登場人物紹介 6 主人公編
ここまでのネタバレを多分に含むので未読の方はご注意下さい。
レン(正式名称不明)
本作の主人公。一人称は「オレ」。ジンと共に謎の転移に巻き込まれてしまい、そのため帰郷を目的に大陸を冒険している。心中の描写が少なくされているが思考と発言はだいたい一致している。その存在は仲間たちの精神的支柱であり、物語の軸でもある。
目的は帰郷だが、ジンと世界中を冒険するという幼い頃からの夢があり、それゆえ未知の大陸を心より楽しみながら旅している。
転移先の孤島でリリカと、大陸到着後にソリューニャと、カキブ城内にてミュウと知り合い絆を深めており、彼女たちの力になろうと寄り道することも多いため、未だ両親に繋がる手がかりの一つもない。
丸く大きな瞳と少々癖のある黒髪の少年で、年相応の中肉中背の外見。鍛え抜かれた肉体をしており、高い反射神経と筋質が備わっている。
目がよく、敵の攻撃を見切り生存する能力が高い。また魔導の修業の副産物として空気の揺らぎを感知する異常に繊細な感覚を得た。
無邪気な性格。物事には直線的に正面から向き合う。短絡的とも言え課題はだいたい殴って解決しようとするし、長話が苦手でよく先走る。
仲間思いでそれを脅かす者には強い怒りを向ける反面、身内に過ぎた干渉はしがらない。それは当人の意思を尊重し対等な仲間として関係を構築しているためである。
くすんだ白の魔力。生まれつき空気に魔力を混ぜ込み流れを操る固有魔導を持つ。
この魔導の使い方は主に2通りあり、1つは空気を一点に集中させ高圧の塊をつくるというもの。これを解放することで攻撃や反動による移動ができる。もう1つは風の流れを捻じ曲げる、主に防御のための使い方である。顔周りを保護すれば激しい風の中でも呼吸や視界を確保できる。
強力で応用も利く反面、魔力消費が激しい。コントロールに高い集中力も要求されるため、ダメージが蓄積していると技を失敗することもある。そのため普段は消耗と威力のバランスを効率的な塩梅に抑え、魔力と集中力の過度な消耗を防ぎ継戦能力を高めている。
空気砲による中距離戦と体力を活かした肉弾戦を組み合わせた戦闘スタイルで、周囲を無差別に巻き込むため一対多での短期決戦を得意とする。一方でジン以外の味方がいるときは全力が出せない。また性格故に罠や催眠など搦手に弱い。
能力の難易度から幼い頃はてんで扱えず、現在のレベルになるまでに長年の修業を継続している。
空気砲(仮)……圧縮した空気を解放し突風を放つ中距離技。回転を加えて竜巻にもできる。
零距離……相手に接触した状態で放つ空気砲。届くまでにエネルギーが分散しないため通常の空気砲より遥かに威力が高い。
風衣……自身の周囲に緩やかに流れる空気の層を作り、外側の空間からの影響を無視する技。魔力や炎など質量が小さく流動的な攻撃をすり抜けることができるが、特に緻密な制御が必要となるため展開は一瞬しかできない。
オーバードライブ……著しい魔力消耗と引き換えに空気の圧縮力を高める技。限界以上の圧縮とそれを留めることに集中を割くため隙も大きくなる。魔術に回す魔力すら削って威力を高めることもできるが、反動で体が壊れる。
透明な白……転移前に使っていた本来の魔力。良質でパフォーマンスを進化させる。ただし魔力を使い切らないと発動せず、また尽きるまで放出され続けるためすぐに枯渇する。さらに使用後は反動で寝込む。
ガウス曰く「原初の力」。空気ではなく空間に干渉するよう変質しているようだが……。
ジン(正式名称不明)
本作の主人公。一人称は「俺」。レン共々その鋼のような精神力は仲間にも影響を与えている。レンと同じく物語の軸。
レンとは強い絆で結ばれている相棒だが、ことあるごとに競っては殴り合いの喧嘩もするライバルでもある。
転移前は魔族に狙われていたため、両親たちと各地を転々としながら生活していた。現在はレンと同様の事情で旅をしている。
猫のように鋭い黒目と硬質で刺々しい黒髪の外見をしている。確かな研鑽の上に成り立つ肉体と凄まじい反応速度を備えている。実は後天的な両利きであり、両手をほぼ同じ精度で動かせる。
彼もまた眼を最大の武器としており、近接戦闘のセンスや経験値の蓄積に優れる。
