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美少女男子高校生の日常  作者: くろめる
第一章 春
19/67

恋のライバル3

翌日の放課後、俺は1年生のクラスにやってきた。

・・って、ここ高山のクラスじゃないか。


なにかと縁があるなこのクラスには。ロクでもない縁が。

高山の一件は清算しているからもういいんだけどな。


教室の前でホームルームが終わるのを待つ。

俺のクラスのホームルームの方が終わるのが少し早かったみたいだ。


お、終わったみたいだ。出てきたな。


そこに見知った顔があったので話しかける。


「こんにちは、高山くん、ちょっとお願いがあるのですが、いいですか?」


「・・・!!!!コウ様!!!!」


俺だと気づいた高山は大きく後ろにとびずさり、五体投地してきた。


「それやめて。」


「・・は、承知しました。ところで本日はどういったご用件でしょう?」


高山のキャラが変わっている。以前は純朴高校生風だったが従順な下僕みたいになったな。。。

こいつはこいつで前回の一件を引きずってるんだろうか。

ま、それは置いといて。


彼山 夏帆(かのやま かほ)さん、呼んでもらっていいですか?」


ちなみに俺が後輩にも敬語なのは、男言葉をごまかすためだ。

うっかり俺俺言ってしまわないように。


「承知しました。」


高山は一礼すると、機敏な動作で教室に戻っていった。

まもなくツインテールがやってきた。


「こんにちは、彼山さん。」


そう話しかけるとあきらかに「ゲッ」という顔をされた。


「・・なんであんたがここにいるのよ。屋上に締め出されたんじゃ・・」


いくらなんでも一生あそこにいるわけがないだろうが。

もしかして少し頭が残念なのだろうか。。


「可哀想な子を見るような目をするんじゃないわよ!・・・で、何の用なの?わたし忙しいんだけど?」


「彼山さん帰宅部でしょ。このあと今日もやることないから寝るまでネットゲームするわ〜って言ってなかったっけ」


「うっさい!だまりなさい高山!」


ドスっとボディーブローが決まって苦しむ高山


「アキツグの、、毒島(ぶすじま)くんのことで話があります。ちょっと向こうに行きましょう。高山くんありがとうね。」


ありがたきお言葉といって深く頭を下げる。

やめてくれ。周りがざわざわ言ってるじゃないか。


人気の少ない渡り廊下にやってきた。校舎裏とかは却下した。


「いくつか確認したいことがあります。まず下駄箱に金平糖やT字カミソリを入れたのはあなたですか?」


「げっ、バレてる!・・ち、違うわよ?」


バレてるって自分で言ったじゃん。

やっぱりこいつが犯人か。実害はまったくなかったが。


「もうひとつ、毒島くんについて私にどうして欲しいんですか?」


そうこれが問題。

どうしたらこいつは大人しくなるのか。

別に俺はアキツグと付き合ってるわけでもなんでもない、ただの友達なので、

こいつがアキツグに告白して付き合おうが、玉砕しようが勝手にやってくれという感じだ。


「・・・アキツグせんぱいに近づかないで。」


「そう言われても、クラスは一緒ですし、地元も一緒なので、まったく顔を合わせないということはできませんが?それに彼とは友人なので一方的に避けることもしたくありません。」


「じゃあ、アキツグせんぱいと別れて!」


「・・・そもそも付き合ってませんけど。。」


「・・・え?そうなの?付き合ってるっていう噂だったんだけど・・」


そう、それだ。いつの間にか俺とアキツグが付き合ってるという噂が流れていた。

そんなことはない。事実無根だ。そもそも俺は男と付き合うつもりなんてないし。


「じゃあ、私がアキツグ先輩と付き合ってもいいの?」


構わん。好きにしてくれ。


「ほんと!?なーんだ勘違いしちゃった!ごめんね、神崎せんぱい!」


なんだ。話せばわかるじゃないか。

コロリと機嫌を直して明るく笑う笑顔はとても愛らしい。

案外、アキツグ付き合っちゃうんじゃないのか?


