プロローグ
かなりマイペースな投稿になると思いますが、ご了承下さい。
まだまだ創作初心者ですので。意見バシバシお願いします。手厳しくても愛のムチとしてお受けします(笑)
少し手直しを加えました。
主人公の名前、そして、本文を少々。
「──なんだ…ここ…」
気付くと、俺は見知らぬ森の中にいた。
まぁ、都会生まれ都会育ちの俺には見知った森など皆無なのだが、この際そんなことはどうでもいい。
いや、マジでここ何処ですか。なんでこんな富士の樹海みたいな森の中に居るんだ?いや、樹海行ったことないけども。
「──えーと…なんで?」
落ち着け、落ち着くんだ俺…!緊急時こそ冷静にって先生も仰ってたじゃないか!ん?緊急事態だよな?気付いたら森のなかって緊急事態に属するよな!?
あぁ待て待て、まずは状況確認を…。
とりあえず落ち着いて周りをぐるりと見渡す。
人影は…無い、というか生き物が近くにいる気配もしない。人の腰ほどの背丈の茂みに、乱雑に立ち並んだ木々…その殆どは広葉樹のようでここが比較的暖かい気候である事が伺えた。地面に傾斜はないようで、平地であるらしい。木々の隙間から差し込む陽光が心地よい。
ふと自分の体を見下ろすが、怪我をした様子はない。服装にも別段変わった様子はない、Gパンに黒白のボーダーシャツそして黒のパーカー、俺のいたって基本的な服装だ。背中には長年愛用しているショルダーバッグ。異常なしだ。
とりあえずバックから某スポーツ飲料を取り出し、喉を潤す。しっかりとした甘味が身体にしみてゆくのを感じながら、思考をめぐらす。
俺の名前は古海渉、17歳、6月生まれのふたご座…サラリーマンの父と専業主婦の母とのあいだに生まれたいたって普通の高校生…よし、記憶はしっかりしているな。
自分が何者たるかを確認した後、少し記憶を遡ってみる。
確か、久しぶりに中学生時代の友人と遊ぼうということになり、近くの幼なじみの家に向かった。
「──そうだ…確か角を曲がったとき…」
そうだ、この角を曲がれば目的地ってところで不意に何かにぶつかった…そんでこけたと思ったらここにいたんだ…。
「どういうことだ…?」
感触的にぶつかったのは人だろう、少年だったように思える。いや、それはそれとして……どういう事だ?ここは何処だ…?夢…なのか?
固まっていた右腕を持ち上げ頬をぎゅうっとつねってみる。
「──夢…じゃない」
痛い、リアルな痛みが自身の痛覚神経を刺激する。夢ではないのか…?
まぁ、夢の中で頬をつねっても脳がその痛みを作り出すから確認方法としては不適切って聞いたことがある、しかしどうもここは現実のようだ。何故かそんな気がしてならなかった。
「な…何が…」
何がどうなっている?訳が分らない…!ここは何処なんだなんなんだよ!!ふざけるなよ!!なんで!?どうして…!?
頭がどんどん混乱の渦に飲まれていく中、頭のどこか冷静な部分では、ひとつの単語が点滅していた。
『転移』
夢見る男は誰しもが一度は憧れたことのあるであろう言葉…異世界転移…あるわけが無いと思う反面、どこかあって欲しいとも思うSFファンタジーでは定番の現象…。ここで気がついたその瞬間から頭の何処かにあった気もする。
「馬鹿な…そんな馬鹿な…なぁ?」
答えが返ってくるわけが無いとわかっているのに、問いかけるように呟いてしまうのは心細さからであろう。そして、誰でもいいから否定してくれという痛切な懇願故でもあるのだろう。
刹那、体の真ん中からなんともいい難い不安が吹き出してきた。同時に吹き出した汗がシャツを湿らせる。
じっとしていられなくなって、俺はどこへ向かうでもなく歩き出した。