現状確認
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どうしよう。
弟が鼻血を吹いて倒れてしまった。
こんな姿で気を失っている弟を放っておけるほど、俺は鬼ではない。
「おい、ユウ!しっかりしろ!」
ユウの肩を揺さぶってみる。
小さなうめき声とともにユウがゆっくりと目を開けた。
「あ、アニキ、、いや、姉貴」
アネキ?何を言っているんだろう。。倒れたときに頭を打って、おかしくなってしまったのだろうか。。
まぁいいや。鼻血流れっぱなしだし、ティッシュを渡してやる。
「その、なんだ、アニキ、その、胸のことについて、だけど、、」
弟の様子がおかしい。どうもしどろもどろで目線をあちこちへ泳がせている。
まさか、重大な怪我や病気だったりするのだろうか、、俺の身に一体何が・・・!?
俺は顔を青ざめて、弟の方を伺う。
「あー、なんだ。アニキ、今日起きてからトイレは行った?」
いや、行ってないけど。ていうか何でそんなことを聞くのか、それよりも俺の胸の状態についてわかったことがあるなら教えて欲しい。
「そうか、じゃあ、行けばわかる。。多分すごく驚くと思うけど、俺はアニキの味方だからな」
お、おう。弟のクセに嬉しいことを言ってくれるじゃないか。最近までなんだか距離を感じていたんだけど、その一言ですっかり元に戻れたような気がする。
「何だかよくわからないけど、トイレに行けばいいんだな?」
そう聞くと、弟は黙って頷いた。
俺は何だか狐につままれたような気持ちで、不安を抱えつつも、ひとまずトイレに向かった。
朝起きて胸のことで忘れてたけど、結構おしっこしたい。うー、トイレトレイ。
階段をタンタンと降って1階へ行く。
1階には人気がない。やはり母は早朝パートに出ているようだ。
父は、、多分今日も泊まり仕事かな。。
デスマーチデスマーチ言ってたから、プロジェクトが火を吹いているんだろう。
恐ろしいマーチがあったものである。
ウチは貧乏というわけではないけれど、特別裕福というわけでもない。
一応新築の一戸建に住めてはいるけれど、これは父が無理してローンで購入したものだ。
なので、仕事で泣きそうになりながらも、めげずに父は頑張って働いてくれている。
そんな父を助けるため、母もパートに勤めるようになった。
なので家に弟と二人だけという状況は、結構ザラにあったりする。
まぁ俺たちもそこまで子供ではないのだから、両親がいなくて不安なんてこともないけどな。
なんてことを考えながらトイレに入って、いつものようにズボンを下げ、左手を息子に添えた。
そう、左手は添えるだけ。。
「あれ?」
おかしい。添えようとした手が空を切っている。
息子が、、いない。
「え、ちょ、、、ええええ?」
俺は素っ頓狂な声をあげてしまう。
だってそうだろう、16年も一緒にいた息子が、、家出をしてしまったのだから!!!!
って、そうじゃない、えっと混乱してきた。
あれ?俺のアレはどこへ、、
そう思って股をまさぐると、すべすべとした手触りとともに、2つに割れた柔らかな感触が伝わって来る。
ふにっ
「・・っんぁっ・・」
やばい変な声でた。俺の声じゃないみたいだ。
なんだろ、触った瞬間ビリっとしたぞ、、こんなところにも怪我でも、、
・・・・いや、ちがう、、その、
これは、、
慌ててトイレから飛び出し、お風呂場の姿見の前で、シャツのボタンを全部はずし、制服のズボンを脱ぎ捨て、トランクスを勢い良く下ろし、すっぽんぽんになる。
鏡に映る自分の姿を見て、俺はようやく自分の置かれた現状を把握することができた。
そこに映っていたのは、大きな双丘を惜しげもなく晒し、不安そうな顔でこちらを見ている
肌の白いショートカットの少女だった。
そう、俺は
女の子になっていた。
主人公がようやく現状を把握しはじめました。