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刹那の王は独り嘆く  作者: 黒猫
模擬戦編
20/35

第20話 未来と過去と現在と

今回は区切りが良かったので、矛盾解消をメインに、謎を深める回になりました。


「大丈夫でごわすか?」

「しっかりしてよ!大!」


ん……ここは……保健室か。そっか、僕はドラスに負けて気を失ったんだ。


「大丈夫?貴方、名前は太田くんね」


あれ?今僕の隣にいる人……


「あのすいません……貴方誰ですか?」


「ひ、酷い!!!私の事は異能鑑定の時に見たでしょ!ユリウス先生よ!保健の先生!」


「あぁ〜そう言えば、そんな先生もいたな……保健の先生なのに、老いてるなって思いま……」


『フゴッ!』


な、殴られた……


「す、すいませんでした!」


「別にいいわ」


「そういえばゴッツ、そしてアカネ。負けちゃったな」


「うん確かに負けたよ。でもこれで次の課題とか、色々見えたから、これは負けじゃない。あたいらは、一旦負けておいたんだよ!」


「そうでごわす!また次頑張るでごわす!」


ふっ……2人とも……


「うん!次頑張ろう!僕達は絶対強くなろう!」


「「おーー!!!!」」


そして良い雰囲気のまま……


「おい!大、お前なんでドラゴン相手に素手で戦ったんだよ!勝つ気ないのか?

たとえ大が武術に自信があっても、攻撃力アップの異能でも使わないと、素手で戦うのは無理ゲーだろ!」


終わらなかった……


「誰かと思えば誠か。ただなんでそんな当たり前なこと聞くんだ?」


そう。僕が素手で戦うのは当たり前。まぁ強い異能を持ってればそれで良いけど、僕みたいな場合は素手が1番だよ。


「なんで当たり前なんだよ!大!全然意味がワカンねぇよ!」


「だってそうだろ、僕達()()()()()()は神からのご加護を受けてるんだから」


「は?意味分からねぇよ!神からのご加護?どう言うことだ?」


「おい誠、お前本当に異世界から来たんだよな。もちろん向こうの世界で死んでから」


僕が今まであって来た異世界転生者は、みんな死んでから神様に言われてやって来た、と言っていた。

だが神からのご加護を知らないなら……


「ん?俺は死んでないぞ。向こうの世界で部屋の中にいたら、突然ミラ校長がやって来て……」


「それは本当か、誠。神様にはあってないのか?全ステータスアップは受けてないのか?つまり誠は、()()()()()()なのか?」


「あぁ。俺はミラ校長に異世界に来いって言われてやって来た。それだけだ」


「よくわからないけど、つまり誠は僕達とは別ルートで異世界に来たわけだ。だから全ステータスアップを受けてない。そう言うことか?」


「あぁ。じゃあミラ校長は何者なんだ?」


「「ん……」」


そう言いながら2人は、ミラ校長が何者かについて考えていた。


だがそんなものの答えが出るはずがなかった……






○○○○○○






「お姉ちゃん!僕のことはいいから早く逃げて!お願いだよ!」


「駄目……そんな私だけ逃げるような事をしても、意味がないの!それじゃあ……駄目なの……」


それじゃあ私は、一生貴方に会えないまま、罪という名の重荷を背負って、生きていかないといけないじゃない……


『見つけたぞ、No.18!脱走するつもりだろ!』


くっ……思ったよりも追っ手が早かったわね。


「お姉ちゃん!僕を置いて早く逃げて!僕はこの『魔王の家』で生き延びて、いつか必ずお姉ちゃんに会うから!」


そ、そんな……でもここで逃げないと私は脱走罪で、さらに辛い人体実験をされる……


「わかったわ!絶対また会いましょう!親愛なる私の……」


あれ?急に辺りが真っ暗に……あ……れ……



『おいどうした、ドラスお前また魔王の家での事件を、夢としてみていたのか?』


あぁ……ドラっち、私はあのデブ太郎に勝った後ぶっ倒れたんだっけ?

あれ?そう言えば今見てた夢って何だっけ……


「まぁいいわ。それよりドラっち、さっきは無理に龍星群まで撃たせてごめんなさい。ちょっとムキになっちゃった」


『あぁ、別にあれしきのことで死ぬような、ヘボ龍王じゃねぇぜ!ドラス!』


「ふっ、流石は私の相棒じゃない!」


『当たり前だ!俺とお前は魔王の家時代からだから、かれこれ6年は一緒にいるんだ!そんぐらい理解してもらわねぇとな』


「その事なんだけど、周りの人は異能を使えるようになって、まだ一週間だからなるべくこのことは隠しなさい!

