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美少女男子高校生の日常  作者: くろめる
第二章 夏
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vs黒居ねむ-ミスコン!-その4

以前掲載していたvs黒居ねむ3,4,5は更新がし辛かったので掲載を一時とりやめました。間にもういくらか挟んだ上でつなげていければと思っております。


一審査目は黒居に持って行かれたが、まだあと2つある。

残りで勝てばいいんだ…。残る審査は…


「さー、では続いて二審査目、参りましょうっ!次の種目はー、『ドキっ!新妻手料理勝負!今晩は私をた・べ・て』です!」


たべたーーい!という声が聞こえて来る。


だ、誰が食べさせるか!!


…審査名はともかく、そう、次は手料理対決。

あたりには簡易的なキッチンが用意されている。


自慢じゃないが母さんの教育方針から「男でも料理はできるべき!」と小さい頃から仕込まれている俺に隙はない。一般的な家庭料理ならば洋食和食、だいたい大丈夫だ。


黒居の方を見ると微妙そうな顔をしている。

家庭科でのあいつの様子を見る限り、正直なところ料理は苦手そうだ。

ジャガイモの皮もまともに向けないし、ていうか包丁の握り方がなんか怖いし。

刃物ごと握りそうだった時は流石に止めたぞ。


俺たちは先ほどの衣装の上にエプロンを装着して足元は可愛らしいピンクのスリッパを履いている。

コンセプトが新妻らしい。


俺も結婚したら、こんな格好をして、旦那様を迎えたりするんだろうか……。

『おかえりなさいっ!ご飯にする?お風呂にする?それとも…わ・た・し?』

『もちろん、お前だよっ(がばっ』

『ああんっ、そんなこんなところで、あっあっ〜〜』

………


…って違う違う!なんで俺が嫁に行くことになってるんだ!?しかも玄関でとか、、玄関でとかっ!?

中澤さんが変なタイトルをつけるからだ…!決して俺の欲望とかそんなんじゃないっ


ふー。。落ちつけー。今は目の前の勝負に集中だ。


一人妄想に耽っていたら、目の前には布を被された巨大な何かがキャリーに乗せられ運び込まれていた。

丁度大型の水槽のようなサイズだ。

なんだこれ?


「ふふふ〜、この手料理対決、ただの勝負じゃございませんっ!」


中澤さんが不敵に笑い、中澤さんとアシスタントさんがそれぞれ俺と黒居の前にある巨大な何かの布を取り去った。

中から現れたのは…


「種目はうな重!!!このうなぎを手づかみで運んで調理してもらいますっ!」


「えっ!?」「ふえっ!?」


俺と黒居の驚きの声が重なる。

つ、掴み取りしろというのか、これを…。

むむむ、捌けなくはないだろうけど、うまくつかめるかな?


黒居の方を見ると顔を真っ青にして震えていた。


「こ、これを掴んで捌かなくてはいけないデスか……!?」


真っ当な女子にはちょっと手強いかな?

これは勝機かも…?


「制限時間は30分です!ご飯はすでに炊けております!では、スタートッ!」


開始の合図に俺は水槽に取り付く。


「お、女は度胸デスーー!!」


黒居も意を決して掴みかかりに行った。

俺も負けていられない!


水槽に手を突っ込むが、ヌルヌルっと手から滑り落ちてしまう。

こらっ、おとなしくしろー!

…端っこに追い詰めて…よしっ、つか、ん、だ?


掴んで持ち上げようとしたらまたしてもヌルッと滑ってしまい、うなぎが天高く滑り上がった。

そして上を見上げた俺の胸元にニュルリと滑り込んでしまった。


「ひっ!?いやああああああああ!?」


「おおおっとこれはハプニング発生だーー!?神崎さんの手から逃げ出したうなぎは、なんと、なんと神崎さんの胸元に滑り込んでしまった!!?」


うおおおおおーーーー!!!!!


予想外のハプニングに会場が大いに盛り上がる。

「うなぎめ!うなぎめーー!!!」

「ちょっとそこ俺と代われ!!」


会場を撮影しているカメラさんが中澤さんの手引きのもと俺の側までやってくる。

そしてカメラを俺の胸元に向けた。

だ、だめ、そんなところ撮らないでっ!!?

胸元ではうなぎの尻尾が出たり入ったりしている。

エロい、これはエロい。

くそう、これが俺じゃなかったら…!


うなぎのにゅるにゅるした感触で変な気持ちになってくる。

しかもなんか生臭いし。。


早く取り出さないと、と思って手を入れようとしたらニュリとした感触が胸の谷間を抜けていき、滑り落ちながら、うなぎは何かに必死につかまろうとしたのか、俺の、ブラの中の、さきっちょに食いついた。


「いぅっ、あ、ぁ、、」


絶妙な力加減で先端に食いつかれて、うっかり変な声を上げてしまう。

ううう、な、なにするんだ、このうなぎめーーー!?

