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美少女男子高校生の日常  作者: くろめる
第二章 夏
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vs黒居ねむ-ミスコン!-その1

現行のストーリーの前に挟んでいきます

この間の握手会では遅れをとったが、まだまだ挽回のチャンスはあるはずだ。


そう思って俺は次の日の昼休み、生徒会へと足を運んでいた。

正確には、生徒会メンバーで構成されている「コウたんファンクラブ(非公認)」へだ。

きっとここには何かヒントがあるはず…。


ドアを開けて中へと入ると、アキラが両手を組んでメガネを光らせていた。


「…来たな(にやり)」

「ええ、計画通りね」


何が。


「アキラ、俺が黒居に勝つ方法を教えてくれ!」

「その言葉待っていた!」

「待っていた!?」


アキラには未来が読めるとでも言うのか!?マコトみたいだな。すごい。


「…その評価はあまり喜ばしくはないが、、まぁいい。黒居ねむに勝ちたいのだろう?」

「…ああ」

「ならばこれしかあるまいっ」


そう言ってアキラは懐に手を突っ込むと、紺色の何かを取り出し、高々と掲げる。

お前、それ…。

アキラが手にしていたのは、高校指定のスクール水着(女子用)だった。


「ふふ、俺のナイスアイデアに声もでないのか。コウよ」


……いや、お前なんでそんなもの懐に入れてるんだよ。引くわー。

ていうかそれ誰の?まさか…自前…?自分で着る用?


「なわけないだろう。いや、もちろんこれは俺が購入した物であって、誰か女子が着ていた物ではないが、断じて自分で着用するためではない」


よかった。いや、よかったのか?まぁいい、この際アキラの趣味嗜好は問うまい。

そんなことより、それで俺が黒居にどうやって勝つんだ?水泳勝負ってことか?


「自慢じゃないが俺はカナヅチだぞ」

「ふふ、そんなことは知っている。単純な泳ぎで勝負するわけではない」

「というと?」


するとアキラはメガネをくいっと持ち上げ、怪しく笑った。

手にはスクール水着を握ったままなのでより怪しい。17歳の男子高校生が女子のスク水握って笑ってたら怪しくないわけがない。ていうか捕まりそう。


「ズバリ、ミスコンだ!」


み、ミスコンだと…!

ミスコン、つまり高校一の美少女を決めるということか?そして審査方法に水着審査を採用すると…?


「ええ、そうよ。水着審査ほど、女子のプロポーションがはっきりと優劣のつく種目はないわ!つまり、コウちゃんの武器であるOPPAIが如何無く発揮されるということ!」


うぐっ!つまりこれを着てミスコンに出場し、その、、おっぱいで会員を釣れということだな……!


「理解が早くて結構」


香織姉は腕を組んだまま大仰に頷いた。

太陽光が二人の後ろから差し込み、香織姉とアキラの顔が黒い影に染まっている。

しかし口元が怪しく釣りあがっているのが見て取れた。

特に香織姉は何か思うところがあるのだろう、瞳の奥に静かな炎を燃やしている。


「あの貧乳ロリに目に物見せてあげなさい!」

「さ、サー!イエス!サー!」


思わず背筋を伸ばして敬礼してしまった。


「手はずはこちらで整えておく、準備が出来次第連絡をする」

「コウちゃん、おっぱいを育てて起きなさい!!」

「サー!イエス!サー!」


俺は生徒会室を後にした。

ノリで返事をしてしまったが、ミスコンかぁ……。

よく考えたらすごく恥ずかしくないか?

だって男だぞ俺…。それが女子の水着着て、全校生徒に見られるわけだろ…?


……


うわあああああ!!変態!変態だよ俺ええええ!!!


生徒会室を出たところで頭を抱えて悶えていたら、他の生徒に変な目で見られてしまった。

いかんいかん、こんなことで評判を落とすわけにはいかない。


それにどの道、もうすぐ水泳の授業がある。そうなれば否が応でも着ることになるんだ。

腹を括るんだ神崎昂!男だろう!…体は女だが…。


それはそれとしておっぱいを育てておけって言われてもな。

牛乳でも飲めばいいのだろうか。



「は?ミスコンやるの?水着で?」

「ああ。黒居に勝つにはそれがいいって、アキラと香織姉が」

「…あー、なるほどね。プロポーションで勝負をつけようってことか。確かにあんたも中々の武器持ってるものね。…触り心地よかったわ」


へ、へんなこと思い出すんじゃない!

俺はさっと自分の胸を抱いて隠した。


「それで香織姉が、その、胸を育てておけと言うんだけど、どうしたらいいんだ」

「そんな方法あったら私が知りたいわ。けっ」


青山だって別に小さくはないじゃないか。むしろ美乳って感じ。

……

はっ。だめだめ。そんなことを思い出しては。


「まー、真偽のほどは確かじゃないけどー、揉めば大きくなるっていう話はあるわよね?」

「もっ…!?」


青山がニヤリとして両手をにぎにぎしている。

と、そこにアキツグがやってきた。


「よお、なんの話してるんだ?」

「お、アキツグ、ちょうどいいところに。あのねー、コウがねー、胸もっと大きくしたいんだってぇ〜。だからぁ、大きくするために...いっちょ揉んであげてくれない?」

「「!!?」」


あ、あああ、青山さん!?何を言い出すんだ!

見ろ!アキツグが真っ赤じゃないか!…俺もだけど。

アキツグが俺の胸を揉むって…!?何いっちゃってるの!?


「やっぱこういうのって、同性よりも異性の方がいいと思うのよねぇ。ほら、ホルモンの分泌とかよくなりそうじゃない?それとも私が揉んであげましょうか?にひ」


そんなこと言われて思わずアキツグの両手を眺めてしまう。

大きい掌だな…。俺と比べたらふた回り以上は大きい。

ゴツゴツしてて、男の手って感じだ。

…あんな大きな手で、胸を揉まれたりしたら…。


アキツグの顔を盗み見ると、目が合ってしまった。

慌てて視線をそらす。


あ、アキツグは俺の胸を揉んでみたいんだろうか…?

そりゃ男の子からしたら女子の胸なんて、高潔で神聖な部位だ。興味がないわけがない。

でも、俺は男だぞ?体はそりゃ女子っぽくなっているけれども。。


もう一度ちらりと見ると、アキツグは顔を真っ赤にしながらも俺の胸の方をチラチラと見ていた。

…ううう。や、やっぱり触りたいのかな…?

……

た、試しに、ちょっと、触ってもらったりして…


「冗談なんだけど」


「……え?」


「いや、さすがに冗談よ。そんなんで大きくはならんでしょ。……それとも、アキツグに触ってもらいたかった?」

「ん、なわけないだろっ!!?ばっ、誰が、そんな、お、おっぱいを揉んで欲しいなんて……!!」

「あ、バカ!声大きいわよ!」


あ、しまった。思わず大声で怒鳴ってしまった。

俺の声に反応して教室内がざわめいた。


「…神崎、おっぱい揉んで欲しいみたいだぞ…?」

「マジかよ…コウたんのおっぱい揉むとか…マジかよ…」

「そ、そんな私のコウたんが、痴女に…、ああでもお胸は揉ませてほしい……!」


ざわざわ…


「言ってません!今のは忘れてくださいっ!」


うわー、なんてことを大声で口走っているんだ…。

うう、恥ずかしい……。


その日の午後の授業はおおよそ俯いて過ごした。






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