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美少女男子高校生の日常  作者: くろめる
第二章 夏
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vs黒居ねむ-ミスコン!-その3

設営された大型スクリーンには俺と黒居が大きく映し出されているようだ。

俺たち二人の登場を見た観客席からは感嘆の声が漏れていた。


「あ、あれが噂の…」

「ミスコンが2名の一騎打ちってのも納得だな」

「黒髪の子、胸でけぇー」

「金髪の子お人形さんみたい…かわいいいい〜〜」


「さああーーー2名の美姫が入場してまいりました!F高在学の生徒には最早説明不要でしょうが、敢えて解説させていただきます!」


中澤さんは先頭の俺を見て、解説をし始めた。


「2年A組 神崎 紅さん!読み仮名は同名のお兄さんと入れ替わるように今年の春にF高へ編入して参りました!そして瞬く間に非公式ファンクラブが立ち上がりあれよあれよと、F高を代表する姫へとなりました!ご覧いただければご納得いただけるかと思います!」


「そして、今日の衣装はー…!おおっとこれは白いレースのブラウスに柔らかそうなブラウンのプリーツスカート!そして同系色のニーハイにブーツ!頭には可愛らしいリボンが添えられている!ま、まさにこれは童貞を殺す服だーー!神崎さんの必殺武器である巨乳がこれでもかと強調されている!ああー、これは、これは危険だーー!」


拳を高く振り上げ熱狂する中澤さん。


「それでは、神崎さん、自己PRをどうぞ!」


中澤さんからマイクを渡される。


一審査目の自己PRはほとんどやることはなくて、せいぜい衣装見せと一言コメント程度で終わりだ。

一応何を言うか考えてきたが、正直なところ何をどうしたらいいのかよくわからない。

なのでほとんどぶっつけ本番だ。


「ええと、ご紹介に預かりました、神崎 紅です。このような場所に立つことができて嬉しく思っています。皆さん応援してくださいね♪」


極上の作り笑顔で首を軽く傾げて挨拶を済ませる。


会場の皆さんは「ズキューン!」という効果音が聞こえそうなくらいのけ反っている。

効果はばつぐんだ!


よし、出だしはいいんじゃないか?

軽く内心でガッツポーズをする。


「神崎さんありがとうございました!…では続きまして、黒居ねむさんの紹介に参りたいと思います!黒居さんはこの6月に編入してきたばかりのお嬢さんです!こちらも神崎さん同様、いや、それ以上の速さでファンクラブが結成され、瞬く間に会員が増大しました!さらさらの金髪に碧眼、そして守ってあげたくなるような華奢な容姿!たどたどしい言葉使い!キュンキュンしてしまうおにーさん、おねーさんが急増です!」


「そして、今日の衣装は〜〜!!なんと!まさにビスクドール!精巧に作られたお人形のようです!黒を基調としたゴシック・ロリータに金髪が映えます!自分を知り尽くしたチョイスと言えるでしょうー!うーん、お持ち帰りしたいっ!」


黒居の衣装も非常にマッチしている。すげー似合う。

ううう、、これは、これは可愛いなぁ…。中澤さんが思わず「持ち帰りたい」と言ってしまうのも頷ける。


会場からも

「可愛いー!」

「写真撮らせてー!」

「こっち向いてー!」

などという声援が飛び交っている。

意外なことに、男子生徒よりも女子に人気が高いようだ。


なるほど、これまで確保できていない層へのPRってわけか…。考えてるなぁ…。


「それでは黒居さん、自己PRをどうぞっ!」


中澤さんからマイクが手渡される。

が、それをうまく受け取れず、手を伸ばして取ろうとして転んでしまう。


「てへっ、転んじゃいマシタ、ねむはちょっとドジなんデス。こんなワタシのことを守ってくださるおにーさんおねーさんが居てくれたらなって思いマス!どうかよろしくお願いシマス」


はにかんだ笑顔を浮かべ恥ずかしそうにそう言う黒居。

なんて庇護欲をそそるPRなんだ…!うっかり俺も守ってあげたくなってしまった。

ぐぬぬ、妹属性を存分に発揮してきたな…くそう!さすが黒居!汚い!


