バースデー3
・・・んぁ・・?
ここ、どこだ・・?
周囲を見渡すが、まるで見覚えがない。
俺はどこかわからない場所で目を覚ました。
ふかふかのベッドだ。。俺のベッドじゃないな。。どこだここは、、うーん、俺は何をしてたんだっけ?
部屋は広く、きちんと整頓されている。どこぞの高級ホテルの一室みたいな感じだ。
それでピンときた。あ、ここは青山の家か?
たしか俺は誕生パーティを開いてもらって、、それからみんなで料理食べて、遊んで、、
変わった味のするジュースを飲んでたような。。
頭がガンガンする。。うへ。。気持ち悪い。。
枕元に用意されていた水差しからコップに水を汲み、一息で飲み干す。
んぐんぐ
喉が渇いている。汗も結構かいてしまっていてベトベトして気持ち悪い。
こんな状態でベッドを使わせて貰ってしまい申し訳ないな。
枕元の時計を見ると時間は21時を回ったところだった。
うわ!こんな時間か!まいったなぁ、もうみんな帰ってるよな?
家にも連絡しなきゃだし、、とりあえず起きよう。
ベッドから這い出ようとしたところで、ドアがノックされた。
「あ、はい」
がちゃりと扉が開き、黒髪ショートボブの女の子が顔を出す。
「コウ?起きた?具合はどう?」
「ああ、ちょっと気持ち悪いけど大丈夫だ。迷惑かけたみたいだな。悪かった。」
「いいのよ。まぁ、アキツグの膝の上で、半裸で寝てるの見かけたときはびっくりしたけどね〜」
!?
なななななんだと!?俺の話かそれ?
・・まったく記憶がない。。
俺は両手で顔を覆って俯いてしまう。
とんでもない醜態をさらしたみたいだ。
ところで俺はなんでここで寝てるんだろう。何があったのか記憶がないんだけど。
そう言うと青山は一通り説明してくれた。
・・・なるほど、酒を飲んで寝てしまったのか。
変わった味がするな〜とは思ってたんだけど、あれが酒の味か。。
せっかくパーティを開いてみんな来てくれたのに・・
申し訳ない気持ちと、情けない気持ちでちょっと泣きそうになる。
「だ、大丈夫よ!みんな笑ってたし。あんたによろしくって言って帰ってったわ。それより汗かいたでしょ?お風呂入っちゃいなさいよ。」
確かにベトベトして気持ち悪い。でも家に帰ればいいことだし、俺も帰るよ。
「だめ、もう夜遅いし、女の子が一人で帰るのは危険だわ。それにお家にはもう連絡してあるから、泊まっていきなさい」
そこまで迷惑をかけるわけには・・
と言いかけたが、青山に制されてしまった。
そのままなし崩し的にお風呂場へ連れて行かれる。
「バスタオルと着替えはこれを使ってね。じゃ、はいろっか。」
ん?違和感を感じる間もなく、青山は服を脱ぎ出した。
おいいい!何ぬいでんだよ!
「お風呂に服着て入れっての?」
そうじゃなくて、一緒に入る気か!?俺は男だぞ?
「今は女の子でしょ。いいじゃん、友達とお泊まりパーティーっていうのもやってみたかったし、一緒に入ってよ」
だ、だけど。
止める間もなく青山は全裸になってしまった。
スタイルの良い肢体が目に飛び込んでくる。
初めて見る同世代の女子の裸に頭は真っ白になった。
更衣室で下着姿までなら見てしまったことはあったけど・・・!
は、鼻血でちゃう・・
「ほれ、さっさと観念して脱ぐのだ〜〜」
真っ赤になって俯いてたら青山が近づいてきて、俺の服を脱がし始めた。
「わぁ!自分でできる!!先入ってて!」
にやにや笑いやがって!くっそう、余裕あるな〜あいつ。。
しぶしぶ俺も服を脱いで浴室の扉を開いた。
浴室は予想通り、広く、木目調の綺麗なデザインで10人くらいなら入れてしまいそうな広さがあった。
浴槽も大きな白い円状で3人くらいなら優に入れそうだ。
シャワーも2個付いてる。個人の家にシャワー2個っていらんだろう。
あ、でも今回みたいなことがあると使うか。
「そんなところで突っ立ってないでこっちおいで」
何が嬉しいのかニコニコしている青山に手招きされて、洗い場の前に座る。
洗い場には姿見も付いており、俺の全身が映し出される。
俺の後ろには青山が立っておりー、
「えいっ!」
「わひゃぁ!?」
青山が後ろから泡立てたスポンジを手に飛びかかってきた。
「初めてコウの全裸見たけど、、やっぱり綺麗ね〜〜、このおっぱいはこの間見せてもらったね?もみもみ」
泡立てたスポンジで胸を丁寧に洗われる。
青山の手つきがちょっとやらしい。。あ、そこだめ・・っ
「うぅっ」
「ふへへ、コウはかわいいなぁ・・・」
もみもみ。すりすり
背中に柔らかい二つの塊があたる。あ、青山あたってる・・!