次に龍星群を使ったら、流石に怪しまれるわ。あれは一週間程度で習得できる技じゃないから」


ドラスがそういうと龍王、別称ドラっちは笑って言った。


『おうよ!これは俺とドラスの秘密だ!』


「まったくドラっちは、血気盛んで危なっかしいけど、優しいんだから!」


そう言って、龍王とその主人は他のチームメイトを連れ帰って、勝者の笑みを浮かべていた。

いや、この笑みが本当に勝ったからだけなのかは知らないが、とにかく笑っていた。




☆☆☆☆☆☆





「それで大……まぁ結局惜しかったな」


準決勝が終わり、寮に戻った誠たちは皆で唐揚げ定食を食べていた。


「うん。僕はまた次の機会に、あのドラスさんと戦いたいな!」


「そうか……じゃあ大、あのドラスに勝つにはどうすればいいと思う?」


これを聞いておかないと、勝てない可能性が高いからな……


「えぇっとね。あの龍王息吹(ドラゴンブレス)は3、4発が限度。龍星群(ドラゴニックスター)は一発が限界かな」


「まじか!限度があるなら勝てるかもしれない!」


誠がそういうと、隣から矢久座達が割り込んできた。


「大丈夫だろ?どうせまた、姉貴がボッコボコにするんだろ?」


「いや、そうとも限らないんだ。まだパトラの二重人格についてもよくわからないし、不確定だからな……」


「へぇ〜、そう言えば姉貴は、『弱い』って言われるとあの人格になって、俺たちはボッコボコにされたぞ」


「そうなのか、ありがとよ。あ、それよりどうしても気になることを聞いていいか?矢久座……いや、府領に聞きたいんだ」


そう。俺が聞きたい相手は、名字が違うのに3つ子設定という謎の奴。矢久座家三男の府領霧弥だ。


「ん、俺になんか用か?伊達?」


「あぁ。どうでもいいんだがな、模擬戦始まるまで、府領が矢久座達2人といた記憶がなくてさ……

なんだか俺の中では柄の悪い()()()ってイメージだったんだが」


そう。俺が府領と会った時から思っていたこと。それは、柄の悪い二人組で記憶していたはずなのに、府領を含め三つ子だったことだ。


「あぁ〜そりゃそうか。気がついたらいきなり俺が加わってるんだもんな、ビビるのも当然だわ。

実は俺、模擬戦の日まで風邪で休んでたんだ!」


な、なにその新事実!ちょっとびっくりなんですけど。でも超納得だわ。


「ありがとよ!府領、それにみんなも!俺は部屋に戻るよ」


俺はそう言って部屋に帰った。




☆☆☆☆☆☆




翌日、いつもより早めに俺は寮を出て学園に向かった。何故なら何と言っても、今日は決勝戦だからだ!


「おはよう!スレイヤ、パトラ。早速だけど、決勝戦の前に話したいことがあるんだ」


「何?誠、できるだけ早くして。作戦も話したから」

「何ですか、誠?」


「いや、パトラの二重人格といい、ずっと前に言ってた、オーラが見えるとか言ってたのとかさ、一体パトラは何者なんだ?」


一応決勝戦前に、今までの悩みを解決しておかないと、いいパフォーマンスは発揮できないからな。


そう思っていると、パトラが申し訳なさそうに言った。


「そ、そのことなんだけど……実はオーラが見えるっていうのは嘘なの」


へ?ほへ?


「えぇーーー!!!!!」


すると隣のスレイヤは、若干ドヤ顔をしている。なんかムカつく……


「あのね誠、実は私オーラは見えないの。あれは、初対面の人に対しての、いわゆるテストなの」


「テスト?」


「うん。オーラが見えるって言った時に、動揺する人はあまりいい人じゃないの。これ意外と使えるよ」


いや、オススメされても……まぁ俺の中の謎は少し解けたか。


「それから、なんで二重人格になると攻撃力とか上がるんだ?」


そう聞くと、今度はスレイヤが言った。


「誠は、よく質問するわね……まぁいいわ。パトラはもともとあの力を持っているわ。だけど、あの力を最大限引き出すには、怒りのパワーが必要。

従って、怒ればパワーが最大限使えて、そうなると人格が変わる。そういうことなのよ」


ほぉ〜つまり、人格が変わるとパワーが上がるのではなく、怒ることによってパワーが上がって、そのついでに人格が変わるということか。


「ありがとよ!2人とも!」


「いいわ別にこれくらい!」

「そうですよ。それより作戦の話をしましょう!」


そうだな。この決勝戦、敵にどんな思惑があっても、こっちも負けてられないからな!

そろそろ模擬戦も終盤です。模擬戦が終わるまでには、ドラスの謎は解明させる予定です。

乞うご期待!

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