表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
刹那の王は独り嘆く  作者: 黒猫
模擬戦編
10/35

第10話 各々の異能

色々予定があって、2週間ぶりぐらいの投稿になってしまい、すいません。

「おじさん!唐揚げ定食を1つ!」


 授業を終えた誠は、いつも通りに寮の食堂で唐揚げ定食を頼んだ。


「はいよ。お前さん、また一人ぼっちか」


「う、うるさいな…仕方ないんだよ。

元からぼっち体質だったのに、みんなに怖がられる異能を持つ。

何でこんなに人生って残酷なんだよ!」


 とは言いつつも、誠はスレイヤやパトラの方を考えると、そこそこ良い生活じゃないか?と思っていた。


「まぁ、人生は谷底が見えれば雲の上が見えることもある。

強くなれよ!」


 このおじさん良い人だな…と思いながら、誠は1人で席に座り食べていた。

 すると周りから、自分に対する哀れみの声が聞こえて来る。


 そして居場所のなくなった誠は、さっさと食べ終えて教室に向かうのであった…





☆☆☆☆☆☆





 寮を出た後、教室に着いた誠は、スレイヤとパトラと話していた。


「2人に正直に言って欲しいんだけどさ…はっきり言って俺の異能って全異能の中で、1番弱くないか?」


 俺はどうしても聞きたくて、2人に尋ねると、意外な返答が待っていた。


「私はそんなことはないと思う。

 確かにその異能は、おそらく成長はあまりしないし、タイムラグもある上に一回に止められる時間も少ない。

 でも、頭を使えば何でもできると思う。

 例えば、この間のゴブリンと会った時のように、逃げることにも使えるしな」


 スレイヤは、きついこと言うけど優しいところもあるじゃん。

 と思っていたら、パトラも答えてくれた。


「私はその異能強いと思うよ。だってその5秒間は言っちゃえば無敵だよ。

 私はそんな異能が欲しかったなー」


 なるほどパトラ。そう言う考え方もあるのか。


「そうか。でもやっぱり15分間に1回しか使えないから、他の時間も戦えるようにしないと、今度の模擬戦も戦えないよな…」


「なら私とパトラは両方、鬼人流武術を使えるから、教えてあげましょうか?」


「まじか!スレイヤ、パトラ!」


「う、うん。チームが強くなるし、誠も強くなるし、私達でよければ…」


「マジか!ありがとな!

 ところで今日授業で、()()()()って言うところについて習ったんだけど、可哀想な村だよな」


 そう誠が聞くと、2人は急に真剣な顔になって、うつむいてしまった…

 と、そのときちょうど、十文字先生がやって来た。


「お前ら!今から異能の授業だが、今日は実際に異能を使う!」


 と、先生が言った瞬間、クラスに歓喜の渦が巻き起こった。


「俺、初めてだ!異能使うの!」

「みんな、僕の異能に惚れろ!」

「先生マジ神っす!」


「それじゃあ、みんなついてこい!

演習場まで走るぞ!」





☆☆☆☆☆☆





「はぁ…はぁ…はぁ…

おい…俺たちをどんだけ走らせんだよ!軽く10キロは走ったぞ!」


 元引きこもりの誠にとって、この走っていた1時間は今までの人生で最も天国に近かった時間であった。


「おし。それじゃあ今からこの演習場の中で、自由に異能を使って良いぞ。

人生初だろうから、楽しんで使え!」


 そう先生は言うが、誠を含むクラスの全員に、もはやその気力は残っていなかった。

 そんな状況を察して、先生が言った。


「おいどうした。まぁ、さすがに疲れたか。

 それじゃあ、そこにある施設の中に、温泉があるから一回浸かってこい。ただ、終わったらちゃんと異能を訓練しろよ!」


 と、その途端にクラスの全員が歓喜の渦に包まれた。


「神、神が降臨したぞ!!!!」

「うぉーーー!!」

「早く浸かりに行こうぜ!」


「じゃあ俺も行くか。スレイヤたちが女湯だから、俺はぼっちで」


 そして誠は、1人でぼーっと疲れを癒したのであった。






☆☆☆☆☆☆





「それじゃあ全員整列!全員風呂から上がったか?」


「「はい、上がりました。ボス!」」


 もはやクラスのほとんどが、十文字教の信者となっていた。


「おし、それじゃあ今からこのだだっ広い演習場で、自由に異能を使っていいぞ」


 そう言われたのと同時に、みんなが異能を使い始めた。


「それじゃあ俺も使おうかな…時間停止(タイムストップ)


「………」


 やっぱりこの異能は…


「クズ異能だ!!!」


 そう誠は悲しみに浸っていたところに、スレイヤとパトラがやって来た。


「誠の異能は、本当に頭を使って使わないと、強くないわね…」


「おい、スレイヤ!人が悲しみに浸かってる中、なんでそんなことを言うんだ…」


「そうだよスレイヤ。誠の異能は、魔王の異能なんだよ!」


 おい、2人とも何を言ってるんだ。

 スレイヤは、俺の異能は頭を使わないと弱いって言ってるし、パトラのフォローは結局この異能の1番嫌なところを言ってるだけじゃないか!


「やっぱり、俺の異能は弱いよな…」


 誠の気分がさらに暗くなって言ったその時だった。


「でもその異能は、いつか必ず必要になる時が来るから。前のゴブリンと会った時のように」


パトラ…


「私達は、もっと強くならないといけない。その為には、もう既に、誠の異能が必要なのかもね」


スレイヤ…


「ありがとう2人とも。なんか元気が出たよ!

あ、ところでパトラ、今から異能を使ってくれないか?」


「え?どうして?」


「いや、スレイヤの異能は見たことあるけどパトラのはまだないから」


「それは是非、私も見たいな。お願いだ、パトラ。今から使ってくれないか?」


「分かった。それじゃあ誠、まずそこの木を思いっきり殴ってみて」


「え?どう言うこと?」


「まぁ、とりあえずお願い」


「う、うん…とりゃー」


 木を思いっきり殴ったが、誠の拳はこの木に傷の1つも与えることはできなかった。


「それじゃあ今から私の異能を使うね。「威力増加(プラスパワー)」。それじゃあ、もう一回この木を殴ってみて」


 パトラの異能がいくら威力増加だとしても、流石にそこまで差はないだろ…

と思いながらも、また木を殴ってみると、


「え…嘘…だろ…」


 今度は誠が殴った木に穴が開いていた。


「パトラの異能って、マジで凄いやつだな…」


「いや…そんなことないよ…」


「さすがパトラね。パトラと同じチームで本当に良かった」


 あの…そのセリフ、俺まだ言われてないんですけど…



 と言っている間に、もう授業が終わってしまった。

すると十文字先生が鬼のような事を言った。


「家まで走って帰れ!」


「「嘘だろ!」」


 誠だけでなく、クラスの全員がその瞬間、ショック死しかけた。











次もよろしく〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