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刹那の王は独り嘆く  作者: 黒猫
模擬戦編
14/35

第14話 虚しき初白星

よろしくお願いしま〜す


 誰もいないはずな真夜中の校長室、そこで小さな少女とその執事が話していた。


「ミラ校長。貴方様は知っておられたのですか?

あのキルタ村の生き残りが、ミラ校長が現場にいたと言う事実を知っていたと言う事を」


「えぇ。知っていましたが何か?クラル」


「それはまずい事だと思いますが。今からあの3人共々、私が排除致しましょうか?」


「いえ結構。貴方も聞いたでしょう?あの3人は今戦っても勝ち目が無いから、まだ戦わないと言っていた事を」


「はい……ただ、本当にこのままにして置いて良いのでしょうか?」


「問題ないわ。3匹の召喚獣が、引き続き監視をしているから」


「ならば、よろしいのですが…」


「それでは、私達もそろそろ戻りましょう。

私達の()へ」


 刹那、ここには元から誰もいなかったかのように、静けさが戻った。







☆☆☆☆☆☆






「おい…さすがに42.195㎞は、いくら特訓最終日とは言え、走りすぎな気が…もう限界なんですけど…」


 誠は現在、スレイヤとパトラと朝練を行なっている。ハード過ぎるほどハードな朝練を……


「ほら!誠、休まないで走る!もっと強くなるんでしょ!もうそろそろ学校の時間なんだから、頑張って!」


「そうですよ…誠…頑張らないと…」


おい、パトラも結構疲れてるぞ


「ほら、行くわよ!」


「「ひょえ〜」」




 あの日から3日、誠たちは本気で特訓した。

 ありえないほどハードだったが、お陰で俺は元引きこもりとは思えない程良い体となった。

・速くなった足

・強靭とは言えないがそこそこついた体力

・強くなった拳の威力


 そして誠はこの3日間で()()()以外の全ての課題をクリアした。

 そう、白虎拳以外は…


「ほら、この朝練が終わったら、3日ぶりの学校なのよ!

 どういう事だかわかってるの?模擬戦よ、模擬戦!ちゃんと白虎拳のやり方は教えてるでしょ。

 白虎拳は、殴るというよりもその後にどれだけ速くその拳を引けるかなの!」


「だから、それが難しいんだって…て言うか、42.195㎞走った後すぐに白虎拳の練習は、マジで死ぬんですが…」


「ま、まぁスレイヤ…誠はそれ以外は完璧になったんだし、白虎拳はゆっくり習得していけば良いじゃない」


パトラ。お前は天使か!


「ま、まぁパトラの言う通りね。この3日で誠は確実に強くなった。

まぁ、元々が弱すぎたんだけど」


「おいスレイヤ。それは酷くないか」


「「ハハハ…」」


 模擬戦のルールを知らないが、出来る限りの事はした。武術も少しは出来るようになったし模擬戦、頑張ってみるか!


 と、誠は気合十分で朝を終えた。



☆☆☆☆☆☆





「あぁ、何とか学校間に合った…朝ごはんに時間かけすぎた…」


 さすがに言えない。トーストを食べるのにぼーっとしてて、1時間かかったことなんて。


「遅いじゃない、誠。今日は朝練したから、寝坊はしないわよね」


「お、おうスレイヤ……何でだろうな?あはは……」


「誠!おはよう!今日は何で遅かったの?」


「お、おうパトラ……何でだろうな?あはは……」


「誠それ、私と受け答えの仕方が全く同じなのだけれど」


「何でだろうな?あはは……」


 と、誠が窮地に追い込まれている中、十文字先生が来た。


「おう、お前ら。会うのは3日ぶりだな。

それじゃあ、早速模擬戦を始めたいところだが、まずは模擬戦のルールについて説明する」


 先生が来たことにより静まった空気は、今急速に燃え上がった。


「っしゃー!ついに俺の異能の見せ場だ!」

「私達の成果、とくと御覧なさい!」

「みんな、僕の異能に惚れろ!」


「うるさいお前ら!今からルールを話すんだ。

少しは黙ってろ!」


「「はいボス!」」


「まず、戦い方だが模擬戦は実戦のように行う。

まず、異能は使って良い。何をしても良いが、武器の持ち込みは禁止だ。

 場所は、演習場。1チームvs1チームで、制限時間は30分。その間に何人残っているかで勝敗が決まる。

 それじゃあ質問を聞く」


 先生がそう言った途端、質問の嵐が起こった。だが、十文字先生は並大抵の先生ではなかった。


「それは総当たり戦ですか?」


「いや、トーナメント戦だ。マッチングは質問の後で決める」


「じゃあ先生、戦うとき、どうやったら自分が戦闘不能状態と見なされるのですか?」


「お、よく聞いてくれた。

戦う時には、皆今から配る戦闘服を着てもらうが、その戦闘服には腕の部分にHPゲージがあり、そのHPが0になったら、そいつは戦闘不能とみなす」


「そのHPとは、どのように決まるのですか?」


「それは、皆等しく設定されていて、人間の死ぬレベルの痛みの5倍まで耐えられる様になっている」


「つまり、致死量の5倍の攻撃を受けるとHP0になるんですか?」


「その通りだ。じゃあこのくらいで良いか?

今からチームのトーナメントのマッチングを決める」


「「フォーーー!!」」



「それでは、その前にチームリーダーを決めてくれ」


 と、先生が言った途端に教室はさらに騒がしくなった。

 そして、誠も皆の流れに合わせ二人の元へ向かった。


「さて、俺たちも決めるか。どうする?スレイヤ、パトラ」


「そうね。誠とパトラ、じゃんけんにしましょう」


「うん、わかった!でも、勝った人と負けた人どっちがリーダーになる?」


 ん、パトラはそう言うところ、しっかりしてるな。


「それじゃあ、勝った人にしないか?」


 だって、俺負けたことしかないことで結構、有名だったし……リーダーやりたくないし……


「分かったわ。じゃあそれで行きましょう」



「「最初はグー、じゃんけんポン!」」



 俺はチョキ。対してパトラとスレイヤは、二人ともパー。

ん?これはどう言うことを表すんだ?


「じゃあ誠、リーダー宜しく」


「頑張ってね、誠!」


 何故だ!今までじゃんけんを一度も勝ったことがないのに!何故だーーーーーー!!!!

 と、誠が嘆いている中、続々とリーダーを皆報告している。


「仕方無いか…」


 こうして誠は、不服にもリーダーとなってしまった。

 と、その中先生が言った。


「それじゃあ、全チームリーダーが決まったので、トーナメントのマッチングの抽選を行う!

リーダーは前に出て、くじを引け!」


 えっと…俺の引いた番号は…1番だから、ここか。

初戦の相手は、チーム矢久座(やくざ)って、なんか嫌な予感がするのだが……ヤクザって苗字はまさか……


「オメェらか初戦の相手は。雑魚だな!」

「チーム伊達って、このぼっちの集まりだったか!よかったな、初戦はクリアだ!」


 やっぱり…初戦の相手は、()()()()()のいるチームだ!










次もお楽しみに〜

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