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美少女男子高校生の日常  作者: くろめる
第二章 夏
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プール - 前半 -

いわゆるプール回!

……わかるか?

今は夏休みなんだよ。


夏休みっていうのはね、暑いんだよ。夏だからね。


……なのにさ?

…………なんでさ?


………………うちのエアコン全滅してるのさ!!?


ジーワジーワとセミの鳴き声が聞こえる。

気持ちだけでもと窓に取り付けた風鈴が涼しげな音を奏でる。


ああ、いい音………

……暑いことには変わりないんだけど……



昨晩まではちゃんと全部稼働していた。夜寝るときも27度という体に優しい温度設定にして眠についた。

なのに、朝汗だくで目が覚めた。

その時から嫌な予感はしていたんだ。


リモコンのボタンを押しても俺の部屋のエアコンは沈黙を保ったままだった。

電池切れも疑って変えてみたけれど結果は芳しくない。


ならばリビングへと逃げてきたが、母から絶望的な一言をもらう。


「あら、あんたの部屋のエアコン"も"壊れちゃったの?」


我が家には4つエアコンがある。

リビング、両親の寝室、俺の部屋、ユウの部屋だ。


どうやら揃いも揃ってエアコンが壊れたらしい。

俺の記憶が確かなら、購入して1年経ってないくらいだと思うんですけど?


「うん、どうもね、このメーカーの初期不良らしいわ」


なるほど。4つとも同メーカーで統一している。

まさかそれが裏目にでるとは。

保証期間内なのは不幸中の幸いだな。


「それどれくらいで直るの?」

「さっき電話してみたんだけど、明日には来てくれるらしいわよ」


それを聞いてホッとした。

この暑い中エアコン無しで何日も過ごすことになったら溶けて液体化したあと蒸発してお空に昇ってしまうところだった。



ということがあったので、頑張って今日1日をどうにかこうにか過ごそうと四苦八苦している。

だけど全然涼しくならないね。


ちなみに俺はTシャツ、ハーフパンツの部屋着スタイル。

一応ブラもつけてはいるけど正直取り外したい。おっぱい蒸れる……

Tシャツをめくり上げてお腹を丸出しにして団扇で扇ぐ。

……あー涼しい……

こんな姿弟には見せられないなー……

尊敬する兄がこんなだらしない姿をしていたら幻滅されてしまうことだろう。


団扇であおいでいた腕がダルくなってきた。

扇風機なんていう気の効いたものはウチにはねえ!


うーうーとゾンビのように暑さに唸り声を上げていたらスマホに通知がきた。


『やっほー、コウ暇?プール行かない?』


青山からだった。どうやら青山家のグループ会社が経営するプールが近場にあるらしい。

そのプールのチケットを貰ったそうだ。


……プール……!そうか!家が暑いなら……涼しいところに行けばいいじゃない!


俺はすぐに返事を返し出かける準備に取り掛かったのだった。



「なんで富岡くんがいるんですか?」

「神崎さん開口一番それはなかなかキツイっす……」


青山家が車を出してくれるということだったので彼女の家に集合したらそこには、青山、香織姉、黒居、富岡がいたのだった。


「うーん、アキツグもアキラも君の弟くんも部活でしょ?マコトはどこか出かけてるみたいだし……でも男手は欲しいじゃない?」

「そうねぇ。確かに、女の子ばかりでプール行くのは、ちょっと怖いかもしれないわね」


なるほど。男ならここにいるぞと言いたいところだが、この外見じゃ何の説得力もないからな……

で、黒居も富岡にくっついて来たと?


「……ばっ、そ、そんなんじゃないデス!青山サンが誘ってくれたんデス!雪次がいるのはたまたまデス」

「……名前で呼ぶようになったんですねー」

「はぅ!?」

「えへへ、いやー、なんか七夕祭り辺りから名前で呼んでくれるようになって……えへへへ」

「余計なことは言わなくていいデス!」

「ほぐっ!?」


うむうむ。仲良きことは美しきかな。

ぽんぽんと黒居の頭を撫でてやった。


「……むぅ……」


お、案外嫌がらないんだな?

調子に乗ってぎゅっと抱きしめてみる。


「い、いい加減にしてクダサイ!暑イ!」


黒居の顔を胸に埋めるように抱きしめたからな。さすがに暑苦しいか。

逃げられてしまった。


女の子に抱きつくなんて以前の俺だったら考えられないことなんだけど、何故か今は自然にできてしまう。

というかむしろ今は誰かにくっついていたい気持ちがある。

うーん、女子同士ってよく手繋いでたりするよね。

考え方まで女子化してきたのかな……?


「ほら、イチャコラしてないで行くわよー。そうしないと富岡くんが出血多量で倒れちゃうわよ?」

「……なんで鼻血出してるんですか……」

「いやー、美少女同士の絡み合いというのは、乙なものですよね……」


俺と黒居は仲良く富岡にひと蹴りいれて車に乗り込むのだった。



車、すごく涼しいです。もう降りたくないです。


「そんな顔してもダメ。着いたんだから降りなさい」

「はぁい……」


青山に促され車を降りる。

初老のダンディーな運転手さんに見送られ俺たちは入場ゲートへと向かった。


おー、かなり大きいみたいだ。

ウォータースライダーも5種類くらいある。あ、ゴムボートで滑るやつだ!TVの特集で見たぞ!これやりたい!

温水プールもあるんだ〜。お〜〜。


エアコンの故障で下がっていたテンションがここにきて駄々上がりですぞ?

