登場人物紹介 5 天雷の秘境編・ガウスサイド
ガウス=スペルギア
誇りを司る魔神族の一人。容姿は魔族であり、尖り耳と、黒い目に金の瞳を持つ。鍛えられた大柄な肉体に白銀の長髪を靡かせる。誇りを重んじる性格で卑劣な手段を嫌い、たとえ最後は武力を行使するとしてもまずは対話を試みる理性的な面もある。
人間族を憎む敵対派の筆頭かつ一国の王で、同派の魔族たちからは絶大な支持を得るカリスマの持ち主である。親和派との戦争にて死亡したと思われたが、人間族の大陸への侵攻と引き換えにネロに命を救われていた。
時間をかけ傷を癒しながら密かに仲間を集めさせ、聖域覚醒の準備を進める。そのための労働力としてオーガの残党を拉致し、原住民・チュピの民を圧制し、数多の苦しみをもたらした。
しかし侵攻作戦開始直前に人間たちが飛来し状況が急変、ガウスは彼らを駆逐するよう命じたが、思わぬ抵抗を受け戦力を削られていく。このままでは作戦に支障が出ると判断し前倒しで侵攻を開始する。最終決戦では一度はレンたちを殺すが、蘇生した彼らに敗れ死亡した。強すぎる思念は支雷装纏を発動させ屍となってもレンたちを排除しようとしたが、最後はローザと共に灰となり散った。
老体でありながらあらゆる能力が最高水準で、自他ともに認める最強の個である。誇り無き者を敵と認識することも本気で戦うこともないが、誇りを認めた相手は正面からねじ伏せようとする、武人の信念を持っている。この揺るがぬ誇りから生成される底なしの黄金の魔力と、超速超火力の雷を扱う。
無尽蔵に生成される聖域の魔力を取り込むことで無限の魔力「天雷」へと進化した。天雷モード中はあらゆる技を限界以上の魔力で発動できるようになる。一度に多量の魔力を消費した直後は回復までに僅かな隙があり、聖域の魔力回復も追いついていなかった。天雷モードでは消費した魔力を落雷で瞬時に補填することでその弱点をも克服している。
裁きの鉄槌……全魔力を超圧縮し放つ奥義。溜めに時間を要し、使用後は再び魔力を充填するまでの間は隙ができる。天雷モードでは飛躍的に威力が向上し、使用直後に魔力が即座に供給されるため隙もなくなった。
翠砲……大量の魔力を全方位に放射しスフィアを形成する攻防一体の大技。天雷モードでは密度と範囲が向上した。
支雷装纏……紫電を体の周囲に放つ。この放電領域は触れた者を痺れさせるほか、動くものを感知し肉体が反射反応をするようになる。また電気刺激で通常以上のパワーも発揮できる。肉弾戦でも達人級のガウスがこの技を使うことで、敵を寄せ付けない圧倒的な近接能力を得る。天雷モードでは範囲が広がり放電も強くなる。
※近接戦闘時には常用するが、この状態でも魔力消費が少ない以下の技は併用できる。
閃耀の型……支雷装纏の活性化を一撃の速度を上げるための筋骨に集中させ超速の拳を放つ型。原理は瞬身と近い。発動前には溜めの隙があり、放電領域は縮小し反射も失う。
昇雷蒼……突き上げる蒼雷を放つ。離れた場所に発生させられる。蒼雷に合わせ打撃を放つ応用技がある。また天雷モードではさらに強力なエネルギーで雷雲を活性化させた。
降雷蒼……昇雷蒼で打ち上げた雷を少量の魔力で呼び戻す。天雷モードでは自然の雷をも巻き込んだ大落雷を引き起こした。
赫爪……手刀に赤雷を凝縮し、カルキとも斬り合える剣とする。閃耀同様に支雷装纏のリソースを削る。天雷モードでは手刀に収まらない魔力が伸びた。
四天
ガウスに強い忠誠心を持つ直属の幹部。それぞれが操る魔導にちなんだ二つ名を持つ。