俺の右胸のあたりがうなぎによって膨らむ。


「あああっっと!?これはなんということだーー!このうなぎ、神崎さんの右のお胸に食いついているー!?そして、胸でくいつけそうな場所といえばーーー…ごくり」


やめてやめて!解説しないで!?

もう怒ったぞ…!

恥ずかしがってる場合じゃない!

俺は急いでブラのホックを外し、うなぎを逃さないよう、ブラの膨らみで包んで取り出した。


「神崎さん!なんとなんと!自分のブラジャーを外し、うなぎを包んで取り出したー!!」


カメラは俺がさっきまでつけていた下着に寄った。

大画面にはピンク色のレースのブラジャーがでかでかと写されていることだろう…。

そう考えると顔が、かーっと熱くなる。


恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしいっ!

でも、早く調理しないと時間切れで負ける!


会場はどよどよとして、そこかしこで歓声が上がっているようだ。

だけどそんなの気にしてられない。早く調理しないと!


一瞬黒居の方をみると、あっちもなかなか掴み取れずに苦戦していた。

だが要領を得たのかしっかりと掴んで顔を青くしつつもまな板の上に運んできた。


ここからが本当の勝負だ!


うなぎを手早くさばいたあと、両面をグリルで焼く。

焼き終わったら深皿に移して、料理酒を振りかけて5分ほど蒸す。

この間に砂糖、みりん、濃口醤油でタレを作っておく。

蒸した時にでた水分とタレを混ぜて、うなぎにつけて焼く。

これを5、6回繰り返して、、と


あとはご飯に盛り付け、山椒を添えて……完成っ!


「できましたっ!」


おおおーーー!!


「先に完成させたのは神崎さん!非常に手際が良いー!!また出来上がったうな重も美味しそうだ!」


うーん、われながら良い出来。

うなぎも肉厚で美味しそうだ。


「ワタシもできマシタ!」


む、黒居もできただと?思ったよりも早いな。

ちなみにレシピは運営側で用意してあったので、間違わなければ完成はするはずだ。


「黒居さんも完成したようだ!………え?」


しかしそこにあったのは…


ご飯の上に乗せられたぶつ切りにされた、生のうなぎだった。


「…えー、このあと実食に移るのですが、審査員の皆様…」


中澤さんが審査員3名の顔を見る。


「神崎くんに一票で」

「私も神崎さんに一票で」


校長先生と岡崎先生は即答で俺に票を入れてきた。

そりゃまぁ、食べたくはないだろうな。


観客を見ると、

「さすがにあれは食えねーわ」

「人間が食うものじゃないな」

「見た目が良くても料理がこれじゃなぁ…」

「まー、いいのは外見だけだよな〜」

「俺だったら一発ヤってぽいだな。あははは」


などと口にしている輩がいる。

見かけない顔だ。他校の生徒だろうか。


黒居はじっと黙っていた。

少し、瞳が潤んでいるような気がする…。


確かにあれは食べたくないけど、そこまで言わなくてもいいだろう…。

俺は他人事ながら若干むっとして、声をあげようとしたら


「ちょっと、おまえらーー…」



「…持ってきてください…」

「え?」

「その、料理を、持ってきてください!!!!」


富岡は黒居と俺の料理両方をアシスタントさんに持って来させた。

そして…


「うおおおおおおおおお!!!!!」


黒居の料理と俺の料理を勢い良くかき込んだ。

と、富岡、、お前……


ぐちゃぐちゃと気持ち悪い音がする。

ボリボリと骨を砕く音がする。

あたりは静まり返り、富岡の咀嚼音だけしか聞こえてこない。


やがて富岡は吐きそうになりながらも、両方の料理を完食した。


「…うまい!どちらもうまい!!神崎さんは上手に味付けし、まるで料亭のような味だった!ねむたんは素材の味を活かした料理で、びっ、美味だったよ!!!」


富岡は俺と黒居に向かって、若干引きつってはいたが笑顔を浮かべた。


黒居は一瞬目を見開いてから、恥ずかしそうに富岡から視線を逸らして顔を真っ赤にして俯いた。


「ば、バカじゃないデスか…、あんなものが美味しいわけ、、ないデス…」


「いいや、僕には美味しかったよ。最高のご馳走だった!てことで、甲乙付けがたいけどー、僕は黒居さんに一票ってこと、……で…………」


そこまで言うと富岡は顔を真っ青にして、泡を吹いて倒れた。


「と、富岡ーー!?」





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