だが、ここからは殺気や気配を全て消して、他の強化系統の人を倒さないといけないから、動揺はするな!自分!

 神経を研ぎ澄まして……


「どこかにいるはず……っていた!1人目!北西の方向!ここはスレイヤに任せて、俺とパトラは二人目の捜索だ!」


誠がそう言うと、スレイヤがこの緊迫した状況の中で笑って言った。


「そんなに真剣に戦っている誠は、1週間前の誠からは想像もできなかったわね。もしかしたら、人って意外と簡単に変われるのかもね」


ふっ、まったく、誰のせいで変わったと思ったんだよ。


「俺らをゴブリンから助けてくれたあの人や、お前のお父さんみたいな、憧れができちまったからな!」


そして、スレイヤやパトラみたいなまっすぐな気持ち、全てが俺を突き動かしてんのかもしれないな。


「それじゃあスレイヤ!そっちは任せた!パトラ、一緒に行くぞ!」


「分かったわ!」

「分かりました!」


 まったく、俺の性格はいったいどこで変わっちまったんだか……



 そう思っていると、突如上から、予想だにしない

声がした。


「やっと見つけました。と、早速ですが私は貴方達を倒します!全てをねじ伏せてでも!」


 ド、ドラスか?まずい。予想より早めに気づかれた。向こうもこのことを想定済みだったのか?

 とりあえず、龍王息吹(ドラゴンブレス)が来る前に逃げないと……


「『時間停止(タイムストップ)』!行動可能人間、伊達 誠、スレイヤ、パトラ!」


 15分に1回しか使えないから、30分のこの試合において、残り使用回数は1回だけど、仕方がない!ここであぶり出されたらすべてが終わりだからな……


「今のうちに隠れて、5秒が過ぎてドラスが移動したら、2人を仕留めるぞ!」


 誠がそう言うと、スレイヤとパトラは、分かったと言うように首を縦に振り、木の裏に隠れた。


「5……4……3……2……1……」


来た!時が動き出すッ!


「あら?いきなり消えた!あの3人はどこへ?ドラっち、何故だかわかる?」


よし。ドラスはかなり動揺している。そしてこの後あっちに行ってくれれば……


そう思っていた最中、空を飛ぶ龍が言い放った。


『恐らく時間を止めたんだと思うぜ!だからこの辺りにまだ残ってるはずだ!』


まさか!このドラゴンどんだけ勘が鋭いんだよ!


「そうね。たしかに今回の相手に、時間停止ができる人がいたわ」


 おいおいヤベェぞ。ドラスはこっちに来てるし……こうなったら……


 そう思った時、パトラが突然ドラスの目の前に行って、言い放った。


「誠とスレイヤは他の2人を倒して!私はドラスと闘うから!」


ナイス、パトラ!それなら勝機がある!


「いえ!貴方の好きにはさせません!二人とも、私の後ろに来て、後方支援をお願いします!」


 何故だ!遂に我慢の限界が来て誠は、パトラとともに前に出てしまった。


「おいお前は、ドラスって言ったか?!お前は仲間のことを放置して、自分で勝利をもぎ取るスタイルじゃないのか?

 だからこそ大のチームは、ドラスと一人で戦って時間を稼ぎ、他の二人を倒すと言う戦法が出来たのに!」


 なんだ?急にドラスの性格が変わった?だとしたら、さらに勝ち辛くなるぞ!


 するとドラスが少し恥ずかしそうに言った。


「私は準決勝の時に、デブ太郎と言う方に、互いを思うことが大切だと学びました。

 だから私は、 今まで放って置いた仲間を重んじ、全員が生き残る戦い方をするよう、この試合で心がけているのです!」


おい大のやつ!何やってんだよ!


「ところでパトラさん。貴方のチームの残り二人は戦力外ですね〜。まったくパトラさんはかわいそうです」


 は?突然ドラスは何言ってんだ?と思った時、隣にいたパトラの目が変わった。いや、気配が変わった。


 そしてその気配の変わったパトラが、その言葉に反応して言った。本気の目つきで。


「おいドラス、テメェは殺されテェのか!あ?誠もスレイヤも一緒に強くなろうって誓った、最高のチームメイトなんだよ!

 それを戦力外だって?殺すぞッ!」


 こ、これがパトラの二つ目の人格……めっちゃいい事言ってるけど怖ぇぇ……


 だが、そんなパトラを前に、ドラスは恐怖のかけらもないかのように言った。


「そう、そうです!もっと怒ってください!私は強い敵と戦いたいのです!己のレベルアップの為に!」


ど、どんだけ余裕なんだよ……って言うか、


「おいドラス、お前はさっき、チームメイトを思うみたいな事言ってたのに、キャラ変わりすぎだろ!」


 俺が恐怖に駆られながらも言うと、ドラスは笑って言った。


「チームメイトは大切にしています。ですが試合はあくまで、己のレベルアップの為。ですので、より強い相手と戦いたいのです」


あ、こいつ普通じゃないぞ、考え方が……


そう思った時、パトラが恐ろしい顔面で言った。


「誠とスレイヤ!2人はあたいがドラスの隙を作るまで待て!そして作れたら奥の強化系統の異能者2人を仕留めろ!」


うわ!怖え〜。と思いながらも、俺とスレイヤは素直に従い、後ろの木に隠れた。


「じゃあ行くぜ!ドラス!」


「えぇ。かかって来てください、パトラさん」


そして、3秒前まではただの演習場だった場所は、突如として大戦場となった。




次回が模擬戦編ラスト!ようやく本編っぽいものに入れます!

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