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美少女男子高校生の日常  作者: くろめる
第一章 春
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恋のライバル2

屋上に取り残され続けてもしょうがないので、帰宅することにした。

あーあ。厄介な奴と知り合ってしまったなー。。

アキツグのことを慕う後輩ちゃんか。。あのモテ男め。。

あいつのモテ具合が俺に飛び火するとは思わなかったぞ。


ぶつぶつ言いながら鉄製の扉に手をかけるが、、


ガチッ


・・あれ?


ガチッ、ガチッ


「あ、開かない・・・!?」


何度取っ手をひねっても、扉が開く気配がない。


嘘だろ!?あいつ鍵かけていきやがった!?

なんてやつだ。ちょっとでも可愛いと思ってしまった自分が腹ただしい。


まいったな。。どうやって降りよう。

うーん、青山か、アキツグあたりに連絡して開けてもらおうか。。アキツグは部活中だろうし、青山にお願いするか。


そう思ってポケットからスマホを取り出す。

が、バッテリーがもう間も無く切れるという警告が出ていた。


しまった、昨日の夜充電するの忘れた!?

急げ急げ、早く電話をしないと電池が切れてしまう。


俺は大急ぎでロックを解き、連絡帳から青山の名前を探し、コールする。

が、なかなか青山は出ない。

くそっ、じゃあ、えっと、、マコトだ!マコトも帰宅部だし!


そう思って再度コールしようとしたところで俺のスマホは活動限界を迎えた。


・・


・・・まいったぞ、、


ここから脱出する手段がなくなった。

最悪でも翌日のお昼には誰かランチをしに屋上にやってくると思うが、それまでここでしのげる自信はない。

暖かくなってきたとは言ってもまだ4月。夜こんな格好でここにいたら風邪を引いてしまうだろう。


()くなる上は、、


屋上から叫ぶ・・・!!!


だが、これは恥ずかしい!できることならやりたくない!

嫌がらせとしては効果覿面(てきめん)だ。

あいつの思惑通りになってしまう気がするので却下だ。


むむむ、、どうしよう。どうやって屋上から脱出しよう。

しばらく悩んでいたが、結論はでなかった。


やがて日が落ちて、下校を促すアナウンスが流れてくる。

部活動を行っていた面々も帰り始める頃だ。


ど、どうしよう、、恥ずかしがっている場合でもなくなってきた。。

大声で屋上から助けを求めるというのは嫌だが、これ以上遅くなると学校から誰もいなくなってしまう。


それ以上に問題に今俺は大問題にさしかかっている。


・・・膀胱が、、限界だ・・。


おしっこしたい。


このままじゃ漏らしてしまう。

かといってトレイなんて屋上にない。


隅っこでするというのも考えたが、一生消えない傷を抱えることになってしまう。

しょうがない、、背に腹はかえられない!


屋上からグラウンドを見ると、陸上部だろうか、まだ活動しているメンバーが多少いる。

だが設備を片付けているところを見ると、間も無く帰宅してしまいそうだ。


・・くっ、急がねば・・!


俺は意を決して屋上のフェンスに手をかけ、大きく叫ぼうとした


(・・た、たすけて・・!)


・・・!?こ、声が出ない!

ていうか声を出したら、、声を出すために力んだら、、



漏れる。。



最悪の状態に陥ってしまった。

助けを求めても、漏れる。

求めずこのままじっとしていても、漏れる。


助けを求めた場合、助けに来てくれた生徒に放尿してビシャビシャになった姿を見せることになるだろう。

助けを求めなかった場合、翌日昼にやってきた生徒にビシャビシャになった姿を見せることに。。


どっちみちダメだった。


・・終わった。


俺の人生詰んでいる。


ああ、神様。どうして俺にばかりこんな試練を・・・。



がしゃっと膝から崩れ落ちたとき、屋上の扉が開く音がした。


ギィィイ・・


はっとなって振り返るとそこには、よく知る真面目そうなメガネの男子が立っていた。


・・アキラ!?

なんでアキラがここに・・!


「・・コウか・・!?お前まだいたのか?」


アキラぁぁ〜〜〜〜!!

思わずアキラに飛びつく。漏れないように静かに。


「コウ、一体何があったんだ?」


「そ、それは後で話すから、お願いだから、、トイレ、トイレつれてって・・」


俺はアキラの両腕を掴んで懇願した。

必死だった。


「わ、わかった、とにかく降りよう。。」


だが俺はもう動くこともままならなかった。

一歩でも動いたら漏らしてしまいそうだった。あかん、これはあかん!!うごけない!


「・・・だっこ・・だっこしてトイレつれてって・・・・」


かぁぁぁぁ

自分の顔が真っ赤になるのがわかる。若干涙ぐんでいる。

だけどしょうがないじゃないか!これ以外に方法がないんだもん!

歩いたら漏れちゃうもん!


アキラは何か察してくれたのか、こくりと頷くと

左腕で俺の肩を掴み、右腕で両膝をゆっくりと持ち上げた。


・・お姫様だっこだと!?

でも下手にお腹を押されたりしない分、これはいい方法かもしれない!


そのまま緩やかに、上下しない足運びで階段をするすると降りていく。

そして女子トイレの前で俺のことを下ろした。


「・・・ありがと!・・」


それだけ言い残して俺はトイレに駆け込んだのだった。

セェェーーーフ!!


勢いよく水分が排出される音がする。

こんな音聞かれたら恥ずかしくて死んでしまうけど

そんなことより安堵の方が上回っていた。


危ないところだった。放尿姫の名を(ほしいまま)にするところだったぜ。


しかしなんでアキラが屋上にやってきたんだろう?

そう思ってトイレの外で待っていてくれたアキラに聞くと


「ああ、校内の見回りをしていたんだ。校舎内に残っている生徒がいないかどうかな。屋上には鍵が掛かってたから、誰もいないだろうと思ってたけど、お前が屋上に上がったっていう話を聞いたからな。まさかいるとは思ってなかったが、一応見に行ってよかったよ。」


ああ、なるほど。だからあの時「まだいたのか」って聞いたのか。

俺が屋上にいるっていう情報はきっとファンクラブ会員から聞いたんだろうな。

・・意外とファンクラブ会員に助けられてるな俺。。公認にしてもいいかもしれない。。


「そっか、なんにせよ助かったよ。ああ、ところで一個聞きたいんだけど、ツインテールの1年生見なかった?背の低い子」


「ああ、屋上から降りてきた子だな。その子の目撃情報もあったが、、何かあったのか?」


アキツグのモテ男具合が俺に飛び火したんだけど、、まぁそれは黙っておくか。いらない心配をかけることもないだろう。


「ん、ちょっとね。まぁ大したことはない。その子のクラスわかるか?」



アキラはその子のクラスを教えてくれた。

明日はこちらから話を付けにいってやるか。

俺に極大なトラウマを植え付けかけた罪、償ってもらおうか・・・!!








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