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選べない 未来  作者: 秋野 木星
第一章 お互いの思い
5/8

⒋ 大人の事情

新しい担当職員は、・・。

 マッチングシステムビルの中にあるレストランに来ている。

パートナー同士の顔合わせという使用目的に合わせているのか、クッション性のいい椅子や鉢植えなどがうまく配置されていて、プライベートスぺースでくつろいでいるように感じられるインテリアになっていた。

低いボリュームで静かな音楽も流れている。


歩いてここに来たことによって、現地時間十時に指定されていたシステム課でのパートナーミィーティングにも充分間に合った。

そこでいろいろな書類手続きを済ませ、このレストランにやって来た。


パートナーのニナと新しい担当職員と一緒だ。


新しい担当職員といっても、見た目は古い。珍しいことに結構な爺さんだ。

医療技術が進歩した割に、長生きする人は最近少ない。

学者が「種の衰え」を声高に叫ぶほどに。


この人まだ仕事をしていても大丈夫なのだろうか? と心配になる。


「まずは、本当の自己紹介からだな。書類じゃなくてね。私は、スミス君の代わりに、急遽君たちの担当になったセザール・ナカムラと言う者だ。よろしく。ウォッホン、タカオのためにゆっくりしゃべるよ。」


ありがたい。急な交代のわりに配慮が行き届いていると思っていたけど、この人意外にこの仕事に慣れているようだ。


「ただ、私もニナも少しは日本語がわかるから、日本語しかないニュアンスの時は日本語にするね。」


それを聞いてびっくりした。えっ、ニナも日本語がわかるのか?

俺が驚いたのがわかったのか、ニナが頷いた。


「まだ完璧に話せるわけじゃないので書類上には書いていませんが、日本語を勉強しています。」


「じゃあ、専門に学んでいる中世史って日本の中世史ってこと?」


ニナが笑って言った。

「そうなんです。だからタカオのパートナーになって日本に行けることになってとても嬉しいです。」


はぁーー。知らなかった。と言うよりニナの情報を詳しく読んでいなかった。

俺がニナに興味を持っていなかったことは、今の質問で丸分かりだろう。

少し申し訳ない思いがする。


「君たちは勉強して興味を持ったのが、歴史という共通点がある。

そして二人とも自然が好きだ。

私はここの管理長をしている関係で、君たちのマッチングには最初から目を通してきているが、今までにない面白いカップリングだと思っているんだ。

それに新しい試みもある。人間の本能、自然回帰に着目する試みだ。

今、生きることに無気力な若者が増えている。そして寿命もだんだん短くなっている。

なぜか? ということだよ。

これを打開するための試みが、今年から各地で始まった。

私としては、ぜひ君たちに人類の希望になってほしいと思っているんだ。」


いやに大きな話だ。

そちらの都合で何かを期待されても困る。


「そんなことを言われても・・俺は、自分の思うようにしか生きられませんから。」


「わはは、君のそんなところをかってるんだよ。

人に言われるがままではなく、君たちの思うように家庭を作って行けばいい。

君たちは特殊例として、これまでにはない君たち自身の希望も受け付けていくことになっている。

家庭を作って行く上での希望があったら、なんでも担当者に相談して欲しい。

それに対応できるように、担当者も精鋭を付けた。

今回スミス君が病気になったことは残念だが、私が担当することになって、年甲斐もなくうきうきしているんだ。

ウォッホン、今後共よろしく頼む。」



はぁ、なんだか分からないけど、こっちの希望も聞いてもらえるに越したことはない。

・・・よかった・・のか?



「後は、若い人同士でー。」

とかいうナカムラさんの言葉にまた緊張してきたが、昼食を食べながら、パートナーであるニナと向き合う時がとうとう来たようだ。









次は、とうとうニナちゃんですね。

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