泡を青山の胸と、俺の背中で挟むようにして体をすりつけてくる。
き、きもちいけど、ってそうじゃない!?
鏡ごしに青山の顔を見ると、恍惚とした表情を浮かべていた。
!?
最初は俺が狼で、赤ずきんちゃん食べられちゃうぞ?なんていう心配をしていたが、
むしろ逆。今は俺が赤ずきんちゃんだ。
このままだと食べられてしまう。。
顔を真っ赤にしてぐるぐる考えている間に、青山が俺の各所隅々を泡で包んでいく。
やがて青山の手が俺の下腹部へと伸びる。
さわさわ
つぷっ
「・・っ!そ、そこは自分で洗うからぁ・・!」
思わず立ち上がって走り出そうとして、
「あ、危ないっ!」
つるっと床を滑ってコケた。
その拍子に俺は青山に覆いかぶさってしまう。
目の前の顔を上気させた少女がこちらをまっすぐ見つめてきた。
・・ごくり・・
その瞳があんまりにも綺麗だったから、思わず息を飲んでしまう。
「・・ぷっ、、くすくすくす、、あははははっ!」
唐突に青山が笑い出した。
「あははは、ごめんごめん。そんな顔を真っ赤にして、真剣な顔をしないでよ」
「っう」
「ごめん、ちょっとイタズラが過ぎたね。なんだか友達と一緒に泊まれるっていうのが嬉しくて、ついはしゃいじゃった」
体勢を起こしつつ青山が謝罪してきた。
ほんとだぞ!食べられてしまうかと思った。
「あはは。まぁコウは食べたら美味しそうだから、それも悪くない提案ね?」
八重歯を見せて笑うんじゃない。ぞわっとするぞ。
体を洗い流し、二人で浴槽に浸かる。
うーーんーー!
手足を伸ばせる風呂はいいな〜〜
他人の家だということもお構い無しに俺は全力でだらける。あんなことまでされたら、もう遠慮なんてしない。ぐでー。
「リラックスできているようで何より」
おかげさまでな。
ふと青山の方を見ると、なにか考え事をしているようだった。
ぽつりと、青山がこぼす。
「私の家ってさ、お金持ちじゃん?」
お、おう。・・自慢か?
「ちがうよ!むしろ逆。・・前は友達とか、家に結構呼んだりしてたんだよ。うち広いし、遊ぶ場所も結構あるし。でもさ、私が結構なお金持ちだってわかると、なんか、様子が変わるんだよね。私を通して、お金を見てるっていうか。もちろん皆がみんなそうだとは言わないけど、そういう人はやっぱり多くて」
・・そういうのはちょっとわかる気がする。俺もこの外見のせいか、外側の印象だけで近づいてくるやつらは多かった。
「だから、あんまり友達には自分がお金持ちだっていうことは言わないようにしてたんだよね。偏見持たれたくないなって。」
「だったら、やっぱり今日ここでパーティー開かない方がよかったんじゃないのか?」
「ううん。コウたちは大丈夫だって思ってた。・・そりゃちょっとは不安だったけどさ。最初は驚いてたみたいだけど、それだけだった。今だってコウは遠慮するどころか、リラックスしきってるみたいだしね?」
そりゃお前のせいだ。
「まぁ、なんてのかな、その、ちゃんと本音で付き合える友達ってそんないないからさ、今後とも、よろしく」
青山が照れ臭そうに頬を掻きながら右手を出してきた。
俺も右手を差し出して柔らかく握手を交わした。
その時だった。
ドタドタドタ!
ガラッーーー!
勢いよく浴室の扉の開く音がした。
バッと二人でそちらを向くと、全裸の壮年の男性が直立していた。小脇には風呂桶とあひるちゃんを抱えている。
「たっだいまーー!美代ちゃーん!パパ帰ったよ〜〜〜!」
「ぱ、パパァ!!?」
驚愕の顔を浮かべる青山。
俺はポカーンとその成り行きを見守っていた。
パパと呼ばれたその男はずんずん入ってくる。
「もー、仕事遅くなっちゃってさ〜〜、せっかく美代の友達が来てるっていうから挨拶しようと思ったのに!悪い虫がいたらパパ成敗しちゃおうと思ったのに!ぷんぷん」
立派な口ひげを蓄えたダンディなおじさまがぷんぷんと言っている姿はなかなかシュールなものがあるな。
「ちょっと、パパ出てってよ!お風呂入ってるのよ!?」
「いいじゃないか美代ちゃん。10年前はいつも一緒に入ってただろう・・ん?」
そこで青山父は初めて俺の存在を確認した。
「・・君は、美代のお友達かな?綺麗な乳房だね(きらっ)」
そこで俺は自分が今全裸で、男の前にいることを思い出した。
と同時に俺の右手は青山父の左頬に吸い込まれていった。
「きゃあああああああああ!!」
バチーーーン!
大浴場に小気味好い音が鳴り響いた。
本能に任せて書いていくと、当初の設定からずれてきたりしますが、それはそれで味になるのでオッケーかなと思ってます。