性格は直情的で血の気が多い。敵に対しては激しく牙を剥き、挑発などかなり好戦的な立ち回りをする。レン同様単純で短慮。面倒くさくなるとやはり力ずくで解決しようとする。
刺々しい雰囲気もありあまり親しみやすさはないが、付き合いが深まると人の機微に疎く不器用なだけということがわかる。仲間の強さを心から信頼しており、時に本人以上に彼女らを認めている。
くすんだ白の魔力。生まれつき鉄を創造する力を持っていた。
一瞬で強固なイメージを作り込む想像力が能力のポテンシャルを引き出しており、初めての形状だろうと一瞬で実体化させる。また作った後で形状を変えることもできる。
自由度とスピードを両立した超高度な能力だが、作り慣れていないとイメージが揺らぎやすく長く保てない。さらに鉄にはそれを通してジンに届く力が半減する効果もあるが、その代価で手から離れると即消滅する。トンファーを好んで創造するため、これだけは長時間存在し続ける。
苦手のない堅実な戦闘能力を持つ。気配を殺し敵の意識の外からの不意打ちを得意とする。また拾った物を投げたり目潰しを狙うなど手段を選ばない。同じ武器は長く使えない弱点を抱えるが、矢継ぎ早に武器を転換することで敵を翻弄する戦闘スタイルへと昇華させた。至近距離での物理的な殴り合いには滅法強く、レンとは異なり長時間の戦闘や集団戦も得意である。
針鼠……敵の姿から着想を得た、背中から無数の刃を伸ばすカウンター技。
光沢のある白……本来の魔力で、極めて良質。発動にはレンのものと同様の条件とデメリットがある。同じく「原初」と呼ばれ、雷を吸収できるようになっていた。
リリカ
本作の準主役。一人称は「あたし」。レンたちが転移した先のクラ島に住んでおり、彼らと出会ったことでその人生を一変させる。
作中においては新しいことを知って世界を広げ、進行に合わせ心身ともに成長していく役割。
島の外に広がる世界へと憧れだけで飛び出した。到着後も仲間とともに歩くことが楽しくて、その時間を目的としていた。しかし神樹編にてシドウに敗北したことで、今度は自分が強くなって仲間を守りたいと願う。以降は冒険と修業の両方を目的としている。
くりっとした目と大きな口が愛らしい少女。癖の強めな黒髪で、いつも寝癖に悩まされている。身長は普通で線も細いが、柔軟で良質な天性の筋力を備えている。薄く慎ましい体がコンプレックス。
性格は素直で感情豊か。楽しいと笑い、怖いと怯え、腹が立てば怒るし悔しいと泣く。世間知らずと天然ボケを合わせ持つ。その愛嬌と裏表のない性分も相まって人に好かれやすい。
争いはできればしない方が良いと考えているが、追い詰められると露わになる闘争心も秘める。
仲間のことが大好き。反面その強さに憧れと劣等感を抱くことも。レンとジンには世界が広げるきっかけを貰ったこともあり、特にその影響を強く受けている。一方でソリューニャを姉、ミュウを妹のように思っている節がある。
黄色の魔力。魔術師として見れば極めて優秀。
幼い頃の師匠に魔法と魔術を教えてもらい、彼の死後もその教えを守り魔術の練習をしていた。その積み重ねが、一瞬で全身に魔力を漲らせる瞬発力と木や岩も割る強度に繋がっている。また敵の魔力を感知する第六感に優れている。
しなやかな四肢と魔術による増強を武器に戦う拳闘スタイル。ただし武術の心得はなく、運動能力で凌駕する戦い方しか知らない。調子の波が大きく、格上相手に健闘することもあればあっさり負けることも多い。魔術師としては破格だが戦士としては未熟である。
グローブ(名称なし)……フィルエルムで貰った、術式が編み込まれたグローブ。魔力を空間に固定することができ、魔力が大きいほど強く長持ちする。拳闘タイプのリリカは盾や手甲としてこれを使っていた。相手を囲む壁の生成など応用を覚え始めた矢先、ガウスとの戦闘で焼失した。
ソリューニャ=ドラーム
本作の準主役。一人称は「アタシ」。レンたちが大陸で最初に踏み入った国カキブにて出会った。世間知らずな三人を案内しツッコミもこなす常識人枠。
国の過激な政策により、かつて目の前で家族も仲間も全て殺され故郷パルマニオを滅亡させられた。彼女は正体を隠し孤独に生き延びてきたが、存在を知った国により拉致されレンたちにより救出される。そして国内潜伏が不可能となったため彼らの旅に同行することにする。
