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美少女男子高校生の日常  作者: くろめる
第二章 夏
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七夕祭り2

商店街を進み神社までやってきた。

人の波に飲まれそうになりながらもアキツグを支えになんとか境内の階段を上る。


花火の時間まではまだ早いけれどこの神社の敷地は広く多くので店が並んでいるので、ここも見て回りたいのだ。


「おお〜〜ここもお店がいっぱい」

「お店がいっぱいありマスね!」


俺と黒居は声を揃えて感嘆の溜息をついた。思わず顔を見合わせてしまう。


「べ、べつにはしゃいでるワケじゃないデスからねっ!?」


黒居が楽しそうで何よりだ。


「あ、ねむたんねむたん、綿あめがあるよ!行ってみない?」

「ム?ワタアメというのは何デスか?」


富岡と黒居は連れ立って綿あめを買いに行った。

ん〜、人も多いし、ここからは別行動にするかー。

黒居も富岡と二人きりがいいかもしれないしな。ふふふ。


しかし、綿あめもいいよな〜。だが先ずはチョコバナナを食べたいところ。


「アキツグ、アキツグ、チョコバナナ食べたい」

「お、おう」


アキツグに小声でねだる。買いにいこーぜっ!


「ふむ。俺たちもみて回るか」

「そうだね」

「じゃあ、7時半に神社の裏手に集合ということで」

「ああ。わかった」


先に行ってしまった富岡と黒居にもはぐれたら花火大会を見る場所…神社の裏手に集合と言ってあるので大丈夫だろう。


仲間たちと別れて俺とアキツグはチョコバナナを買いにやってきた。


「一本200円だよ〜。じゃんけんで勝ったら2本持ってっていいよ〜」

「「じゃーんけーんぽんっ」」


あ、くっそー、アイコか〜。負けたら一本なのはいいけど、アイコだったら再挑戦させて欲しいよなぁ。

アイコでもそこで勝負は終了。もう一本もらうことはできない。残念。


ぺろぺろと舐めるようにチョコバナナを頬張る。

ちょっとずつチョコを溶かしながら食べるのが好きなのだ。

…ん?アキツグそんなじっと見てどうした?あ、食べたいのか?


「んっ」


半分ぐらい食べたところで残りをアキツグに渡してやる。


「えっ!?あ、ああ、た、食べていいのか?」

「う、うん。どうしたんだ?」

「いいいや別に!?」


挙動不審だぞアキツグ。警備の人に捕まるぞ。

なにやらアキツグはモニョモニョいいながら俺の渡したチョコバナナを一口食べて返してきた。

なんだろう。俺の食べかけは嫌だったろうか…?以前はそんな様子もなかったんだけどな?


でも嫌なら嫌っていう奴だし、気にしなくていいか。

さて次は何食べようかな?りんご飴や杏飴なんかも定番でいいよね。なんて考えてたら横から「ぐぅ〜」と腹の虫が鳴く音がした。


「…何かがっつりしたもの食べるか」

「そうしよう」


アキツグはどうやらチョコバナナを一口食べたことで、食欲が促進されたらしい。

俺の提案を二つ返事で了承された。

部活でエネルギー使ってきただろうし、それに夕飯時でもあるからな。


そうなったらここはお好み焼きか焼きそばがいいな。いや、たこ焼きも捨てがたいぞ。

パッと見渡すとすぐそばにお好み焼きの屋台があった。

そこには先に一組のカップルがいたものの、お客はそれだけなのですぐ買うことができそうだ。

こういうのって誰もいないよりは誰かお客さんが並んでた方が買いたくなるよなー。

まったくいないと「あれ?このお店美味しくないのかな?」って思っちゃうし。

でも並びすぎてると中々買えないし。よしここにしよう。


パタパタと浴衣を翻してカップルの後ろに並ぶ。

このリア充め。お祭りデートなんて羨ましいですなー。

俺も可愛い女の子と二人っきりでデートしてみたかったよ。…いや、まだ希望は捨ててないけれど。

ん?よく考えたら俺今女の子だし、アキツグと二人っきりだとこれってカップルに見えるのかな?