空にて部隊の再編成が行われた以前、地上で戦っていた頃には、スカルゴートと三人の前任者がその席にいた。しかしその三人は地上での大戦にて殉死し、彼らに代わる新たな四天として今の四人になった。
レインハルト=シーザー
二つ名は驟雨。代々ガウスに仕える魔族の名家の出で、戦死した父に代わり四天になる。主からは厚い信頼を得ており、自身も右腕であることを誇り任務は完璧に遂行する。狂信的なまでにガウスを崇拝しており、高貴な立ち振る舞いを崩さぬ堅物。自分こそが最もガウスに相応しいというこだわりの強さから、同じく盲信的なローザとグリムトートーとは険悪な仲。
黒い長髪を靡かせる、眼光鋭い凛々しい男。軍服を着こなし腰には剣を差している。威圧感は強く自他共に厳しいが、軍の規範であろうとするその誠実な姿に多くの信頼を集めている。戦場では主の命令を遂行することを最優先し、そのために的確な行動を迷いなく選択し続ける。
魔力を分解する水を操る能力と磨き抜かれた剣技を合わせ戦う。また水は溶かした魔力を含み攻撃に転用できる。さらに霧や雨雲を発生させ魔力由来の特殊能力を妨げることで、自分だけが万全のスペックを発揮できるようになる。基礎能力が極めて高いため、特殊な能力を封じる水と合わせ白兵戦では無類の強さを誇る。
ガウスと共にオーガ族の制圧に向かうが、同時にリーグでの騒ぎが発生したためその場を部下に任せた。しかし入れ違いで参戦したレンによって作戦は失敗し、それをガウスの前で報告され屈辱的な失態を犯してしまう。
最終決戦では挽回のためオーガの脱出船の破壊に向かうが、覚醒したミュウの奮闘により大幅に予定を狂わされてしまう。ミュウは倒したもののグラモールやマオたちに次々と挑まれ、挙句妖刀を抜いたミツキによって足止めを食らってしまった。
連戦にも関わらず負けなしという凄まじい戦闘力を遺憾なく発揮したが、発艦を許し主も失ってしまい事実上の敗北を喫している。最終的にはヴェルヴェットとも戦ったが決着はつかず、その後の行方は不明である。
滝雨の剣……水流を纏った剣で斬り付ける。ミュウの聖盾やマオのバリアなど魔力由来の抵抗力に強く、自身は魔力でしているためただの斬撃とは一線を画す攻撃力を誇る。
滝落とし……激しい流水で魔力攻撃を防ぐ。
時雨……魔力を含む飛沫をぶつけ爆発させる。魔力が限界まで溜まっていればより威力の高い「暴雨」になる。
霧雨……魔力の伝達を阻害する霧を発生させる。
驟雨……雨雲を発生させ魔力をかき消す強雨領域を構築する。雨は身体を強化する魔力すら溶かし、足元に溜まった水たまりは地雷となる。自分以外を弱体化させる無敵の領域だが、例外的にガウスだけは自由に雷を使えるらしい。
雨の三剣士
レインハルトが直接の部下として従える三人の剣士。実力は各隊長クラスと同等かそれ以上である。
かつては雨の十剣士として三倍もの精鋭で構成されていたが、四天と同じく戦死者が発生し、さらに閉ざされた空間では補填する余裕もなかったため、少しずつ数を減らし三人になった。
エーデルワイス
三剣士の紅一点で仕込み傘を武器にすることから白傘と呼ばれる。
能力は傘にのみ適用するという条件で効力を倍増させた武器強化である。鋭い石突を発射したり支柱から細剣を抜いたりギミックを利用した変則的な戦法を好む。シンプルな攻撃力には欠けており、ミツキへ決定打を与えられぬまま敗北した。
キャクタス
