2話 王女の言い訳
目が覚めた俺達は絶句した。そして、同時にある疑問が頭の中に浮かぶ。
──ここはどこだ、と。
* * * * *
「あぁ…!!勇者様方!!」
「成功したんだ!!」
「やった…これで!」
困惑している俺達に、様々な歓喜の声が聞こえてくる。そこには、とんがり帽子にローブを着た人達がいて真ん中に赤いドレスを着た美女が立っていた。
「あ、あの…ここはどこなんですか?」
誰かが問う。すると美女が口を開いた。
「失礼しました。勇者様。私はエーテミア王国第一王女のステファニー=エーテミアです。そしてここは、勇者様方から見た異世界になります。私達が魔法で勇者様方を召喚しました。」
「…」
意味が分からなすぎて誰も返答が出来ない。
たが、段々と状況を理解し始めたのか、
「ふ、ふざけんな!拉致じゃねぇか!」
「なにそれ勇者ってどういうことよ!」
「よっしゃぁぁああ!異世界転移!!」
様々な怒声が聞こえてくる。…喜んでいる人もいるようだ。ラノベは俺も読むが、今のところ不安でしか無い。とりあえず情報が欲しい。皆が静まったら質問しようかな。
「本当に申し訳ありません。ですが今は我々の話を聞いて頂けませんでしょうか?」
ステファニー=エーテミア…だっけ?王女が頭を下げる。とりあえず皆一旦黙るが、納得はいってない表情だ。
「では、場所を変えます。ついてきてください。」
* * * * *
連れてこられたのは大広間みたいな所だ。そこで椅子に座りながら俺達は王女の説明やら質問に対しての言い訳やらを聞いていた。
話を纏めて分かった事を自分流に纏めると、
1、この世界にはステータスや魔法、スキルが存在していて、まさにゲームみたいな世界。
2、勇者を召喚した理由は、凶暴で人に害をもたらす「魔物」を統べる「魔王」が復活したから。
3、「魔王」は強大な力を持っていて、同じく強大な力を持っている勇者でないと倒せない。
4、俺達には召喚の際に得た力があり、その力で魔王討伐をして欲しい。
5、王女は「勇者様方」と言っていたが正確には勇者はこの中の1人だけで、その1人以外も強い職業に付いているが勇者が最強とのこと。
6、勇者と特に強い転移者3人でパーティを組み、魔王討伐に向かって欲しい。
7、そのパーティに入れなかった人達も、この世界の各地で出現する魔物の討伐をして欲しい。冒険者も討伐しているが、それだけでは厳しいらしい。
なるほど。色々聞いたが、やはり「ただの拉致」である。今すぐ返して欲しい。