表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

七夕アタツク

作者: につき

一、





あの

ひとつぼしは

あなたのかたみ


ひっそり

きれいなほど

かなしく

ひかっています


わたしは

いま

ほしのピアノを

きいています


あなたの

声は

どんなでしたか


はなそうとする

そのまえの

うごきを

わたしは

わすれてしまったのです





二、





永遠の川が

天に流れ

きょう

カササギの橋が

架かります


永遠の

愚か者だけが

渡ることのできる

その橋の

アーチのてっぺんで

一対の男女は

なぜだか

少し離れて

思いを込めた

眼差しを


ふたりの

そらに

ほしが

ながれます


ひとつ

ふたつ

みっつ

……


飛びかうのは

かぞえきれない

恋人たちの

メールたち


ひとつ

地に落ちた

ふたつ

海に消えた

みっつ

ぶつかり合って

眩い閃光


浮かび上がる

熱のまなざし

首筋の汗

踏み出した半歩

はじまりの

ゆびさき





三、





こおりのかぜ、

どこから吹いた。

やまのむこう

うみのさき

日の沈むところから。

いいえ。

すぐそばの塀の影から。

まだ忘れられない

昨日の片隅から。





四、





きらきらぼし

弾む

弾む

かたちはないけれど

とても大切な

胸騒ぎ


もしも

世界がすでに

終わっていたとしても


目を閉じている

このひと時だけ

わたしでいよう





五、





なぜ

美しいのですか


暑さの風も

届かないほどの

天蓋の

冷たい闇から


きっと

ひとりで

あなたは

落ちてきたから


この

水たまりの

世界の中へ






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 虚空に漂う宇宙船 静止しているのか、恐ろしい速度で奔っているのか 比較するモノのない空間にあって、それは誰にもわからない。 よしんば並行する僚船があったとしても、速度が同じなら静止してい…
[良い点] なるほど、黒猫さんは自分の暮らす世界をビオトープにしてしまいました。 箱庭に見立てる人もいますが、いずれも巨視の持ち主ですね。 ビオトープか…… これは愉快 人造物などひとつもないですから…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