第18話 回復する者と龍を呼ぶ者
久々にあのキャラクターが登場します。
「以上で今日の模擬戦予選を終わる!」
十文字先生がそういった途端、クラス内から、沢山の歓喜とため息が聞こえた。
「疲れた!もう眠い!」
「あぁー負けちゃった……残念だな……」
そして、誠もそのクラスの中の一人として、声を発していた。
「今日は予選の日だったから、明日はついに本戦か……敵も強くなるから頑張らないとな」
そう言いながら、俺はテクテクと寮に帰っていった。
○○○○○○
「誠……何で……どうして僕は、矢久座達と一緒に飯を食べなきゃいけないんだよ!」
寮の食堂で俺はいつも通り、『とっとこデブ太郎』別称 『太田 大』と3人の不良と共に夕飯を食べていた……
「まぁ落ち着けよ、大。これからは俺らの仲間?になるんだからよ!」
すると矢久座達が突っ込んで来た。
「何で疑問形なんだよ!って言うか、俺達はとっとこデブ太郎と慣れ合う気はねぇからな!」
ふっ、馬鹿め。そう言うと思って、すでにプランは立ててあるんだよ!
「いいのか?お前らの姉貴の友達である俺が、チクる可能性を考えなくてよ!」
そう。つまり俺がパトラに、この3人の素行の悪さを報告すると、脅迫すればいいのだ!
グアッッハハハ……
「チッ、伊達は性格悪りぃーな。おら、デブ太郎!今日からはお前と俺はダチになんだ!宜しくな!」
「僕はなって欲しいなんていってないよー。こんな顔面が怖い3人と友達なんて……」
「あ?うるせぇーんだよ!こっちは姉貴の信頼度がかかってんだ!」
「おい矢久座達、そんな口調で大に行っていいのかな?」
「くっ……太田って呼べばいんだろ!」
ふっ、もう矢久座達はコントロールできるな。
「それに大も嫌がるなよ。友達は多いほうがいいだろ。それに、こいつらはそこまでやばいやつらじゃない……と思う?」
「何でまた疑問形なんだよ!」
矢久座、ナイスツッコミありがとう。あ、そういえば……
「ところでよ、今日の模擬戦予選で大のチームは勝ったのか?」
「ん?僕のチームは強いからね。当然勝ったよ」
「チッ、俺らのチームは初戦で伊達チームと当たんなきゃ、絶対いい線行ってたのにな……」
「まぁ矢久座、そんなにキレんなよ。それより明日は本線のマッチング発表と、決勝戦以外の本線トーナメント試合か。
とにかく、マッチングが気になるな」
そう俺が言うと、大が何か思い出すようにして言った。
「そ、そう言えばこのクラスにすごい強いチームがあったなー。そことは極力当たりたくないな……」
「おい大。それはパトラよりも強いのか?」
「おい太田、姉貴より強い奴がいるわけ……」
だが大は、矢久座が言いかける前に、まるでトドメを刺すかのように言った。
「うん。見てた限りだと、そこのドラゴン使いがパトラさんの実力を上回っていたよ」
ちゃんと他の試合を見ておけばよかった……まぁ上等じゃねぇか!そんな奴ら、俺がぶっ潰してやるよ!
「えぇと、今日の予選トーナメントで、10チームが5チームになったから、明日の本戦にはシードがあんのか?」
誠がそう聞くと、大は目を輝かせて言った。
「そう!しかも明日のシードになれば、次に戦うのは決勝戦。つまり、クラス内2位までは確実になると言うこと!」
「そりゃ楽しみだな……まぁとりあえず、俺は部屋戻るわ。それじゃあな!」
そう言って誠は4人の元を去った。
○○○○○○
翌日学校に来た俺たちに、いつもの通り熱い十文字先生は、大きな声で言った。
「それじゃあお前達!今から本戦のトーナメントを組む!」
そしてそれと同時に、周りでは歓喜が起こった。
「よっしゃあー!絶対1位になるぞ!」
「昨日のパトラさんの強さをもう一度拝見できる!」
「絶対ドラスチームが勝つに決まってんだろ!」
「ウルッセェーーーーー!!!!」
そして、そんな歓喜を十文字先生はいつもの通り鎮めるのだった。
「それでは本戦出場のチームのリーダーは、くじを引け!」
その言葉とともに、俺の隣にいる二人が鋭い目つきで言った。
「いいくじ引いてね、リーダーさん」
うわ!怖え〜と思いながらも、俺は十文字先生の元へ行き、くじを引いた。
「番号は……5?つまりこれって……シード!」
そしてこれを見たスレイヤとパトラは、嬉しいのか悲しいのかよくわからない表情で言った。
「これでクラス2位は確実だけど、実戦経験を積みたかった、あまりなりたくなかった……」
いや分かったけどよ……俺に言うな!
と言いたい気持ちを抑えながら、俺は二人を連れて観戦室に向かった。
○○○○○○
「うわっ……ほんとに試合だったのか?これ」
観戦室で第1試合、第2試合を見たが、瞬殺にもほどがあるだろ。これは。
「本当に、これが実力社会なのね。驚きを通り越して恐怖を感じるわ」
「ちょっとこれは怖いです。それとあのドラゴン使いさんが異常に強いですね。なんか戦い慣れている感じです」
この状況には、流石の二人も引いているようだ。発言から本当の恐怖を感じる。
まぁ、それもそうだろう。
1試合目は大のチームが、回復なんていうチート技使うから、削ったHPを全回復されてなす術なし。
2試合目は、なんかよく分かんないドラゴン使いが二人の強化系統異能の支援を受けて、フルボッコにしてた。
次はこの2チームによる準決勝か。共にフルボッコにしたもの同士、こりゃ見ものだな。
そう言いながら誠は決勝戦が不安になっていった。
○○○○○○
「どう?クラル。模擬戦の中で面白い生徒はいる?こっち側の人間となったときに、役に立ちそうな生徒は。
あ、もちろんあの3人は抜きよ」
どこだかわからない空間の中、ロリコンが見たら即鼻血を出しそうな少女が、その執事と思われる人と話していた。
「えぇ。新人でしたら、1年3組の方に面白そうな生徒が1人。名前は『ドラス』という生徒です。
異能は『龍王召喚』です」
「なんですか、クラル。あなたの目は腐ったのですか?召喚獣なら私がなんでも好きなだけ呼べるのですよ。
そんな私の下位互換などいりませんわ」
そう怪訝な顔をする少女を前に、執事は笑って答えた。
「まぁそう不機嫌にならないでください。なんて言ったって、彼女は『魔王の家』にいた少女なのですから」
そう聞いた途端、少女は笑った。まるで天使のように。
まるで悪魔のように。
キャラクターを一気に増やしすぎだよ!と思った貴方、すいませんでした。
これで一回新キャラは最後です。