日常
昔書いた東方のほんの短編の文が、見返したら意外とちゃんと書いてた
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風が心地いい。
風鈴の音が、凛と響き頭の中で反響する様はまるでやまびこである。縁側に座り、差し込む光も少々暑いが少し慣れればどうってことない。
カランと麦茶に入れていた氷が崩れ、音を鳴らす。
あぁ、夏はいいなぁ・・・。
とある少女が1人でゆっくり安らいでいる所に、聞き知れた声が辺りを響かせる。
「おーい、霊夢ー。いるかー?遊びに来てやったぜー!」
・・・ピキっ。と何がが切れそうになる寸前の音が、その少女の脳内をかき乱す。
「おーい、いないのかー?いないなら勝手に上がらせてもらうぞー。」
「いるわよ!縁側に座って安らいでるの!」
とうとう我慢の限界になった紅白の巫女服を着る少女、博麗 霊夢が少し怒り気味に叫ぶ。
「お、いたのか。上がらせてもらうぜ!」
「あんたねぇ・・・私がいなくても上がるつもりだったでしょーが」
「お、分かってるじゃんか」
「自分で言ってたでしょ、さっき」
そうニコッと笑いながら、当たり前のように入ってきた少女はそのままつい最近゛河童゛という種族の妖怪から貰ったという冷蔵庫へ向かっていく。
名前は霧雨 魔理沙、黄色い髪に少し大きめの魔女帽子がチャームポイントである。実は魔法使いで、様々なマジックアイテムを集めるのが趣味。この世界では、珍しく目立つ゛人間゛なのである。
本人曰く、笑顔も大事だぜ!らしい。
「そーだっけかなー。あ、せんべいとかあるー?」
「相変わらずね、アンタは。あとせんべい冷やすわけ無いでしょ。お茶ならそこの縁側に座って待ってなさい、今出すから。」
「おっ、これはありがたいぜ。サンキューな!」
「はいはい、どう致しまして」
霊夢は縁側から離れ、変わりに交代する様魔理沙が縁側に腰を下ろす。
「緑茶か抹茶か麦茶。どれがいい?」
「キンキンに冷えた麦茶で頼むぜー」
「分かったわ」
とある河童から貰った冷蔵庫の中から麦茶を取り出しコップへと注ぐ。ついでにカランカランと氷も2、3個入れた。
にしてもこれ本当に便利よね・・・何も、妖力が冷気の元だとか。補充も要らず、大気中に存在する妖力を使って動くらしい。たまにいるのは3年に1度のメンテナンスと来た。
霊夢は改めて冷蔵庫という物に関心し、麦茶を魔理沙の元へと運んでいく。
「はぁー、やっぱここは涼しいぜ。」
「涼みに来るだけなら、あんたの所でも良かったじゃない。」
「何言ってんだぜ。森はジメジメして風通し悪いんだぜ?」
「そういうもんなのかねぇ・・・」
そういうたわいもない話をして、縁側ライフを楽しんでいる所にまた聞き知れた声が響く。
「霊夢さーん、いますかー?」
「お、誰か来たようだぜ?」
「全く。なんでこういう時に限って客が多いのよ。居留守使おうかしらね。」
「茶請けなど持ってきたのですがー」
「縁側にいるから上がってきていいわよー!」
「掌返し速っ!?」
「分かりましたー」
やって来たのは銀色の髪の毛でショートカットの、半霊少女こと魂魄 妖夢だ。そう、何を言おう半分人間半分幽霊という、どういう立ち位置にいるのかわからないやつだ。
これも本人曰くだが、半霊じゃありません、半人です!!らしい。半人を主張しているので、カテゴリー的には゛人間゛なのだろう。
…人間じゃないな。
「幽々子様からなんですけど、春の花見で余ったお菓子など分けてあげるようにと」
「いつもありがとうね」
「お、お菓子かー!」
「これはまだ食べないわよ」
「えー、もったいないんだぜー。」
「あ、やっぱり魔理沙さんもいたんですね」
実は、よく魔理沙がここ博麗神社に来るため、皆も魔理沙がいるのは当たり前だと思っている。多分だが、霊夢の知人なら全員知ってるだろう。
結局、妖夢にも麦茶を出し縁側で3人ゆっくりと世間話をしていた。
するとまたまた、またもや聞き知れた声が聞こえてきた。
「霊夢さー」
「いるわよ!縁側に!!」
そして何故か休みたい日に客が多すぎることに怒りした霊夢、堪忍袋の緒が切れ叫んだ。
その様子を見た魔理沙は少し自慢げな顔で霊夢の状況を実況する。
「霊夢は激怒した」
メイド服が良く似合うその少女の名前は十六夜 咲夜。紅魔館という所のメイド長として紅魔館を守っている瀟洒な人である。
来た理由は主あるじからの使で、妖夢と同じく差し入れに来たのだとか。ちなみにこの少女も、世界では世にも珍しい目立つ゛人間゛なのである。
「全く。どうしてこんなに客が来るのかしら。魔理沙が来る前にも早苗とチルノ達も来たのよ?信じられる!?来るなら参拝客で充分よ本当に。」
「ま、そういう日もあるぜ」
「何があるか分からないですから」
「人生って不思議ね」
「あんたらが言うな!」
1人で涼んでいた数分前とは考えられないくらい、騒がしくなった博麗神社も正直霊夢には心地が良かった。ま、絶対言えないけどね。