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美少女男子高校生の日常  作者: くろめる
第二章 夏
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七夕祭り計画

季節は7月に入った。

鬱々とした梅雨も間も無く過ぎ去ろうとしている。


7月。7月といえばーー


「七夕ね」


なんでもないように青山が返してくる。

ホームルームが始まる前の教室。俺の席側には青山と木嶋さんがやってきていた。


「駅前の商店街で七夕祭りやるみたいだねー。今年は24,25,26の3日間だったかな?神崎さんはお祭り行くの?」


ふわっと笑って木嶋さんが訪ねてくる。

そう、お祭り、お祭りなのだよ。こう見えて俺はお祭りが大好きなのだ。

綿あめ、りんご飴に、チョコバナナ、、、型抜きの余った破片をちまちま食べるのなんかも好きだっ。

ということでみんなで行こうよー!


「あんた食べ物ばっかりねー…。あんな原価安いくせに売値は高い食べ物よく買うわねぇ…」


青山が呆れ顔で言ってくる。む、お祭りの食べ物が高いのはわかってるけど、なんていうかあの独特の雰囲気の中で食べるのがいいんだよな。ついつい財布の紐が緩んでしまうのです。


「神崎さんって、体小さいわりによく食べるもんね。その栄養はどこに…ってひとつしかないか」

「おっぱいですね。わかります」


木嶋さんのつぶやきにすかさず繋げてきたのは富岡だ。

毎度毎度思うけど、お前そういうのは思っても口にするんじゃない…!


「富岡はコウのおっぱいばかり見過ぎデス…」


後ろの席の黒居がむぅっと眉を寄せて富岡を睨んでいる。

なぜお前が睨むのかわからんが、富岡はセクハラがすぎると思う。


「うあっちぃー、なになに、なんの話してんだ?」


朝練を終えたアキツグが汗だくの顔で教室に入ってきた。

シャワー浴びてないのか?


「浴びたけどよ、時間なくてダッシュしたからまた汗かいちまった」


最近はアキツグも真面目に部活に出ている。

この間総体の予選が終わって、無事に本戦に出場することになったらしい。

今月末試合だって言ってたっけか?


「毒島くんは今月末の七夕祭り、24〜26なんですけど都合悪いですか?」


何は無くともアキツグは誘って行きたい。

昔っからよく出かけてるしな。最近ではすっかりボディーガード代わりになってる。

…俺ちょっと悪い女っぽい?こんな姿になってからしょっちゅうナンパされるから、いい加減危機管理が必要なことを覚えた。そこ、自意識過剰とか言わないで…。自分でもちょっと思ってるからっ…!


「うぐ、その辺かー。そういや去年もそんなだったか…。うーーん、今年はなーー、練習あっからなぁ…」


「去年も練習はあったでしょーが」


「去年はまだ俺1年だったし、サボったって大して睨まれなかったからよかったんだよ…でも今年はなー」


アキツグは1年の頃は結構サボり魔で準レギュラーみたいなポジションだったんだけど、2年になってからは正式にレギュラーになっていてなかなかサボれないらしい。

また、編入してきたうちの弟に「プスっ。先輩ちょっと雑魚くなってませんか?練習サボりすぎじゃないっすかww」って言われて本気になっていた。


ちなみに二人の練習姿を見に行った時に「姉貴はバスケのうまい人と下手な人、どっちが好き?」って聞かれたから「バスケの上手さだけで選ばないけど、、まぁ、うまい方がいいんじゃない?」って答えたけど、それは関係あるまい。


「あっれー、毒島くん来れないのかー、じゃあ代わりの男手あったほうがいいよね!僕一緒に「やっぱいくわ」ぶふぅ」


アキツグが富岡の顔にエルボーを乗せていた。

でも、練習は?


「問題ねー、祭りって夜だろ?早めに切り上げれば、1日くらいなんとかなる…」


そっか!よかったー!じゃあ、青山と木嶋さんとアキツグと、香織姉と、アキラとマコトと…


「黒居さんと富岡くんも行きますか?」


二人にも声をかけてみる。黒居はまだ編入したてでこの辺のお祭りとか行ったことないだろうし、それにせっかく近くの席になったのだし、親睦を深めていくのもいいだろう。

富岡は…何かを訴えるような必死な目でこちらを見ていたから…やむを得ないというか…。

なので、一応義理で聞いてみたら、弾かれたように顔を上げて答えた。


「えっ!いいの!?もちろん行くよ!」

「…むっ。と、富岡が行くならワタシも行ってあげマス」


やや不満そうながら黒居も参加を了承した。

よしよし。お祭り初参加の黒居にはおにーさんがチョコバナナでもおごってやろう。


じゃー、人数はそんなもんかな?と思っていたら


「話は聞かせて貰ったわ!お姉さま!」


バーンと勢い良く扉を開けて入って来る姿があった。

ツインテールをなびかせたちっちゃい女の子…彼山夏帆だ。

その後ろにはメガネをかけたおとなしそうな女の子がオロオロしている。


「か、夏帆ちゃん〜〜…、ホームルーム始まっちゃうよ〜、戻ろうよぉ〜〜」


若干泣きそうである。


「まぁまぁなっちゃん、すぐ終わるから!ちょっとだけ待って!…お姉さま、七夕祭りに行くそうね!私もついていくわ!」


俺の方を指差し高らかに宣言する。それは別にかまわないんだけど、本当にこいつ上級生のクラスとかお構いなしですごいなー。なんて思考がそれていたら、後ろにいたなっちゃんが、彼山の服の端をつかんで悲しそうにつぶいた。


「…えぇ……夏帆ちゃん、私と一緒にいくって言ってたのに……」

「うぐっ…そっ、それわ……」


「先約がいるならば、私は遠慮しますね。ほら、ホームルームが始まりますよ?」


たじろぐ彼山に笑顔を返し、厄介払いをする。

だって本当にホームルーム始まるんだもん。

それに彼山もちゃんとクラスメイトと交流したほうが良いだろう。

彼山は可愛いけど、付き合ってるとちょっと疲れるんだよな…。


彼山はなっちゃんに引きずられるように自分のクラスに帰っていった。

ふぅ。と一息ついていたら。


「話は聞かせてもらったぜ!!姉貴、俺もついてく!!!」


バーンと厄介者2号がやってきた。

恥ずかしながら俺の弟である。が、


「ユウはあたしと行くって言ってただろ〜〜。ほらあんまり大人数になるとコウにーちゃんに迷惑になるだろ。帰るぞ。お邪魔しました〜」

「いでででででっ!?」


後ろからついてきたハルカに耳を掴まれ退散していった。

やっぱりあいつら仲良いな〜。ちらりとアキツグを見ると。うむうむ。と頷いていた。

これは兄貴公認だろうか。





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