アキツグとツインテールの少女が手をとって楽しそうに歩く姿を妄想する。

微笑ましい。。のだけど、、


・・なんだろう、ちょっとだけ胸の奥がもやっとする。。


まぁ、気のせいだろ。


「じゃ、私早速今日行ってくる!」


随分急だな。思い立ったが吉日というやつか。

部活終わるまで時間はまだまだあるぞ?


「んー、大丈夫。なっちゃんも一緒に待っててくれるし。」


え?私も付き合うの!?っていう顔をしている女子が後ろに。

メガネをかけた気弱そうな子だ。

きっと彼山に振り回されているんだろう。。がんばれ。


じゃーね〜と手を振って去っていく彼山。一礼してその後をついていくなっちゃん。

せいぜい頑張るといい。そして今後は俺を巻き込まないようにな。


さー、話は片付いた。

さっさと帰ろーっと。


「コウにーちゃんっ!」


その場を離れようとしたら後ろから誰かに抱きつかれた。


「ハルカ?」


「イエース!あー、コウにーちゃんに抱きつくの久しぶりだなぁ〜〜すりすり」


こらこら頬ずりするんじゃない。恥ずかしいでしょう!

うう、ハルカの慎ましやかでありつつもしっかりと主張した胸が背中に当たる。ふにふに。


・・ハルカもいつの間にか大きく。。って。そこで判断するな俺。


「あれぇ、コウにーちゃん、エッチなこと考えてたでしょ?顔赤いよ?」


にやにやしながら覗き込んでくるハルカ。

ハルカはアキツグの妹で、あいつと知り合った頃からよく一緒に遊んでた。

まぁ幼馴染だな。最初はあんまり体が丈夫じゃなかったみたいなんだけど、気がつけばすくすく育ち、女子バスケでは輝かしい成績を残すまでになっている。変われば変わるもんだ。


今は、ポニーテールにまとめた髪をゆらゆら揺らしながら俺にすりついてくる。

背もちょっと女子にしては高い方で、顔も美人さんなので、何気に俺のストライクゾーンに近いかんじ。。

こういうハキハキした性格も好ましい。


い、いかんいかん。相手は親友の妹だ。うっかり変なことは考えてはだめだ。


「そんなことより、ハルカ練習があるんじゃないのか?」


誤魔化すようにそう言う。実際ハルカはバスケの練習があるはずだ。


「おっといけねえ、忘れてた!もう少し女子化したコウにーちゃんのお身体を堪能してたかったんだけどなぁ。ぎゅう。やわらか〜い!ちっちゃ〜い!可愛い!・・・でも一部おっきい。。」


こらこら!密着するんじゃないの!年頃の女の子がはしたないですわ!

いーから、さっさと行ってこい!つーか、俺の体の話は・・アキツグに聞いたのか?


「ん?そんなん春休みの兄貴の様子と、入学してからの二人を見てたらなんとなく想像つくよ?コウにーちゃんに妹がいたっていうよりも、女になったって考えた方がなんだかしっくり来ちゃったんだよね〜。愛かな?」


にひひと笑う。

愛て。

なにこの子、勘よすぎじゃない?


じゃ、またね〜と手を振って去っていくハルカ。

なんでか好かれてるみたいだなー。昔はアキツグと遊んでたら「私のおにーちゃんをとっちゃだめ!」みたいな感じだった気がするんだけど。


まいいや、さて今度こそ帰るぞ。

と思ってたらまたもやエンカウント発生。

生徒会副会長に呼び止められた。つまりアキラだ。


「何の用だよ、アキラ。帰ろうと思ったのに。」


「地が出てるぞ。コウ。」


やっべ、・・周りに人がいないよな?気をぬくと地で喋ってしまうな。。


「で、何かご用ですか?副会長」


「暇そうだな?コウ。折角だからこの間の借りを返していかないか?」


借り?俺はアキラに借りなんてないぞ?


「・・トイレ(ぼそっ)・・」


!!!


そ、そうだった、つい昨日彼山の罠に嵌って一大事になっていたのを助けられたんだった・・。

ふむー。しょうがないか、思い返せばアキラには世話になってるしな。しっかり恩返ししておこう。


「うむ。いい心がけだな。」


それにしてもお前剣道部はどうしたんだよ?