その凄惨な過去に起因する深い復讐心を秘めており、今でも過去の夢を見て苦しむ。旅の目的は修業と、そして仇を探し出して殺すことである。
背が高くスタイル抜群な竜人族。背中まで伸びるストレートの赤髪と、同じく赤い瞳の凛とした美人。竜人の特徴として尖った長い耳と蛇のような細い瞳孔、長い犬歯を持つ。さらに筋力にも優れ、敵の強さを皮膚で感じる勘が備わっている。
暑がりで露出の多い服装を好む。
性格はクールだが激情家な面もある。頭がよく知識も備えているため、逸りがちな前三人の頭脳として活躍する。が、闘争心の強い竜人族の性も持ち合わせるため、喧嘩となると喜々として飛び出すことも。仲間内では最も二面性が強いといえる。
甘い物と風呂が好きという女の子らしい趣味もあり、仲間の前では隙のある姿も見せる。特にリリカやミュウは女友達でありかわいい妹でもある。
前述の通り復讐に心を蝕まれており、憎悪に我を忘れることがある。仲間のために命をかけて戦うようになった反面、天雷編では復讐と仲間とで板挟みになった。
魔力は薄い紅色。竜人族の秘伝の魔導である「竜の鱗」を使う。また“竜の祝福”と呼ばれる二次魔力を保有する。
カトラスの二刀流が基本スタイル。どんな状況どんな相手にも一人で戦うことを想定しており、状況に応じて一刀流でも拳闘でも戦える。
研究施設編にて真紅の竜、炎赫と契約する。その際、炎赫の力をその身に宿し、凄まじい戦闘能力を発揮した。本来は遥か先の力だが、天雷編にて聖域の影響もあり再びその力を発動する。竜は祝福を消費し短時間だけ呼び出すことができる。
竜の鱗……魔力で鱗を形成する。防御力が上がり、その分思い切りよく攻撃ができる。重量がないため俊敏性を損なうことなく攻守が底上げでき、竜人族の基本にして奥義と言われる。
竜の息吹……竜の祝福を持つ者が使える秘技。口から魔力の塊を放射する。鱗の性質が含まれており衝突した部分を破壊する。
竜式二刀流……鱗を刀剣に纏わせ硬度を上げる竜人の剣術を、独学で二刀スタイルに発展させたオリジナル剣術。片手で剣を振り回す豪快な型が多く、防御を鱗で補い隙の大きな攻撃を多用する。
尾撃……魔力を纏わせた剣を二本纏めて叩きつける。魔力も飛ばせる。隙が大きく威力が高い。
翼切……剣を持つ腕をクロスさせ、水平に切り開くと同時に魔力を飛ばす中距離技。魔力は三日月状に合わさり前方広域を薙ぐ。
牙穴……二刀の切っ先を一点に合わせ突く大技。衝突と同時に魔力を放ち貫通する。
突角……鱗を纏いリーチを伸ばした突き技。牙穴のように二刀合わせる必要がなく、一刀でも放てるなど小回りがきく。
ミュウ=マクスルー
本作の準主役。一人称は「私」。仲間内では最年少だが一番の常識人。語尾にのですと付ける特徴的な話し方をする。多方面に凄まじい才能を持つ作中屈指の天才少女。
故郷フィルエルムにて王女の地位にいたが、盗賊隊アルデバランによりカキブに誘拐されていた。例の騒動に乗じてレンに救出され、帰郷のため共に行動することにする。
神樹編にて事件解決後、王女として残ることよりも仲間との旅を望んでいることを母セレナーゼに訴えた。結果、手紙を届けるという任務を言い渡され実質の許しを得たため、現在は仲間とともに目的地シルフォードへの旅路を楽しんでいる。
ダークエルフ族であり、小麦色の肌と尖った耳が特徴的。あごで切り揃えた銀髪でシルエットは丸く、大きな目と小さな口の童顔美少女である。
種族的な特徴で背も低く運動がやや苦手であり、また外見は歳の割に幼い。旅装であるオーバーサイズのローブですっぽりと身を包んでおり、それが小柄さを際立たせている。肉体は未成熟な少女のそれだが、実はリリカより発育が良い方らしい(種族比)。
性格はしっかり屋さん。幼い頃から好奇心旺盛で、外の世界に憧れを抱いていた。様々な才能には恵まれたが人の気持ちに疎い面がある。
精神的にも卓越したものを持っている。数々の危機に見舞われてもなお冒険を続けたがるくらいタフで、命の危機に瀕したときには狂気的な肝の座り具合を見せる。
四人の関係を羨んでおり、身分を隠していた頃は負い目もあって一歩引いていたが、神樹編以降は歳相応に甘えたがりでお茶目な姿をよく見せるようになった。特にリリカには遠慮がない。ジンは初めちょっと怖かった。
黄緑の魔力。魔導最適化と命名された極めて珍しい固有発現能力を持つ。薄緑の二次魔力も保有しており、一部の魔導はこれを消費して発動する。