百刃と呼ばれ、数多の武器を背負う姿はサボテンのよう。多種多様な武器を操る器用な男で、手を変え品を変えカルキを翻弄したが一瞬の隙に首を刎ねられ死亡した。
ロータス
編笠山を被り黒い袈裟に身を包んだ男。その不気味な外見と錫杖を武器にする姿から暗僧とも呼ばれる。先の戦争から武功で他ふたりに劣っていることに焦りを感じており、追跡作戦に参加しリーグで獅子奮迅の活躍をしたミツキを執拗に狙う。錫杖の音をトリガーにした催眠術を使ったが超集中に破られ死亡した。
ローザ=プリムナード
二つ名は陽炎。水妖族でありながら火に惹かれる異端の少女で、幼き頃から黒炎の能力に目覚めていた。ガウスに一目惚れし、それを行動で示す誇りを見初められ入隊した。ガウスに捧げるため自己研鑽を欠かさず、軍の再編成時に歴代最年少で四天に昇格した。自分とガウス以外のすべてに関心が薄くわがままな性格で他の四天とも仲が悪い。
額に波を感知する白い触角のようなものが一対生えている。露出の激しいアーマーを身に着け抜群のプロポーションを曝け出しており、ぼんやりとした瞳や小さなへの字口など艶やかな雰囲気で男女問わず人気が高い。
黒炎を蝙蝠や竜など生物の姿に変化させ操る。黒炎はローザの意思で弾けさせることもできる。また本人も莫大な魔力を纏うことができ、炎を使わない近接格闘も高次元で操る。
最終決戦ではNAMELESS組を追い詰めたが、ハルの捨て身の攻撃で致命傷を負い撤退する。辛うじて生きており、死して尚動く想い人を抱き止めともに黒炎に消えた。
陽炎……戦闘で炎が燃え広がることにより形成される、本人以外すべてを焦がす灼熱の領域。熱を通じて魔力を伝える能力で、領域内に自然発火した炎をも操れる。それにより領域内の炎はローザの意のままに形を変え、現実とは思えぬ様相で敵を呑み込む。
グリムトートー
二つ名は氷獄。高い魔道のポテンシャルを持つエルフ族の中でも突出した才能を秘めている。錆色の髪にかぎっ鼻、浮腫みでいつもしかめ面なシミだらけの醜い顔がコンプレックス。また裂けたような大きな口と猫背で悪魔の使いのように不気味である。恐ろしい風貌とは裏腹にかなりの仲間想いで、身内からは慕われている。同じ言葉を確認するかのように繰り返す癖がある。
幼い頃から醜いと罵られ続けたある日、爆発的に覚醒し里を滅ぼした。ガウスに魔導の美しさを褒められたことで信奉するようになり、四天にまで昇りつめた。他の四天とは仲が悪く美貌を持つローザとは何かと相性が悪い。
人すら凍結できるほどの冷気を操ることができ、たちまち周囲を銀世界へと変える。また巨大な氷山など氷を自在に生成することもできる。
リーグからの逃亡者を追い詰めたが、寝返ったグリーディアによって惜しくも仕留め損なう。グリーディアを斃して再びハルとソリューニャを追い詰めたが敗北、死亡した。
氷獄……自分以外のすべてを凍えさせる極寒の領域を広げる。高濃度の魔力が満ちたこの領域内であれば即座にどこにでも氷を生成できる。
ウィルズ
グリムトートーの側近で追跡任務の隊長。主への忠誠心が特に強い。自分の肉体を生贄に異界の化け物を宿す能力を持ち、肉体すべてを捧げたときの力は四天にも匹敵する。覚醒したミュウが主の脅威になると確信し、命を捧げこの力を使った。実際にグリムトートーと張り合えるほどの力を得たミュウをも追い詰めたが、彼女の作戦に嵌り奥義を受け消滅した。
エリオール