ワクワクした顔でチケットを青山から受け取る。

苦笑しながら渡してくる青山。いいじゃん、こういうのワクワクしちゃうんだよ!


「そーいうところは男の子っぽいのよねぇ」


しみじみ言うなし。俺は男だ。


「はいはい。じゃ、着替えたらプール入り口で集合ね」

「あ、うん。わかりました」


富岡と別れて女子更衣室へと向かう。

男子更衣室へ行くという暴挙はもうしない。3ヶ月も過ごしてたらさすがに学習するわ。不本意ながらな。


女子更衣室に入ると中学生くらいの女子から大学生くらいの女の人までたくさん着替えていた。

若干まだ罪悪感というか抵抗感はあるけど、逃げ出したいほどではない。


「コウちゃんも慣れちゃったわね」

「ね。ちょっとつまらないわ」


こらこら、ボソボソと何を言っておるのか。

いつまでも女子の裸でアワアワしてられないっての。

大体みんな全裸になってるわけじゃなく上手く隠しつつ着替えているし。


と、隣を見ると黒居がすっぽんぽんになっていた。

……こいつ、見かけによらず大胆な……


病的に白くすべすべとした肌が目に入る。

体の起伏はあまりないが、ほっそりとしてとても綺麗だった。


「……何をジロジロと見ているデスか……」


顔を赤くしてこっちを睨んでくる


「あ、いえ、綺麗だなって……すいません……」

「……っ!?」


もっと赤くなっちゃった。なんか黒居からかうの楽しいかも。

うふふ。俺の中のSっ気が目覚めようとしている。

なんか黒居かわいいかも?

……女の子からかって楽しいとか、よくないな、やめよう。


さて俺も着替えてしまおう。

水着は夏休みに入るまえに青山たちと買いに行っていたので抜かりはない。

ピンクを基調としたビキニタイプの水着だ。下半身は水着の上から丈の短いパンツを履いている。

足をあんなに出すのはちょっと恥ずかしいし。


俺がこれを選んだのをみて、青山は不満そうだったけどこれくらい許されるだろ。


さー、遊ぶぞー!


◇◇◇


富岡雪次最良の日である。


いやね?男一人に対して女の子4人ですよ?

これをハーレムと言わずしてなんというのかッッッ!!!

しかも全員美少女という。


やばいな、これ僕もう死ぬんじゃないの?


これまで目立たず問題起こさず影に隠れて逃げてきたはぐれメタルみたいな生き方をしていた僕がですよ。

間違いなく今絶頂期だと思うよね。


はやる気持ちを抑えられず、手早く着替えて集合場所で待機している。

あたりには水着姿の女の子たちがいっぱいるが目もくれない。

普段だったらこっそりチラチラみてしまうところだが、なんせ今日の僕の連れの子達のが何倍も可愛いわけで。

よその女の子なんてみている場合じゃないわけですよ。


程なくしてとてつもない質量を両腕で支えたロングヘアの美少女が出てきた。

3年の進藤先輩だ。噂に聞いた話だとHカップあるらしい……

世のJKにHカップが存在するとは……けしからん!

こちらの視線に気がつくと軽く手を振ってくれる。

うっ、やばい。今確実に惚れかけた。ねむたん一筋の僕のハートをいともたやすく鷲掴みするなんて!

Hカップ、恐ろしい……


続いて出てきたのは青山さん。

明るく溌剌とした彼女らしくオレンジ色のビキニタイプの水着をきて、上にパーカーを羽織っている。

非常に整ったバディをしており、モデルのようだ。めっちゃ足綺麗だなぁ……。


そのあとに二人続いて出てきた。

我らがアイドル神崎コウさんと黒居ねむたんだ。

ねむたんはモノトーンの落ち着いたワンピース。白い肌が目に眩しい。

スレンダーだけどちゃんと女性らしい凹凸もあって制服の上からじゃなかなかわからない曲線に目が釘付けになってしまう。

恥ずかしそうにしている姿が可愛い。うわあああねむたん!すはすは!


ねむたんの手を引いている神崎さんはピンクのビキニに短パンスタイルだ。

えー、短パン履いちゃったのー?と思うことなかれ。

そこから伸びた身長の割に長く白い曲線美のたまらなさよ。

隠されていることで秘所がどのようになっているのか妄想が膨らむ。

つまりかえってエロい。

そしてお胸が相変わらず素晴らしい。あのブラウスの下にはこのようなけしからん物体が隠れていたのですね。

……学校でもプールの授業はあったけど、男女別だからぜんっぜん見れなかったし。

進藤先輩ほどではないけれどボリューム感のある胸が無邪気に走る振動に合わせて揺れる揺れる。

そ、そんなに走ったらブラが取れてしまいませんか!?

神崎さんのことだから、胸が揺れて注目を集めてるとか気づいてないんだろうなぁ……

その無防備さ、たまりません。どうかそのままのあなたでいてください。


道行く男どもがプルプルと揺れる胸の谷間に釘付けになっている。

ゴクリと喉を鳴らす音が響く。

周りの男達も2度見3度見している。そりゃぁこのS級美少女集団がいたら見ちゃいますよね男として。


そんな美少女集団に僕が近づいていき、挨拶を交わすと「なんでこいつが?」というもの言わぬ目線と嫉妬の炎をたくさん頂戴した。


うっ、周りの男の目が怖い……だが今日は僕がボディーガードなわけだから、頑張らねば…………!

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