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刹那の王は独り嘆く  作者: 黒猫
模擬戦編
12/35

第12話 鬼人流武術の習得までの道のり

よろしくお願いしま〜す

「それで、お前の異能って何なんだ?」


 現在誠は、この食堂に来て初めて人と喋りながら、唐揚げ定食を食べていた。


「んー僕の異能は特別だよー」


「いや、俺も特別だから気にしなくて良いぞ」


「じゃあ言うけど、絶対に笑わないでね」


ヤベェ。ここまで言われるとめっちゃ気になる!


「僕の異能は…」


「異能は⁈」


「その名も…回復異能!」


「フハッ!マジで?その体型で?アニメでは可愛い女の子が使える役割をお前が…プハッ!」


俺は回復魔法と聞いた瞬間、笑いを堪えられなかった。


「だから笑わないでって言ったのに…僕だってチーム内で散々言われているんだよ…」


「ま、まぁ、でも回復魔法は需要があって良いんじゃないか?とっとこデブ太郎よ、自信を持て!」


俺がそう言うと、急に機嫌を直した。


「そうだよね!ありがとうデビキン!」


「あの…デブ太郎、デビキンって呼ぶのやめてくれないか?」


「分かった!じゃあデモキンにするよ!その代わり、僕の名前は、太田 大(おおただい)って言うから、大って呼んでくれない?」


「ああ。分かった…って何で!()()()()って何の略だよ!後、太田 大って名前が体型表しすぎだろ!」


「ん?そうかな?普通の名字と名前だと思うけど。

後ちなみに、デモキンはデーモンキングの略だよ」


「いや、普通に俺の名前は伊達誠っていうから、誠って呼んでくれ」


「うん分かった。ところで誠も、異世界出身なの?」


「そうだよ。あ、そう言えば大、お前も確かにこの世界っぽくない名前だよな」


「うん、僕も異世界から来たんだ」


と、話している最中、予鈴の音がなった。


「ヤベェ。俺たちも行かないとな」


「うん。そうだね」


そう言って誠達は、急いで学校に戻った。






☆☆☆☆☆☆






「ところで大よ。お前はどうしてそんなに、()()()()()()!」


 誠と大は、予鈴から授業の始まるまでの10分の間に、1キロを走れなくて遅刻したため、現在廊下に立たされていた。


「くそ!中からは俺たちを嘲笑う声、スレイヤとパトラのため息。いろんなものが聞こえてくるぞ」


「まぁ、のんびり待ってれば中に入れるよ〜」


「おい。大、お前、超楽観的主義者だな」


と、話していると教室の中から声がした。


「おい、もう中に入って来て良いぞ!次から遅刻するなよ!」


 嘘だろ!なんか分かんないけど、大の予想が当たってる!

 そう思いながらも、俺たちは教室に入った。と、その瞬間先生が突然言い放った。


「それでは今から模擬戦の日まで、学校を休みにする。どういうことだか自分で考えろよ!

それじゃあ」


 そう言って十文字先生は職員室に帰っていく。そして、その後流石に全員が、演習場へ向かった。





☆☆☆☆☆☆




「うぇー流石に走る速度が速過ぎだぞ!スレイヤ!」


「そ、そうだよスレイヤ……ちょっと休ませて……」


 俺とパトラは、今スレイヤに改善を要求しているのだが…


「貴方達!そんなんじゃ魔王軍にいつまでも勝てないの!気合い入れないと、ダメなの……」


 スレイヤは思いつめたような顔をして、俺たちに逆に訴えて来た。

 するとパトラは仕方ないか、というような顔になり、俺だけがスレイヤのこんなに頑張る理由がわからなかった。

 そしてついに訪ねてみた。


「スレイヤ、お前はどうしてそんなに頑張らないと!っていつも言ってるんだ?

 あの不良達に対しても、いつも強い口調じゃないか。できれば教えてくれないか?」


 すると、スレイヤだけでなく、パトラまでもが顔を曇らせ、互いに目配せした後に口を開いた。


「そうね。貴方もチームメイトだし、言っておかないとダメかもね。

でも、他の人には言わないでよ。

じゃあ、今日練習が終わったら、教えるわ」


「おう…ありがとな、スレイヤ」


「い、良いのよ。その代わりちゃんと練習するわよ」


「それじゃあ、2人とも、鬼人流武術の伝授をお願いします」


「分かったけど、この道はパトラの方が上だから、パトラお願い」


「う、うん。分かった。それじゃあ誠、まずは拳の威力の強化から、今日の目標は威力増加(プラスパワー)を使わずにこの木をへし折ること」


「あの…パトラさん…流石にそれはちょっと無理ゲーな気が…」


「頑張って誠!応援してるよ!」


天使か!パトラのその笑顔は!


「おう!分かった、やってやる!」




○○○○○○





……かれこれ3時間経過


「おえっ!これ…無理ゲーだ…」


俺は現実的な壁にぶち当たっていた。それは…


「この木太過ぎ…」


「でも、誠、貴方だいぶ拳の威力をあげたんじゃないの?」


「そうか?スレイヤ?」


「そうよ。だって今は一回殴るごとに、木が揺れてるもん」


「確かに…」


「そうだよ誠!頑張って!」


「パトラのお陰だな。ありがとう」


「ううん。そんな事ないよ。それよりこのままで間に合うかな?模擬戦までには鬼神流武術の初歩の技、白虎拳を習得してもらいたいんだけど…」


「それはどんな技なんだ?」


「それぐらいなら私もできる!パトラ、私がやっても良い?」


「良いよ。じゃあスレイヤ、鬼神流武術 壱の型 白虎拳どうぞ!」


 パトラがそう叫んだのと同時に、スレイヤは思いっきり白虎拳を放った。


 木に向けて放たれた白虎拳は、高速で打ち付けられていき、残像が速すぎて白く見えて、まるで白い虎が飛びかかるように、木をへし折った。


「まっ、こんなもんよ!」


「すげーなスレイヤ。めっちゃ綺麗な拳だった!」


「誠、これをあと4日で習得しなさい!そうしないとおそらく、その異能一つでは、クラスの頂点には行けないわ」


「おう分かった!今日からさらに教えてくれ、パトラ!それにスレイヤも教えてくれ、よろしく!」


俺がお願いすると、二人は笑顔で言った。


「「当たり前じゃない。チームなんだから!」」


俺はこの世界に来て、やっと居場所ができたのかもしれない。共に切磋琢磨しあい、強くなっていくこの関係が、俺は好きだ。




次もお楽しみに〜

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