グリムトートーの好戦的な側近。事前に設定した軌跡で物を飛ばす能力を持ち、距離や質量に応じて魔力を消耗する。味方を泳がせたり複雑な軌跡で敵をハメるなど戦略的な一面もある。連戦のミツキを追い詰めたが敗れた。
モーガン
グリムトートーの側近。痕厄者という、新鮮な体液や毛髪等を人形に摂取させることで位置を把握する能力を持つ。摂取量により効果時間や精度が上がり、方角や距離まで知れるようになる。人形は自分の手元に無くても効果を発揮できるが効果は落ちる。
氷獄の外から狙うミュウたちから主をかばい戦うが、合流したミツキとマオの連携攻撃に敗れ死亡した。
ペアー=ハニー
グリムトートーの側近。妻マロンのいる場所と自分の場所を一瞬で移動できる、ドアポートという連携能力を持つ。この能力は妻側からの一方通行であり、しかも特定個人しか通れないという制約によって実現している。
戦闘担当ではないが最低限の力はある。ハルの攻撃から主をかばいそれが致命傷となった。
スカルゴート
二つ名は紅霞。三つ目の山羊の骸骨を被り、真っ黒なマントで全身を包んでいる。ガウスへの忠誠が強すぎるあまり張り合う三人に対し、無口で誰とも関わらないため四天の内でも浮いている。
霧状の粒子であらゆる物体を再現し戦う。また自身の実体すらその不安定な粒子に変え攻撃を受けない。
魔族の大陸にて秘密裏に仲間を集め黒鉄の塔を建設していたが、計画決行が近づいたためスカイムーンに召集される。最終決戦にてガウスの元へ乗り込もうとするレンとジンと戦う。一方的に攻撃を仕掛けていたが、実体に干渉できる特殊な魔力で被り物を破壊され素顔を晒した。そして彼らに関心を持ったため戦闘を中断し、無垢の魔人という正体を明かした。
第一小隊
レインハルトが取り仕切る部隊。広く作戦行動に適応できる精鋭の魔族たちが集まっており、レインハルトと共に重要な任務に当たることが多い。作中では首都防衛と脱出船破壊任務に参加していた。
隊長 フィアード
レインハルトの信頼する司令塔で、指揮や戦術考案で真価を発揮する。使用する魔導は立方体に圧縮した魔力を放ち対象を破壊する「ブレイク・キューブ」であり、自身を砲台として捉え戦術に組み込んでいる。あまりの破壊力と準備時間のせいで近接戦闘では能力が使えないが、武術の心得もあるため個人の戦闘力もかなり高い。
最終決戦では地上から敵を蹂躙する部隊の指揮を執っていた。脱出船を目前に最後の抵抗を受けるが、没入状態のマオとの攻防の末に脱出船を損壊させる。しかし犠牲になることを覚悟したミツキたちの最後の抵抗で発艦を許し、上空への最後の一射もグラモールの機転により不発に終わる。最後はウルーガの決死の突進で倒された。
副隊長 ライアン
登場せず。
第二小隊
レインハルトが取り仕切る部隊。構成員全員が戦闘能力の高い竜人族である。
戦闘を得意としているのは当然のこと、またワイバーンを使役する“飛行部隊”でもある。翼竜が棲息する渓谷で生活する竜人から有志を集めて結成された隊であり、同郷の身内としての強い仲間意識を擁する。
黒竜の主だった先祖が交わした契約により、一族の中から次の主が決まることになっていた。ガウスとは利害の一致で手を組んでおり、封印された黒竜の力を手中に収めることを目的としている。一方でガウスを尊敬している若者とそうでない者に分かれ、主に前者が小隊の構成員として任務に従事している。
コルディエラ