魔道研究に秀でたエルフ族の中でも特に才能に恵まれており、魔法陣の解読などもできる。
多彩な遠距離攻撃で戦う。魔術は苦手で旅の中で磨いているが、それでも接近戦は苦手であり、反応速度やパワーなどは最も劣る。
武器は杖だが、天雷編にて神樹の至宝「神弓アルテミス」「聖盾セレス」に覚醒。自在に操れる堅固なシールドで身を守りながら、威力とスピードが数段上がった魔導を放てる。また射撃しながらの空中機動を行えるようにもなった。
神樹の杖……4本の神樹の枝で作られたミュウの専用杖。彼女の危機に呼応し覚醒、神弓と聖盾へと変化した。またその際は神樹の意思ヘスティアが宿る。天雷編にて神弓と聖盾が破壊されこの杖も機能を失った。
神弓アルテミス……フィルエルムに伝説の武器として言い伝えられている。2本の枝で弓の形を作り、その上から幾何学文様の魔力でコーティングされ、魔力の弦が張られる。二次魔力を消費する。
魔導を矢の形状に凝縮することで威力スピード射程が飛躍的に向上する。ただし命中精度は腕に依存するため、達人級のヘスティアが手助けしている。
聖盾セレス……神弓同様伝説の武器。一本ずつリング状になり、それぞれ自由に操れる。操作の一部はヘスティアが担っていた。二次魔力を消費する。
超硬質のバリアを発生させる他、幾何学模様の魔力の翼を展開させることができる。翼はあくまで移動用であり、作中の高速機動は肉体強度的にかなり無茶をしている。
魔導最適化……学習発現の能力を“固有能力並のポテンシャル”で修得できる能力。また“発現できる魔導の数が無限”にもなる副次的効果もあるが、大きすぎる才能から彼女を守るため、杖を介する魔導のみという制約が課された。
魔導融合……制約で上限が発生した代わりに発露してしまった、最適化の三つ目の効果。修得した能力同士を組み合せ未知の能力に変貌させる。何が起こるか本人にも不明で使用を控えてきたため、未だ制御ができない。
煌輝・流星虹 煌輝・流星虹矢
……調整できないため、ほぼすべての魔導を融合した矢。速度と火力を両立したミュウの最大火力。変質し混沌とした性質は本人にも把握できていない、極めて危険な未知の魔導である。
練度不足で杖で発射することができなかったが、神弓の力で矢の形状に押し込めて無理矢理飛ばすことができるようになった。発動の反動でミュウの腕に深刻なダメージが生じた。
千星・流星群……打ち上げられた魔力が弾け、辺り一帯に流星群のように降り注ぐ大破壊技。一発の火力は流星虹に劣るが、広域を穿つ分総合的には互角なミュウの切り札。
ヒールボール……巨大な雨粒のような二次魔力で包んだ対象の自己治癒能力を格段に上げる治癒魔導。疲労が残る。回復力は個人差がある。一発使うと次に使えるまで十日ほどかかり、最大で二発まで貯めておけるという制約で成立している。
速撃の飛星 速撃の飛矢(神速の飛矢)
……ミュウが牽制で多用する技。黄色の矢が分かれて広がった後に再度収束する。スピードがあるが威力は低い。矢になったときは分裂したまま広域を狙撃する「速撃」と、拡散せず一点を穿つ「神速」に変化する。
青風の巻星 青風の巻矢
……青い魔力の風の弾を放ち、着弾すると解けて暴風が吹く。神樹編ではレンがこの風を吸収することで起死回生の威力を生み出した。矢になると速度と暴風の威力が増す。
深紅の燐星 深紅の燐矢深紅の燐矢
……高熱を帯びた深紅の弾を放ち、着弾点を焼く。矢になると大量の水を一瞬で蒸気に変えるほどの熱量になる。
紅焔の裂矢……命中すると爆炎を発生させる紅色の矢。温度は深紅未満。
赤石の威星……赤熱した石の礫を放つ技。石を創造する物理的な攻撃。
浅縹の雹星 浅縹の雹矢
……冷気を纏った雹を放つ。物理的な氷の性質に加え、着弾点に霜を発生させる。神弓の力で氷の矢となり、着弾点を氷結させるほどの冷気を纏う。
輝る衛星……光る球を作る。光量などは加減できる。
魔力霧散……純魔力を分解する特殊な魔力を放つ。発動に時間がかかる。
おまけ 戦闘力ランキング
至宝ミュウ>白レン=白ジン=竜魔力ソリューニャ>レン=ジン>ソリューニャ>リリカ=ミュウ
ヘスティアサポート含めると至宝ミュウが最強。単体なら竜ソリュくらい。素リリカと素ミュウはタイプが違うが総合的には互角。




