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刹那の王は独り嘆く  作者: 黒猫
模擬戦編
19/35

第19話 圧倒的な力と互いを思う力

今回2人ほど新しい名前が出ますが、まぁモブ程度の扱いなので、いちいち覚えないでもらって構いません。

「それで大、今日の午後からは遂に準決勝だな!」


本戦1回戦と2回戦が終わり、昼食タイムとなった今、誠は大と2人で話しながら食べていた。


「うん。ただ、次の敵のリーダーの『ドラス』っていう人は、ちょっとチート級に強いんだよ……」


「あ、そういえばさっきから、そのドラスってやつの名前が、あちこちで聞こえるけど、ナニモンなんだそいつ?」


決勝戦に戦うかもしれない敵の事は、できる限り把握しておかないとな……

誠はそう思っていると、大は顔を強張らせて言った。


「多分このクラスで1番強い女の子だよ。彼女はドラゴンを召喚する異能を持っている。

その強さは常軌を逸脱していて、ドラゴンなしでも戦闘能力が高いんだ」


「それでも勝てよ!俺は決勝戦で大達のチームと戦いたいからな!」


誠がそう言うと、大はグッチョブサインを出しながら言った。


「もちろん!そして誠のチームも倒すからね!」


そう言って大は行ってしまった。


「まぁ、こっちも誰にも負けるわけにはいかねぇんだよ!()()()理由があるからな!」


誠もそう言って、歩き出した。




○○○○○○




大は誠と別れた後演習場に入り、試合直前でチームメイトと話していた。


「僕はこの試合でどうしても勝ちたい!そして決勝で倒したい相手がいるんだ!」


僕がこう言うと、2人のチームメイトは真剣な顔で言った。


「当たり前でごわす!絶対勝つでごわす!」

「うちらが勝っちゃおうぜ!大!」


ゴッツ……それに、アカネ……


「ありがとう!僕はこんな体型だけど、しっかり武術は会得してるから、足は引っ張らないよ!」


大が言ったその時、十文字先生の声が聞こえた。


「それではこれより準決勝!『ドラスチーム』VS『太田チーム』の試合を行う!



その声とともに、僕たちは戦闘モードに入った。



○○○○○○



「僕が敵で1番強い『ドラス』と1対1で戦うから、2人はそれぞれ強化系統の人を倒して!そしたら3対1でドラスを倒せる!」


戦場の中、そう僕が言うと2人は揃って言った。


「分かったよ!それまで負けるなよ!」

「負けるなでごわす!」


おう!って言うか、まず索敵に何分を要するか……もし向こうが若干余裕があるなら……速攻で仕留めるはずッ!


そう思った刹那、遠くで轟音が鳴り響いた。


 あれは白いドラゴン!こっちに向かってくるし!

って言うか、チート級だよね!全長10メートルはあるでしょあれ!


 大は若干怖気付いていたが、その後何とか気を取り直した。


「って考えてる暇ないな!僕はあのドラゴンに乗ってるドラスと戦うから、2人は急いで他の2人を倒してきて!」


「「了解!」」


 そう言って2人は、他の2人を探しに行った。

敵の2人はあのドラゴンを強化するから、あのドラゴンの周りに必ずいるはず。

 だから俺は心配せず、ドラスと戦わないとな!


 そう言って大はドラゴンの近くまで行った。


「とりあえずッ!僕の拳を食らえ!ドラゴン……ってあれ?」


ま、まさか……な。僕は地球ではボクシングやってたから、走る事以外には自信があるんだけど……


「なんで!何故このドラゴンは僕の拳を受けても、HPの変動がほとんど0なんだ!」


 大が恐怖のあまりに言うと、目の前のドラゴンに乗っている女の子は、無表情で言った。


「貴方は何故この学園に入ったのですか?」


あ?何こんな時に……まぁ良い。時間稼ぎには最適だ。


「僕は異世界転移者だ。だから、まぁ一言で言ったら、成り行きだな」


 ただ普通に異世界転生をして、学園に入れと言われて入って、面白そうだから今こうして闘っているのだ。


「へぇー。なら一つ言っておくわ。この先貴方は、絶対に私には勝てない。

 何故なら、貴方は戦う意義を感じていないから!理由がないから!信念がないから!」


 な、何スレイヤさんみたいなこと言ってるんだ……この人は。


「確かに、僕が君を倒すのは難しい。でも君も僕を倒せない。何故なら僕は……回復出来るから!」


 そうさ。僕は君が与えたダメージを回復できる。つまり時間稼ぎができる。この勝負、僕の勝ちだ!


「ふっ……貴方は何を言っているのですか?回復?ふざけないでください。そんなの回復させる隙を、与えなければ良いだけですよ」


 さぁ、この技はあのドラゴン(チート)には効くかな?


「は……ッ!必殺、コークスクリューブロー」


 どうだ!僕が地球時代に使っていた、ボクシング技の一つ!

 さらに、異世界転生時にあげてもらった攻撃力!これなら多少は……ってあれ?


