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選べない 未来  作者: 秋野 木星
第一章 お互いの思い
2/8

⒈ マッチ・メール

ちょっと短いですが、

タカオのそれからを覗いてみましょう。

 明日の十時には、世界中でどこになるのかはわからないが、何処かのマッチングシステム管理課へ行かなければならない。

パートナーとの顔合わせがあるのだ。


パートナーが国内の人ならば、お互いの居住地から距離的に真ん中辺りにあたる市の管理課まで、エァ・ジェットで飛ぶことになる。

このエァ・ジェットは超音速で飛ぶので身体への負担が大きく、この様な時間を短縮しなければならない用事の時にしか今は使われなくなっている。とにかくこれに乗ることになるのなら飛行服が必要だ。


海外の方が簡単で、ゲートと呼ばれる転移装置で移動することになる。

まず日本の国際転移ステーションに行き、それから相手の国のステーションに転移する。大抵の国の国際転移ステーションには近くにマッチングシステム管理ビルがあるので、たぶんそこで相手に会うことになるのだろう。

男の方が相手の国まで出向く決まりになっているが、どうってことはない。ゲートを相手より余計にくぐるだけのことだ。



 マッチ・メールを見たくなくて放置していたが、

明日のことを考えると今夜は見ておかなければならない。


長年お世話になった施設長と保母のアマミさんに、今朝、パートナーがどんな人だったのか聞かれたが、答えられなかった。

まだメールを見ていないと言うと、あきれられた後で、タカオらしいわねと言われた。

何日も前から俺が落ち着かなくて荒れていたのを、二人は知っているのだ。


でも見なきゃいけない。

ずっとこれから逃げ続けるわけにはいかないのだ。



 深呼吸をして、写真のアッドをタッチした。

携帯からすっと白い光が立ち上がると、目の前に立体の少女が立っている。


にこやかに笑っている。

まず、そう思った。


この子は俺のホログラムを見て、どう思ったんだろう。

施設長が撮影してくれたのだが『もっと笑え、怖い顔になってるぞ。』と何度も言われた。


この子は、自然に微笑んでいるように見える。

俺のひきつった笑い顔とは大違いだ。


思っていたより受け入れやすい顔だった。


もっと、つんつんした美人を想像していたのだ。

今は混血が進んだのもあるが、整形技術のおかげでみな同じような美人顔をしている。


少しぽっちゃりとした丸い顔、肌はみんなと同じように黒褐色だ。

ただ髪の色は、希少色の銀色だった。


へぇー、珍しい色の髪だな。

見たことない。

ということは外国の子か?


居住地を見てみると、スイス・ジュネーブとあった。

北欧系の母親とスイス人の父親から生まれたのかな? と想像する。

生まれた子は大体、父親の国の施設で育つことが多いのだ。


外国か・・。

まあ、これは予想範囲内だ。

セブのパートナーもアメリカの子だった。


ただ、共通言語を一生使わなくてはならない。


今は国際共通語を習うのが必須になっている。

数学・国語などより、この共通語の授業時間が一番多い。

俺、共通語は苦手なんだよな。



 はぁーーー、やっぱ嫌だな。


もう、明日だ明日。

アマミさんの言うように、会ってみなければわからない。

そしてどんな生活になるのか、一緒に暮らしてみなければわからない。


一緒に暮らしていける人かどうか悩むのは、その後だ。




 そうして、二・三日の間、管理ビルに泊まれるだけの荷物を用意していたカバンの中に放り込むと、

頭の中を真っ白にして寝てしまうことにした。










そんなことでいいのですか?


これからずっと一緒にいる相手。

もうちょっと興味を持ちましょうよ・・・。


次は、出会いです。

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