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美少女男子高校生の日常  作者: くろめる
第二章 夏
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黒居ねむ

ふあー、6月ってもう夏だよねぇ。暑い暑い。

これで梅雨に入るとジメジメじとじとしてくるわけだ。

雨は嫌いじゃないけれど、長く続くのはちょっとな。


俺は軽く流れる汗をハンカチで拭いつつ、自分の席に着席する。

いつものように隣の富岡に挨拶をすると、なんだかちょっと残念そうな顔をされた。


…胸元を見て。


ふっふっふ。最近はちゃんとキャミソールを下に着用するようになったのだ。これでもうブラが透けて見えることはないぞ。富岡破れたりっ!

ていうか、毎日ブラ透けを確認してはガッカリした顔をするのはやめてくれ。富岡はちょっと自分の欲望に正直すぎると思うぞ…。


じと目で富岡を見ると、取り繕ったような笑顔を返された。


「そ、そういえば、今日、転校生が来るらしいね」

「へぇ、そうなんですか?富岡くんが気にしているということは可愛い女の子ですかね?」

「…うんまぁ、そうなんだけど…」


ばつが悪そうな顔をして頬をかいている。本当に富岡は女の子が好きだな。

まぁかわいい女の子は世界の癒しだからしょうがないな。

さてどんな子が転入してくるのかな?

教室の入り口に視線を向けていると、担任の岡崎先生が入ってくる。


「はーい、みんな席についてね~。…じゃ転入生を紹介します。入って」


岡崎先生のあとに続くように転入生が入ってきた。


「どうモ、黒居(くろい)ねむデス」


ぉぉっと小さなどよめきが起こる。


…きんぱつ美少女…!

さらさらとした腰まで届くような長い金色の髪。後ろには大きなリボンが揺れている。顔は小さいが目はくりっと大きく髪の毛と同じ色のまつげに縁取られている。手足はすらっとしているが、体つきは華奢で、背はあまり高くない。庇護欲をそそる見た目だ。要するにロリっぽい。

服装は指定の制服だが、細く長い足には黒のニーソックス。猫の柄が入っていてかわいらしい。

…あれいいな…。


「き、金髪ロリ…!!世界遺産ネットワークで話だけは聞いていたが、これほどの破壊力とは…!」


富岡がとなりで驚嘆している。

なんだ世界遺産ネットワークって。


「…しかしスタイルは僕的には神崎さんのほうが好みだな。やはりロリ貧乳よりロリ巨乳のほうが…」


難しい顔をして何を考えているのかと思えばそこかよ。しかも考え事がぶつぶつと駄々漏れである。

富岡よ。本当に君はおっぱい成人だな。そのブレなさ加減はちょっと尊敬するよ。惚れはしないが。


「じゃあ、黒居さんは後ろのあいている席に座ってね」


そういって促された先は俺の真後ろの席だ。その隣の席の男子が小さくガッツポーズをしている。

かわいい女の子が隣の席だというだけで学園生活も楽しくなるものだろう。

以前の俺だったら心労が重むだけだっただろうが、今となっては同性なので昔ほど意識しなくなった。

青山とはお風呂も一緒に入っちゃったしな…。


そんなことを思い出して赤くなっていたら小さく悲鳴が聞こえた。

声のしたほうを振り向くと、転校生がパンツ丸出しですっ転んでいた。わわわ!ちょっと見えちゃってますよ!!


「あ~んっ、見ちゃだめデスよぉ~☆」


スカートを直して、ガン見していた男どもにぺろりと舌を出してウィンクを送る。


おおおおおーーー!!!!とざわめくクラスメイト達。


…え、わざと?わざとなのコレ?

しかし効果はてき面だったみたいだ。みんな目がハートだよおい…。

隣の富岡も目がハートに変わりかけては戻りを繰り返している。スロットのドラムみたい。

自分の中の何かと葛藤をしているようだ。


そんなハプニングを演出しつつ、朝のホームルームは終了した。


休み時間ともなれば黒居さんは質問攻めである。

あ、見たことあるなこの光景。


「彼氏いるの!?」

「募集中デス☆」

「スリーサイズ教えて!」

「やぁんエッチデスね~」

「今日の下着の色は!?」

「上下黒のセットデス☆」

「付き合ってください!」

「オトモダチからオネガイシマス~」


直球すぎる。

しかし黒居さんは嫌がることなく丁寧に質問に答えている。

う~ん。すごい。これが女子力というものだろうか…。


「すごいわね…」


お、青山か。お前もそう思うか。


「ええ。見て御覧なさいよ。あいつらのだらしない顔。完全に落とされてるわ」


確かに。黒居さんが命令したら教室の窓からでもダイブしてしまいそうだ。

やつらに首輪がついているのを幻視してしまう。


「なに悠長なことを言ってるの!コウもうかうかしてたら、女王の座を奪われちゃうわよ!」

「なんですかソレ」


そんな席に座ったことないんだけど。


「これは一波乱ありそうね…」


そうかなぁ…?

ちょっとかわいいクラスメイトが増えたっていうくらいじゃないの?



しかしやはり周囲はそう思っていないようだった。


それは次の日のお昼休みのこと。俺はアキラに呼び出されて、生徒会室にやってきていた。

部屋にはアキラと香織姉しかいない。二人は緊張した面持ちでたたずんでいた。


「なんだよアキラ、緊急の用件って」

「…来たかコウ、いいか、落ち着いてよく聞け」


な、なんだこの雰囲気、いったい何があったというのか。

二人の緊迫感に呑まれ、思わず俺も手に汗を握ってしまう。


「実は…」

ごくり


「…黒居ねむのファンクラブが発足した」

「…ふーん…」


あ、そう。。で?


「で?じゃない!コウ!お前のライバルが出現したんだぞ!この学校には容姿の整った女性が多いが、こんな短期間でファンクラブが設立されるのはお前以来だ!」

「そ、そんなこと言われても…、何か問題があるのか?」

「大有りだ!おそらくこの勢力はすぐに大きなものになるだろう。下手をしたら俺たちのコウたんファンクラブすらも飲み込んでしまうかもしれない。」

「いいことじゃないか」

「よくないわ!コウちゃん!よく聞いて。そうなった場合あなたのことを見守る人間が減ってしまうわ。いいえ、さらに言えば、ファンクラブが対立し、あなたに危害を加える輩すら出てくるかもしれない。私にはそれが何よりも恐ろしいのよ…」


なるほど。。そういわれると重大なことのような気がしてきた。危害を加えられるのは困る。

たしかにファンクラブのみんなは遠巻きに俺のことを見守ってくれてたみたいだしな。

悪い虫を寄せ付けないバリヤーみたいな。


「そうは言っても、どうしようもないだろう?なるようにしかならないんじゃないのか?」

「…むぅ…。とにかく、手立てはこちらで考えておくが、くれぐれも気をつけるように」

「はいはい」


ひらひらと手を振って退室する。


ファンクラブねぇ…。

確かに黒居さんはかわいい。俺も男だったらほいほいとされていたかもしれない。まぁ、でも、俺もあんまり好みじゃないかも。俺はもっと、こう、胸元が豊かなほうが…。


そこまで考えて思考が富岡と被ったことに気づき、愕然としたのだった。





新キャラ登場です。金髪ロリです。

だんだんと自分の中で富岡がいい感じになってきました。

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