「生徒会の仕事が忙しくてな、なかなか部には顔を出せていない。主将には申し訳ない。・・ところでコウ、お前も剣道部に戻ってきてもいいんだぞ?」


うぐっ、、そうだった。女体化してからというもの、おれはずっと剣道部をサボっているのだ。。剣道が嫌いなわけではないのだけど、タイミングを外してしまって、なんだか近寄りがたくなってしまったのだ。


「・・そうですね。。まぁ、でも私そんなに強くありませんでしたし。」


「そうか?俺には筋が良かったように見えたがな。・・まぁ無理強いはせんよ。」


アキラに筋がいいと言われるとちょっと嬉しくなるな。

あまり大した成績は残せてないんだけどなー。本当かな?

一応段位持ちではあるけど、二段だしなー。実はちゃんと中高剣道を続けてたら、二段くらい持っている奴はザラにいたりする。

本当に強い奴は在学中に三段くらいまで取得してしまうのだ。


「さて、じゃあ手伝ってもらおうか。」


へいへい。せいぜいお役に立ててご覧入れましょうか。


生徒会に着くと香織姉(かおりねえ)も忙しそうにしていた。


「ああ!コウちゃん!なんだか久しぶりな気がするわ・・!今日はどうしたの?」


ちょっとそこの取り立て屋に借りを返さなきゃならなくなりましてね。

ちらっとアキラに視線を流す。


「・・なるほど。アキラくんには日頃からお世話になることも多いでしょうしね。いい機会じゃない。じゃあ早速手伝ってもらいましょうか!」



・・・



なんだかんだと下校時刻まで手伝わされてしまった。

もう部活動の連中もあらかた解散している。


うぐぐ、肩が痛い。。


「お疲れ、コウ。助かったぞ。」


そう言ってアキラが労いの缶ジュースを渡してくれる。

遠慮なく頂きます。

・・ぷっはー!くぅぅぅぅーーー!!しみるーーー!!疲れた体に染み渡るーー!


ちなみに香織姉は先に撤収してしまっていた。どうやら習い事があるらしい。

これから習い事とか、香織姉は勤勉ですなぁ・・・。


さて俺たちも帰ろうか。下駄箱まで移動して、靴に履き替える。

・・金平糖とか入ってないだろうな・・・。ほっ。


と、その時だった。


「だ、だれかぁぁぁーーー!!」


!?


なんだ?何があった?

声のした方を向くと女子生徒が不安定な姿勢で走ってくる。

息も絶え絶えでメガネがずり落ちている。おそらく全力疾走してきて体力が尽きかけているのだろう。


・・ん、あの子は、、


「おい、大丈夫かキミ!」


アキラがメガネの子を支えてやる。

この子は、なっちゃん?彼山と一緒だった子だ。


ひとまず落ち着け。

飲みかけの缶ジュースを渡してやる。すまんな飲みかけで。

んぐんぐとすごい勢いで飲み干している。

ぷはー!と一息ついたところで、


夏帆(かほ)ちゃんを、、夏帆ちゃんを助けてください!!」


彼山?彼山になにかあったのか?


なっちゃんは一部始終を教えてくれた。


彼山はどうやらアキツグの部活が終わるのを待って、告白をしたらしい。

だけど「好きな奴がいる」と言われて断られてしまったそうだ。

なっちゃんとともに家に帰る途中、ヤケになった彼山は近くに落ちてた空き缶をキック!

それが見事、たむろしていたヤンキーのどタマにヒットしてしまったらしい。


それに気づいたなっちゃんがすぐに逃げようと彼山の手をとるも、時すでに遅し

二人は囲まれてしまったそうだ。

だが彼山が一人で注意を引きつけ、なっちゃんを逃がしてくれたと。


「・・じゃあ今はまだ彼山さんが不良たちに絡まれているのか?」


アキラの問いになっちゃんは恐る恐る頷く。


・・あのバカ・・!

俺は急いで靴を履く。

っと、場所は?


「駅近くの、ゲームセンター側です!」


わかった。

俺は頷くとカバンを投げ捨て走り出した。


後ろから声が聞こえるが、立ち止まっている場合じゃない。

急がないと。







もうちょっと引っ張ります。

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