「そんな攻撃、私の龍には効かないわよ。ドラっち、龍王息吹ドラゴンブレスをお願い!」


『はいよ!そいじゃあやりますか!』


何だあのドラゴン、喋ることができるのか……って言うか、なんかやばいのが飛んで来たし!


「痛えーーー!!今のあのドラゴンの技強すぎだろ!HPの減り方が凄い!でも……負けられない!」


「へぇ〜今のを喰らって耐えるんだ……でも私はこんな所で、立ち止まってられないんだ。ドラっち、もう一発やっちゃって」


『はいよ!相変わらず扱いが荒いね!まぁいいけどよ!』


また来たか!でもこれを避けないと、おそらく俺は勝てない……どうすれば……。そう思った時、大の目の前に人影が現れた。


「大!!!わいらが盾になるから!回復の準備を!」


ゴッツにアカネ、2人とも!なるほどッ、了解!

確かに僕は、走る事だけは苦手なんだよな……


「まぁいいや!回復(ヒーリング)発動!対象は僕達3人。回復量は全回復!所要時間は……30秒!

 2人とも!30秒間耐えてくれ!頼む!」


大がそう言うと、2人は笑って言った。


「勝つ為なんでしょ?ならうちらは、死んでも守るよ!」

「わかったでごわす!リーダー」


ありがとう!アカネ、ゴッツ!


「あら貴方達、意外とやるじゃない。まぁいいわ。私が力の差を見せてあげる」


「やっちゃいなさい!ドラっち!3回目の龍王息吹(ドラゴンブレス)!」


『もうだいぶ、体力切れなんだがな……まぁいいよ!」


向こうのドラゴンにも体力の限界があるのか……それなら勝機も……って集中!

近くでは、アカネとゴッツが守ってくれてるんだから。



「あら?これも耐えるんだ……でもそっちのHPはほとんど無い。もう終わりね。ありがとうドラっち、あとは私がやるわ」


そう言うと、ドラスはドラゴンを降り、1人で近づいてきた……回復まであと10秒!何とかなってくれ!


「それじゃあ3人とも、なかなかいい戦いだったわ。でも、私は勝たないといけないの。全ては()の為に……」


あと3秒!2、1、0!来た!


「じゃあ御愁傷様!」


そう言って彼女は、消耗している大たち3人を殴ろうとした、その刹那!


回復(ヒーリング)!!!間に合えーーーーー!!!」


「あれ?私の拳を耐えた?もう体力は残ってないはずなのに!」


そう焦るドラスに、大は笑って言った。


「僕達は……はっきり言って個々の力で、貴方に勝つことは不可能だ。でも、互いが互いを信じることで、この力は何十倍にもなるんだ!」


 そう。僕達は互いが互いを思った。だから、今の君の攻撃に耐えられたんだ!


「そうよ!私達は3人で貴方を倒すわ!」


「そうでごわす!わいらは3人揃えば無敵でごわす!」


 ふ、2人とも……僕は体型もダメで、()()()()()が無ければただの人間だよ。

 だけどそんな僕でも、最高の仲間とともに今、最高の時を過ごしてる!


「だから僕は……負けたく無い!」


 そう僕が言うと、ドラスはかなり焦った表情で言った。



「ムムム……絶対使う予定じゃなかったし、使ったら()()()可能性もあるけど……もう使うしか無い!

ドラっち!最後に一発だけ、無理を承知でお願い!龍星群(ドラゴニックスター)!」


『もう限界だぜ!……って言っても聞かないんだろ!あぁもう分かった!やってやるぜ!』


 何かが……くるッ!って空から流星群!いや、違う!さっきから放ってた龍の息吹がたくさん降ってくる!


 これを逃げ切るのは、難しいか……僕の足の速さだと恐らく範囲外には間に合わない。

 2人はもう何発か龍星群に当たってHPが0になったし……


「貴方、詰めが甘かったわね。上ばかりに気を取られて、私のこと見てなかったでしょ」


目、目の前にドラス!……フッ、


「フハハハハ……」


大はおかしさのあまりに笑ってしまった。


「な、何がおかしいのよ!貴方!」


「いや、最初は高飛車だったドラスさんが、僕達の事を恐怖し焦った。いや、僕達が恐怖させ、焦らずことができた。

これは快挙なんじゃ無いかなと思ってさ」


「ま、まぁいいわ。確かに貴方達は強かった。瞬殺では倒せなかった。それは認めるわ」


そうか。それは良かった。


「だから敬意をもって言うわ。ナイスファイト!また闘うわよ!貴方!」


「貴方じゃ無い。僕の名前は太田 大。とっとこデブ太郎とでも言ってくれ」


すると目の前の彼女は、笑いながら言った。


「分かったわ。それじゃあまた、デブ太郎!」


その次の瞬間、僕の意識はなくなった。


後で聞いた話だが、僕は負けたのに笑っていたようだ。

全くおかしな話だけどね。

おい作者!大のキャラは、もっとおっとりしているぞ!と思った貴方、まぁ人間は正念場になればおっとりしないものです。(多分)

ですので今回は、大が本気を出したとでも思ってください。

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