竜の祝福を持ち、黒竜双尾の契約者になった女。双尾とは互いに互いを侮り仲が悪い上、肉体を操られたり命令を無視されたりと力関係では不利だった。眉と側頭部を剃り後頭部に残した髪束を編んで垂らしている。紫のルージュと翼竜の刺青が特徴。ガウスには圧倒的強者としての畏怖を抱いている。
翼竜と共に生きる本物の竜人族であることに誇りを持ち、同じく契約者として選ばれたソリューニャに対抗意識を燃やす。しかし自身は一族復興の希望として仲間から過保護にされており、それが不満である。ソリューニャたちが脱走した際にもジンとの戦闘もそこそこに撤退している。
最終決戦ではようやく叶ったソリューニャとの一騎打ちにて、対竜人戦闘のノウハウと翼竜の素材で作った武具で優位に立つ。しかし地力の差と怪我を厭わない狂気で追い詰められ、未完の秘術を発動する。自我を蝕まれながらも竜の力を身に纏い彼女を圧倒したが、彼女の秘めた才覚と炎赫との信頼関係によって相打ちに持ち込まれ退場した。
竜の鱗……竜人族秘伝の技で鱗状の硬質な魔力で身を守る。
秘術……竜の封印中に開発された、竜の力を支配するための術。双尾の意思も関係なく彼の魔力を吸い上げたが、その分だけ双尾の力は弱まってしまった。ただし術者の意識が緩む隙に竜側も力の吸い上げに抵抗することができる。本来竜の魔力は修練の果てに操れるようになる力だが、それを無理に引き出す術者は大きなリスクを伴ってしまう。
隊長 エドガー
最終決戦にて翼竜部隊を指揮し黒鉄の塔の守護を務めていたが、炎赫と戦う双尾のサポートをしようとしたところ双尾自身に壊滅させられた。レインハルトのことは尊敬している。
副隊長 グルニドラ
最終決戦にて白傘と共にミツキと戦った巨体の男。竹を割ったような性格で、敵味方を問わず気に入った者へは敬意を示す。ガウスの力は尊敬しているが人間への恨みはなく、単純に地上の強者との戦いを夢見て在隊している。
部分的かつ短時間しか出せない代わりに非常に硬い竜の鱗と、向けられた殺気から視野外の攻撃にも反応する能力で凄まじい防御力を誇る。格上のミツキを手古摺らせたが、殺気を隠す抜刀術との真っ向勝負にて敗れた。潔く負けを認めたが、その性格ゆえに命までは取られなかった。
タックス
翼竜隊のブリーダー。認めた者しか乗せない彼らを使役することができるかなりの実力者だったが、リリカを傷つけられ激怒したレンに竜から引きずり落された。
ゴーン
竜人族の戦士長だったが歳を理由に隠居している。しかしコルディエラと同じく祝福を持ち、その実力は現役の誰にも引けを取らない。竜人族繫栄という野心のためにガウスに協力しているだけで忠誠心はなく、黒竜絡みの目的のため空にいた。
最終決戦には参加していなかったが、深紅の竜を手中に収めるため瀕死のソリューニャを助ける。そして彼女を拉致しようとするが、駆け付けたウェンリルに阻止された。彼女を巡って戦闘になるが決着はつかず、クロードまで現れたため諦めて撤退した。
第三小隊
レインハルトが取り仕切る部隊。オーガの居住地付近の担当であり、彼らの反乱など緊急時に独断で発動できる特殊権限を与えられている。
隊長 ジェイン=ロール
毅然とした態度と冷徹な指示で部隊をまとめ上げる女傑であり、第七小隊隊長マーヤ=ロールの血の繋がらない姉でもある。細く切れ上がった目と血の気が引いたような白い面長の女で、強い忠誠心と強敵との戦いに高揚する武人の気質を併せ持つ。
