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美少女男子高校生の日常  作者: くろめる
第一章 春
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トリプルデート1

何言っちゃってんのうちの弟。


俺はユウの腕に抱かれたままポカーンとしていた。

そして言葉の意味と、ユウの腕の力強さを感じて、だんだんと顔が紅潮してきた。


えええ?何?なんなの?アキツグに渡さないってどうゆうこと?

俺のモノみたいなその言い方はなんなの!?


俺のことを抱きしめたまま、ユウは俺の首筋に顔を埋めてきた。


「あああ、姉貴、、いい匂いだ・・」


ん?


「姉貴は俺のもんだ!誰にも渡さん!俺はそのためにこの高校にやってきたんだ!」


高らかとシスコン宣言をした。

・・やばい。こいつは重度のシスコンだ・・。どこで道を間違えたんだ。

周囲は先ほどまでの黄色い声が止み、完全にドン引きしている。


お前の編入生デビューそれであってるの?


「何を言う!コウ様はこの学校の女神!誰か一人が独占できるようなお方ではないッ!!」


バーン!という感じで言い返したのは高山。

お前のその言い分もどうなの。


「そうよ!お姉さまは私のモノ!たとえ弟といえど、それは譲れないわ!」


彼山。。いつから俺がお前のものになったんだ。。

バチバチと3人の視線が交差する。


お、お前らこんな公衆の面前でそんなバカな言い合いをするんじゃない・・・!

俺がユウの腕の中であわあわしていると、アキツグがそれを無理やり引っぺがして自分の方に引き寄せた。


「悪ぃけど、俺も譲る気はねーぞ。」


お前も乗っかるなーー!

事態がどんどんとややこしくなってきた。


「ふふ、アキツグ先輩。そんなことを言ってられるのも今のうちだぜ?俺は今週末、姉貴とデートすることが決まっている!」


(ヒューヒュー!)

(うらやましーーい!)


外野が賑やかしてくる。うざい。。


確かにゴールデンウィーク、弟にかまってやれなかったので、一緒に遊びに行く予定を入れてはいたけれど、別にデートじゃなくない?それに兄弟だよ?


「フン。それなら俺はこいつを使わせてもらおうか・・?」


アキツグが懐から取り出したのは、『第一回神崎紅デート券争奪戦』で優勝したときにもらったデート券!の縮小版!あのパネルは賑やかしだからな!


(ヒューヒュー!)

(俺たちもデートしたーい!)


うっさい、外野うっさい。


「ぐっ、ずるいわよ二人とも、、わたしもお姉さまとデートしたい・・!」


彼山が口惜しそうにする。俺もデートするなら女の子がいいよ。。


「えっ、本当!?ならわたしも週末ご一緒させて!」


あ、え、うん。。いいけど。。


「やったー!」「ちょっと待った!それだったらその役はあたしが貰うよ!」


彼山の喜びにかぶせてきたのは背の高いポニーテールの女子。

アキツグの妹の毒島 遥(ぶすじま はるか)だった。

あれ、お前までこのクラス?


「ううん。隣クラスなんだけど、なんか兄貴が騒いでるって聞いたから顔出してみたら、コウにーちゃん取り合って恋の鞘当てが始まってるじゃん?これは参加しないとって思ってさ!」


さいですか。。


「ちょっと、アンタいきなり出てきて、お姉さまのなんなのよ!?」


「・・ふっ、あたしはコウにーちゃんの、いわゆる幼馴染だ!」


まぁ、確かにそうなる。アキツグと一緒に遊んでたから、付き合いは小学生の頃からになるな。


「なのでデートする権利の優先権としては付き合いの長いあたしにあるべきだね!」


「ぐっ、幼馴染、、それは仕方ない・・!」


仕方ないのか。お前がそれでいいならいいけどさ。

がくりと膝をつく彼山。

高山が便乗してデートしたいと言い出しそうな顔をしたので、ニコリと冷たい微笑みを返しておいたら、同じく膝を付いていた。


そんな流れで、俺は今週末、3人とデートすることになったのだった。




あっという間に週末。

俺は一応デートという名目に合わせて、それなりに可愛い服を選ぶことにした。

・・折角なのでこの間の誕生日に貰った服にしようかな。。


姿見の前でポーズをとってみたりする。

うん。可愛い。

あ、服がな!


