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美少女男子高校生の日常  作者: くろめる
第二章 夏
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合宿5

「肝試しをしよう!」


合宿最終日のお昼過ぎ、唐突なミッチー先輩からの提案で、バスケ部のみんなや臨時マネのみんなは唖然とする。


「いやいや、そんな惚けた顔してないでさ。合宿も今日で最後だよ?練習ばかりじゃなく楽しい思い出を作ってもいいと思うんだ」


なるほど。合宿完了をねぎらうキャプテンの心意気ってわけですな?

それは是非やるべきでしょう。


「うん。理解してもらえたようで良かった。時間は今日の夕飯食べたあと、7時30分からにしよう。舞台はこの近くの神社への細長い林道を往復する感じでどうかな。あ、もちろんペアで行くこと。お相手はくじ引きね」


うん。確かにあそこなら雰囲気もいい感じだ。距離も長すぎず短すぎずで丁度いいだろう。

ペアで行くというのも定番でドキドキするな!男女まぜこぜでやるみたいだから、男同士や女同士にもなるだろうけど、それもまた一興。

周りのみんなもあの通りは怖いとか、誰とペアになりたいとか浮き足立っている。

あー、なんか楽しみになってきた!


俺がフンスフンスと鼻息を荒くしていると、ミッチー先輩が俺を見てウィンクしてきた。

なんだろ?



そして夕飯を食べて夜の7時30分となった。

俺たちはぞろぞろと、神社へと続く林道の入り口にやってきた。

ミッチー先輩はみんなの方を見渡すと手をあげて注目を集める。


「はーい、じゃ、時間になったので詳細な説明を始めるよ。今から順番にクジを引いてもらいます。それには番号が書かれているから、同じ番号になった人とペアになってね。その番号は出発順番兼、達成証明になっているからちゃんと持っておくように。順番が来たペアは懐中電灯と番号クジを持って神社まで行く。ついたら境内のお賽銭箱の前に番号クジを置いてくること。オッケーかな?」


ふむふむ。クジを置いて帰って来ればいいんだな。簡単じゃないか。


「ではクジを引いていってもらいます。じゃあ、近い人からどうぞ」


みんながドキドキした様子でクジを引いていく。

よく見たら剣道部のメンバーもいる。あ、田尻くんもいる。この間は竹刀を貸してくれてありがとう。ちゃんと返したぞ。

ちょっと竹にヒビが入ってしまっていたが。


「よぉし、俺は絶対姉貴とペアになるぞ……!」と意気込んでいるのはウチの弟。

いやいや、こういう場くらい他の女の子と遊んで来いよ。みんなキラキラした目でお前のこと見てるぞ?

結果7番で、ハルカとペアになっていた。

ハルカはつまんなそうに言うけれど顔がニヤけてるぞ。

ユウも残念そうではあるが、悪い気はしてないみたいだ。二人とも仲良いもんな。


おっと、俺の番だ。どきどき。

そーっと手をいれクジを引く。

んー?恐る恐る番号を見ると、「4」と書いてあった。結構若い番号だ。

まだこの番号は出ていないはずだから、お相手は未定だな。

時々「4番、4番……」とぶつぶつ呟いてはクジを引いてがっくりしていく男たちがいる。ちょっと怖い。

男女比率が6:4くらいなので、やや男子ペアになってしまう人が多いみたいだ。香織姉はアキラと、彼山はなっちゃんとペアになっていた。身内で固まっているなぁ。


んー、俺のお相手はだれだろう?キョロキョロとあたりを見回す。


「私も4番よ。」


そう言って声をかけられた。

ん、なんだ青山か。


「なんだとはご挨拶ね〜。あれぇ?誰と一緒がよかったの?」


べべべべ別に誰とかないですし!

青山とか嬉しいですし!


「そう?ならよかった。よろしくね。コウ(・・)


…ん?…うん、よろしく!


差し出された手を握る。暖かくて柔らかいですのう。

不意に青山と一緒にお風呂に入ったことを思い出す。

綺麗な体してたなーとか、お胸が意外とあったなーなんて。

……う、いかんいかん、邪なことを考えては。

男のままだったら「思わず前のめりです」というところだった。ていうか鼻血吹いてただろうな。


…男か…。


俺の性別は戻る時がくるのだろうか。

もしかしたら一生このままなのだろうか。


その場合俺は女として残りの人生を生きることになるが、やがて男性の恋人ができたりするのだろうか。

…想像がつかない。というか気持ち悪い。なんで俺が男と付き合わなくてはならんのだ。

母さんは子供が欲しいというだろうから、結婚を勧めてくるかもしれないが、現段階では俺がどこの誰だかわからん男と付き合うなんてことは無理そうだ。


…でも、


ちらりと背の高い親友を見る。


……本当は絶対にイヤだけど、百歩譲って、アキツグなら……悪くないかもしれないな…。


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