隊長格の中でも上位の戦闘能力を有し、図抜けた魔力量と出力で大量の土石を操作し見上げるほどのゴーレムを創造できる。自身はその上で戦地を見下ろしながら、埋めた両手足から魔力を供給し高い応答性でゴーレムを操作する。また周囲の土石を槍や盾に変形させながらの格闘術で、ゴーレム不使用時でもかなりの戦闘力を発揮できる。
作中ではオーガが人間を匿っていると判断し特殊権限を発動、単独でグラモールを屋敷ごと叩き潰す。さらに圧倒的な質量と攻撃範囲でリリカを近づけさせず追い詰めた。しかし恐怖心を振り払った彼女に得意の接近戦に持ち込まれ、互角に戦うも惜敗した。その後ガウスが仕留め損ねたリリカにとどめを刺そうとするが、駆け付けたレンに容赦なく倒された。
副隊長 ヒリ
多種の異次元生物を使役する召喚魔導士であり、痒いところに広く手が届くが故に補佐として優秀な女性。ジェインに気に入られてしまったため、本人は面倒がったが副隊長に任命されてしまった。
部下と共にオーガの居住地を襲うが、ジェインの敗北とレンの脅威を感じた途端に撤退命令を出し損耗を最小限に食い止めた。
ギザ ザギ
リリカが最初に遭遇した魔族の二人組で、槍と鎚を扱う。亀裂を作る能力と連携で不調のリリカを追い詰めたが反撃を受けた。帰隊後リリカを目撃したことを報告しオーガの里を危機に晒す遠因となった。
第四小隊
ローザ=プリムナードが取り仕切る部隊。
広範囲に点々と部隊を展開し、複数の遺跡から地下までを管理していた。エリーンとミィカが脱走する直前まで身柄を請け負っていた部隊で、リラたちの急襲で脱走されたときは焦って追っ手を差し向けたが、あと少しのところで鉢合わせたレンにより阻止された。その後一度はエリーンを取り戻すが、ミィカとレンにより再び奪い返されてしまった。
隊長 ケイントス
作中未出。自分の隊が巫女の脱走を許し追跡も失敗し、挙句レンに軽くない人的被害も出されたという不運の隊長。
副隊長 ネルヴァ
実力はあるが意地悪で評判の悪い女性。隊で巫女を預かる間よく彼女をいびっていた。巫女を追う道中でミィカを唆し、最大の障壁となるだろうレンを刺させた。目論見通り彼を弱らせたものの、そんなミィカを嘲る彼女に激怒したレンに一撃で戦闘不能にされた。
ヤヤラビ
戦闘における実力は隊長に次ぐものがあり、それを理由に分隊のリーダーに任命された男。前線に立ちたい質で、分隊を任されたことに不満がある。戦うことがなにより好きで、人間に対する差別意識も小さい方である。
魔導で拳などを一瞬だけ、繰り出した直線上の空間にワープさせる。自身の攻撃を隠すための煙玉を使う。疲労困憊のレンとの戦闘では序盤は有利に攻撃を与え続けたが、やがて通用しなくなり敗れた。
第五小隊
ローザ=プリムナードが取り仕切る部隊。女性のみで構成されているが戦闘能力は高い。首都および近辺の警備を担当していた。
隊長 エルメール
作中未出。首都防衛任務についており、ジンたちの奇襲を受けた際に隊を指揮していた。
副隊長 カンナ=ポロウ
闘技場でハルと戦ったが、手加減に気付けない不甲斐なさに失望したローザに焼かれ死亡した。棒術にも応用できる二本の筒から魔力を撃ち出すオールレンジの魔導士。射撃の方が得意で弾丸の連射性能や威力を調整できる。
アミン
追跡作戦に参加した高飛車な女性。指先から魔力を射出する能力を持ち、立てた指の数に応じて破壊規模を調整できる。弾には命中した箇所を削る特性がある。マオやミュウを追い詰めるが最後は覚醒したミュウに敗北した。
第六小隊
スカルゴートの部隊で「幽幻の隊」とも呼ばれ、軍の内部にすらその存在が明瞭に認識されていないという異質な存在。ガウスにとって重要な任務を人知れず遂行する影の隊である。