ちなみに弟はすでに待ち合わせ場所に出発している。

一緒に住んでるんだから一緒に出ればいいのに、デート気分を味わいたいそうだ。

可哀想な弟に彼女が早くできますように。

そして俺も早く男に戻って、可愛い彼女ができますように。


デート先はいつぞやのショッピングモールにすることにした。

あそこなら広くお店も多いから適当に見て回っているだけでも面白い。

それに、映画館だってあるんだぞ。

今何かやってたかな〜。ゴールデンウィークに合わせた何かの映画がまだやってる気がする。

まあ、気が向いたら映画館も覗いてみよう。


いつもの地元駅に着くと、アキツグとハルカとユウが俺のことを待っていた。

みんな地元民だから集合場所はこの地元駅が手っ取り早い。


「おまたせ〜、みんな早いな」


「おはよっ、コウにーちゃん!」


「よぉ」


「おはよう、姉貴」


三者三様の挨拶を返してくる。

ユウ、お前は朝も会っただろうが。


今回はこの3人で遊びに行くことになったが、よくよく考えると、アキツグのあのデート券は『優勝チーム全員と一緒に』デートするのが正しい使い方なのである。だが、青山とマコトを呼ぶとより一層カオスになりそうなので呼ばないでおいた。


まあ正直なところ俺が誰と遊ぼうが勝手である。

ただ、ああいう祭りをした手前、参加者の目がありそうな高校付近では遊びたくないな。

そういうのもあってかなり離れたショッピングモールということになった。


ハルカは動きやすそうなデニムのショートパンツにカジュアルなTシャツとキャミソールを重ねて着ている。

ポニーテールを飾るシュシュが可愛らしい。


アキツグとユウもいつも遊びに行く服よりもどこかパリッとした格好だったが省略。

ハルカ、可愛いよハルカ。


「この間のパーティで見せてもらったけど、コウにーちゃんもよく似合ってて可愛いよ!うっかりお持ち帰りしそうになる可愛さだよ〜〜」


ハルカにお持ち帰りされるのは、なかなか悪くないですぞ?言いませんが。

めくるめく百合な展開を想像してちょっと赤くなる。


「そ、そっか、ありがとう。じゃ、揃ったことだし行こうか。」


このメンツだと事情を知っているやつばかりだから口調を気にすることなくて楽だな〜。

慣れてきたとはいえ、ずっと敬語使ってるのも疲れるし。かといってカジュアルな女言葉はなんか上手く使えない。


今回は定期だけでいける場所じゃないので、いくらかチャージをしておく。

・・これでよし。


改札をパスして電車に乗り込む。

ん〜、ぼちぼち混んでるな〜。


お、一箇所だけ席が空いてる。


「コウ、座れよ」


「姉貴、座りなよ」


「コウにーちゃんどうぞ」


「ハルカ座れよ」


・・・


4人で譲り合う。

いや、ここはレディーファーストでハルカだろう?

と思ったが、3人の中では俺もレディーにカウントされているらしかった。


協議の結果、混んできたら潰されやすい俺が座ることになった。

どうせちびっこですよ。ええ。ええ。


ガタンゴトンと揺られ、途中の駅で乗り換える。んー、中々電車こないなー。

ちょっと行きにくいのが玉に瑕だなあのショッピングモールは。

近くには大型家具屋もあるから、駅自体の需要はあるのだけど。


よし電車きた。


またしても席を譲ってもらい、ぼーっと今回のメンツを見回す。

・・完全に神崎家と毒島家の家ぐるみのお付き合いって感じだな。

どっちも兄貴と、弟、妹で。年もお互い同い年だし、バランスの良いメンツだ。

まあ、俺以外の3人はみんな背が高いんだけど。


目的の駅に着いた。

4人で横並びだと邪魔になるので2:2で並んで歩く。

俺の隣を誰が歩くかで揉め始めた。


・・いいから早くいこうよ。

結局、俺とハルカ、アキツグとユウが並んで歩いている。

後ろの二人は不満げだが、俺はラッキーである。


「そういえばよ、ユウはなんでT高校行ったんだ?」


不意にアキツグが口を開いた。

俺もそれは気になってた。なんでわざわざT高校なのか。

あそこのバスケ部はそこまで強くないはずだ。

高校でもバスケを続けるのならT高校じゃなくて、俺たちのF高校でよかったはず。


「・・先輩には関係ないでしょ・・」


こらー、年上にそういう口を聞くんじゃない。

ユウのほっぺを手を伸ばしてつまむ。


つままれてにやけた顔すんな。


「ユウがT高校に行ったのはぁ、大好きなおにーちゃんが居たからだよねぇ?」


ハルカがにやりとそう言った。

ん?どういうことだ?俺がいたからT高校に行った?

寧ろそれなら俺と同じF高校に行くんじゃないのか?


「ばっ・・!ちげえ!そんなんじゃねえ!関係ない!」


慌ててユウが否定している。

うーん。それとも高校を変えるほど嫌われてたのか俺・・?

でも最近のユウの態度を見る限りそういう感じはしないんだけどなぁ。


「そこら辺はいろいろあったんでしょー。でもまぁ、ユウがコウにーちゃんのことを大好きなのは今も昔も変わってないから、心配しなくて大丈夫だよ?」


お、おう。

それならよかった。なんだかよくわからんが。


「っ〜〜〜〜〜」


なんだか頭を抱えているユウ。そういえば昔からこいつはハルカに弱かったなぁ。

ユウとハルカが付き合ったら、尻にしかれそうだなぁ。

なんてしみじみ考えていた。




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