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「お妃様、ハル様。お帰りなさいませ。こんなに長い時間何処へ行っておられたのです?」
城に戻ると何処か少し慌てた表情の女中たちがいそいそと迎えにきた。
「少し近くの丘の方まで春先に咲くカユリの花を摘みに行っていたの。あれはとても良い痛み止めの薬になるわ。」
「ハル様、怪我をして戻られたフィオン様を心配しておられましたものね。」
「はい…どうしても何か役に立ちたくて……。」
「ハル様!妃様!やっと戻られましたか!陛下がお呼びですぞ!」
そう言いながら女中達より遅れて奥から現れたのは
黒いスーツに身を包み白髪交じりの洒落た口髭をはやした執事。
姿勢の良い筋肉質な身体つきはとても70を過ぎた老人には思えない。
「父様が?」
「あら、珍しい事があるものね。」
「何でもカミラ様のご婚約の件で…。」
それを聞いた母は穏やかな表情から一変しさも不快そうに眉間にシワを寄せる。
「カミラが?私本人の口から何も聞いておりませんわ。どういう事なのかしら。母に相談も無しに……。ハルは何かカミラ姉様から聞いていて?」
「いいえ、僕も初耳です。」
「とにかくあの人に聞いてみなくては。行きましょう、ハル。爺、案内をお願いしてもよろしいかしら?」
「はい、もちろん。」