実は白い霧状の魔力で象られた兵隊人形であり、それらすべてをスカルゴートが操っている。つまり第六小隊とはスカルゴート一人の隊である。人形は霧散して敵の攻撃をすり抜けたり変形したりできる。また魔力がある限り生み出される。
第七小隊
グリムトートーが取り仕切る小隊。構成員は魔族。戦闘力に長け、隊長を中心に結束も強いチーム。
警備担当。作中ではチュピの民とその村の管理、監視の任務についていた。
構成員のほとんどはカルキに殺害され、その時偶然そこを離れていたマーヤもジンたちと交戦、死亡したことで隊は壊滅した。わずかに生き残った構成員はカルキから逃れ、結果ジンたちの存在をいち早くガウスや第九小隊に届けた。
隊長 マーヤ=ロール
第七小隊を実力と人望をもってまとめあげる女傑。隊長格の中でも上位の戦闘力を保持し、黒腕の異名も持つ。
人間との戦いで失った右腕に黒いワイヤーの束を装着しており、これを操る能力「黒鋼の右腕」で義腕として利用している。一本単位で操るため魔力や集中力を著しく消耗し、束ねた本数や伸ばした長さに応じて強度も落ちる。ワイヤーを伸ばして串刺しにする戦法と、体に這わせ鎧代わりにする“黒帷子”の戦法を駆使して遠近問わず戦える。
腕の件で人間族に恨みを持っており、部下も殺され満身創痍のジンたちを猛烈に追い詰めた。最期はカルキの放った執念の連撃で首を刎ねられた。
副隊長 レイメイ
物語の陰でひっそりカルキに殺された第七小隊の副隊長。
第八小隊
グリムトートーが取り仕切る部隊。構成員はエルフと魔族の混成。学術研究に長けた者が多く、島内調査で活躍する。戦闘では各隊と協力することが多く遠距離補助を担う。設定上は存在するが作中での活躍はない。
隊長 キョード=グリンダ
翼竜部隊に竜人とペアを組んで射撃を行っていたという設定。ミュウやオーガたちの活躍で退けられ、その後行方は不明。
副隊長 カール=ルフロフス
脱出船を追う敵船に乗っていた設定だがカットされ作中未登場。
第九小隊
グリムトートーが取り仕切る部隊で構成員はみな獣人族。もとは親和派イリヤの部隊だったのだが、彼女が討たれた後、消耗の補填のためガウス軍に吸収される。同じく敗北したオーガたちが抵抗をやめず労働奴隷にされたのに対し、こちらはガウスに屈服しいち小隊という地位を得た。
開墾が主任務の屯田小隊。成り立ちもあり隊としての地位は低い。人員補充がなく15年前から変わらぬ顔ぶれのため、結束が強く一つの家族のようである。
リーグを目指すジンたちと交戦し、大きな被害を受ける。その後グリムトートーの脱出作戦を援護し隊長を失い、残党も最終決戦で船を逃がすための犠牲となった。
隊長 グリーディア
熊の獣人。小隊長。ガウスの圧倒的な力に心が折れてしまい、敗者として彼に従うことを受け入れた。ただし信条よりも仲間の生命を優先した一面もあるため、部下からは強く慕われている。
折れた大剣の刃を、長さや大きさを変えて創造する能力を使う。ガウスに挑もうとするジンに折れた己を重ね、無謀な彼らを止めようとするが敗北する。ジンに温情をかけられ命を拾い、情報を渡し彼らを行かせた。
戦いを経てガウスへの反抗を決意し、リーグを脱出したソリューニャたちの危機を救う。グリムトートー相手に時間を稼ぎ死亡した。
副隊長 パグ
犬の獣人族で、隊では最高齢の副官。カルキに描写もなく殺害された。