会場から「ねむたーん!大丈夫ー!?」とか「守ってあげたいー!」とか聞こえて来る。


こちらも効果は抜群だな。黒居、やっぱり手強いぞ!


「黒居さん、ありがとうございました!お二人とも素晴らしい自己PRだったと思います!それでは、早速ですが審査員のみなさま、お願いします!」


審査すると言っても、ぱっと見の第一印象というところだが、、

そういう意味では黒居のキャラ付けはかなりうまくやったように思える。

…これはやばいかも?


「ふむ。二人ともとても可憐な少女で甲乙付けがたいが、あえて選ぶならば神崎くんは非常に高校生らしい清純派といった印象でよかったと思う。なので神崎くんに一票」


お硬そうな校長は俺を選んでくれたか!よかった〜。


会場からも「おおー!」と完成が上がる。

また逆に不満気な声も聞こえるのは、おそらく黒居のファンクラブ会員だろう。


「なるほどー!神崎さんはまさに清純派、正統派ヒロインと言った感じですからね!納得のコメントです!ではでは、続きまして岡崎先生はいかがでしょうか?」


岡崎先生は軽く首を傾げてうーんと悩むような素振りをし、緩く両方に流した明るめの髪の毛を揺らした。


「わたしはー、そうですねぇ、黒居さんに一票でしょうかー?」


今度は「ひゅーう!」と黒居ファンクラブから声が上がる。

な、なんだとー!先生!なんでですかっ!?


「神崎さんも非常に可愛らしいのですがー、先生実はゴスロリ、好きなんですよぉー。なので思わず魅入っちゃいましたねぇ」


ゴスロリ、ゴスロリがポイントだったのか・・・!ぐぬぬぬ


「ふむふむ!岡崎先生もゴスロリ趣味でしたか!確かに似合いそうです!どちらかというと甘ロリの方が似合いそうな気もしますっ!」


確かに先生はふわっとして柔らかい印象だからな…。似合いそうだけどさ。


「続いて、生徒代表の富岡くん!お願いしますっ!」


中澤さんの声に富岡が軽く「ヒッ!?」と声を上げた。

おそらく特等席に座っていることで羨まれて、周りからの目が怖いのだろう。

視線に怯えている感じがある。


「そ、そうですね、僕個人としては、やはりーー…」


今のところ一勝一敗だ。富岡がどちらを選ぶかによって一審査目の決着がつく。

果たして富岡が選ぶのは…。

俺は富岡を睨むように視線を送る。俺を選べ俺を選べ俺を選べ…!


しかし、俺の祈りもむなしく


「黒居ねむさんです」


「おおー!」と「ああぁ…」と言う両方の声が聞こえてくる。

それに混じって「あいつめ、、コウたんを選ばないですって…!?タダじゃおきませんわ…」

などという物騒な声も聞こえてきた。


…だよなー。こいつ今は黒居のファンだしなー。

他の黒居ファンの目の前で、俺のことなんて選べないだろうし、、

それにこいつロリコンぽいもんなー。


「理由をお聞きしても?」

「やはり、こう、守ってあげたくなる、庇護欲をそそる雰囲気でしょうか!」


そうだろう。だが、それだけじゃないはずだ。俺は知っている。

富岡の位置が、黒居が転んだ時、丁度パンツが見える(・・・・・・・・)位置だったということを。


もちろん他の審査員にも見えているだろうが、富岡は一番端っこの席。

そこにモロに見えるように黒居はコケていたのだ。


黒居、恐ろしい子っ!


「なるほどー!ということで、一審査目の勝者はーーー、黒居ねむさんです〜〜!!!」


中澤さんの声に堂々と胸を張る黒居。

にやりとこちらを見て目を細める。

くっそー!一敗したけど、まだ勝負はこれからだぞ!








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