…いやいや、そんな、俺とアキツグはただの幼馴染で、友達だし、そーいうんじゃないしっ。

ふー、今日はなんだか暑いな。


手で顔を扇いでいたら正面に並んだカップルがこっちの方を向いた。


「あれ?姉貴と先輩じゃねーっスか」

「ほんとだ。ちわっす!コウにーちゃん!浴衣姿も可愛いねっ」


おや?と思って顔を上げたら、そこにいたカップルはユウとハルカだった。

二人とも部活帰りなのだろう、制服姿だ。


「なんだ、お前らも来てたのか」

「ええ、先輩は部活終わったら猛ダッシュで出てっちゃいましたけど、その後俺らも向かったんですよ」


しかしこの二人身長差も丁度いいしお似合いな感じするなー。


「姉貴、浴衣ちょー似合ってるぜ!そんなんでうろついてたらナンパされるだろ。虫除けになってやるから一緒に回ろうぜ!」


おいおいハルカの前でそういうこと言うんじゃないよ。

複雑そうな顔してるぞ…。

それにアキツグがいるからその辺は心配してない。


「アキツグやっぱたこ焼きにしよう」

「そうだな」


「えっ!?ちょっと姉貴っ!?」

「ちょっとおにーちゃん、お好み焼き作ってるから待っとくれよ」


ユウの声はスルーして別のお店へと向かう。

どうやら注文したものを作ってもらっているから動けないようだ。

若者の恋路を邪魔する気は俺にはないのだよ。がんばれ。


少し離れたたこ焼き屋さんで6個入りのやつを2つ注文する。

トッピングはキムチ、チーズ、揚げ玉なんてあるけれど、ベーシックなやつで行こう。


「はいよっおまたせ!おじょーちゃん可愛いからたこ焼き2つオマケしといたよ」

「ありがとうございます。おじさん」


極上の笑顔でたこ焼き屋のおっちゃんにお礼を言う。

目がとろーんとしておる。これでまた買いに来たときもオマケしてくれるだろう。

最近では俺も自身の容姿をそれなりに評価しているので、存分に利用することにしている。

ふふ。俺悪女。


「お前悪い顔してるぞ…」

「ふふん。女であることを存分に活用しているまでだ。」

「…開き直ってきたな…」


アキツグには若干呆れ顔で見られているが気にしない。

こちとらか弱い乙女なんだぞ。それくらいやって何が悪い。


作りたてのたこ焼きを頬張る。

あっつつ、はー、美味しい〜〜。外はパリッと中はトロッと。火加減が絶妙。

2つオマケされて8つになったたこ焼きをペロリと平らげてしまった。

アキツグもすでに食べ終わっている。


「次は何食べようか?」

「そうだなぁ…肉かなんか食いたいな」

「いいねぇ」


高校生の食欲をなめてはいけない。まだまだ入るぞ。

んー…。あっちの方に串焼きのお店があるな。

いくぞー!


ててててっと小走りに近づいて行くと横からヌッと長い髪を前に垂らし、水を滴らせた女が出てきた。


「わああぁぁああっ!?」


お、お化け!?お盆にはまだ早いというのに!?

思わず大声をあげて飛び退る。転びそうになったところをアキツグにキャッチしてもらう。


「あんまりはしゃぐんじゃねーよ。子供じゃねーんだから…」

「ご、ごめん、で、でもお化けが…!」


そう言って指差す先にいたのは…ずぶ濡れになった浴衣姿の女と眼鏡をかけたおとなしそうな少女だった。

…ん?眼鏡をかけたほうの子は…


「なっちゃん?」

「…っ!?…あ、神崎先輩」


一瞬ビクっとしてこっちを見るなっちゃん。

というともう一方は…


「…お姉さまぁ…」


泣きそうな顔でこっちを見てきたのは、彼山だった。

なんだお前その有様は…


「それが…夏帆ちゃん、ヨーヨー釣りで調子にのって6つもゲットしちゃったんです。それをバンバン両手で遊んでたら…」

「…丁度顔の高さに跳ね返ってきたところを、生意気なカラスにつつかれて割られたの…全部」


うわぁ…

高校生にもなってヨーヨー釣りでハッスルしすぎているのもアレだけど、それを全部割られるって…


「でもなんでカラスに割られるようなことになったんですか?」

「ええと、多分、夏帆ちゃんがカラスさんの側でバンバンやってたのが原因だと思います。きっとカラスさんびっくりしちゃって…」


なるほど。お前が悪い。


「お、お姉さまひどい!」


まあ、ずぶ濡れのまま七夕祭りを回るのも大変だろうし、予備に持っていたタオルを貸してやろう。

これで拭くといい。


「…ありがとうお姉さまっ!可愛いだけの女じゃないのねっ!知ってたけど!」


うん、まあ、いいけど…。

それにしてもこの時間にカラスなんているんだなー。日も落ちてきたし、そろそろ見えなくなるかと思うんだけど…。屋台の明かりに釣られたのだろうか。


なんにせよお近づきにならないように注意しておこう。



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