脱獄
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気が付いたら牢屋の中にいた。
何が起きたのかわからない。
ここがどこかわからない。
いつからここで寝ていたのかわからない。
どうしてここにいるのかわからない。
そしてそこに座って本を読んでいる金髪の女性が誰なのかわからなかった。
「すみませーん」
女性に向かって声をかけてみた。こちらを見た
「おー、目が覚めたか」
少し意外そうに、声をかけられた
「なんで私こんなところにいるんですか?」
「察しが悪いな。だが話は出来そうか。そっちの質問に答える前にこっちから質問させてもらう」
「お前は誰だ?名前、年齢、出身、住所、家族、職業の順に答えろ」
少しにらみながら、威圧的に質問された。
「リア・ハルモッドです。年齢は18歳で、出身は………」
言葉に詰まった。(あれ、私どこから来たんだろ、思い出せない…?)
「どうした?自分の出身地くらいわかるだろ。どこで生まれてどこで育った?」
リア「すみません、私記憶喪失みたいです。」
「なるほどな。どうやら言えないらしい。」
冷たい視線にリアは緊張した。(何か勘違いされている…?)
「やり方を変える」
そう言って女性はその場を去った。
やり方を変えるという言葉の意味が分からなかったリアは戦慄した。
しかししばらく経ってきたのは、自分と年齢が近そうな少女がこちらに来た。
「あ、どうも…」
「初めまして」
「…………………………………………………………………」
なぜ何も話さないのだろうか。少女の穏やかそうな見た目にひとまず安心したが、やはり何をされるかわからない。とりあえずなぜ黙っているのか気になるのでこちらから話を聞くことにした。
リア「何しに来たんです?」
「あ、ああ、申し訳ございませんでした!」
「わ、私藤堂アロナといいます。」
リア「私はリア・ハルモッドです。」
藤堂「あの、出身、住所、家族、職業を教えてもらっていいですか?す、素直に質問に答えてくれたら、つ、罪も軽くなるかと…多分…」
(ずっと正直に答えてるんだけどな…)
リア「ごめんなさい、記憶喪失みたいで出身と住所は思い出せないです。家族は1つ下の弟のレジーがいて、職業は薬屋をやっています。」
(なぜかそこだけは覚えているんだよね)
藤堂「あ、はい。薬屋ってどこの会社でとかありますか?」
リア「自分で作って売っていました」
藤堂「自営業なんですね。えっと、わかりました…少し待ってください」
しばらく経った後、再び藤堂が話す
藤堂「リアさん…あの…言いにくいんですけど…薬物取扱免許って取られました?」
リア「……あの…それも覚えてないんですけど…」
藤堂「あ、はい……さっき登録情報調べたんですけど、免許取得されていないですよね…」
リア「あ、え?えっと………」
(待って、結構やばい?)
藤堂「覚えてないんですよね…じゃあ次に、あなたが乗ってきた乗り物とここに侵入してきた目的を教えてください。」
リア「な、何のことですか?」
(本当になんのこと?)
藤堂「ん?それも覚えてないんですか?」
リア「気が付いたらここで寝ていて…」
(なんのことかさっぱりわからない。乗り物?侵入?…侵入?!なるほど、だから捕まっているのか…)
藤堂「あ、はい…。あと失礼なんですが…
あ、あなたの名前は本当にリア・ハルモッドですか?」
リア「そのはずです。私が覚えている範囲では…」
リアは自分の記憶が本当に正しいのか、わからなくなってきた。
藤堂「ちょっと5分間目をつぶっていてください」
リアは少し不思議がりながら5分程度目をつぶった
ーーー5分後ーーー
藤堂「開けていいですよ」
リアは目を開いた
藤堂「あ、私は霊を私に憑依させることができるんです。死んだ人や生物はもちろん、目の前にいて目を閉じてくれていれば生きていても大丈夫です。う、嘘をついていないことは確認できたし…い、一旦代わります!!!」
藤堂は逃げるようにその場から去った
(そんなことができる人間もいるのか…それよりも、早くここから出たい…あの子が一番話が通じそうだったな。話せば分かってくれたかな…。もう少し話をきけば答えてくれたかな…。頼めば出してくれたかな…。)
そして、今度は真面目そうな男性がきた。
見張りが仕事のようで、こちらに話しかけることもなくじっと睨んでいる。
(ダメもとで話しかけてみるか)
リア「あの…私、どうなるんですか?」
「しばらくはここの中だろうな。お前が何者かおまえ自身で説明するまではここから出すわけにはいかん」
リア「私、本当に記憶がないんです!信じてください!」
「それは藤堂から聞いた。だが、お前が不法侵入者で何者かわからないという事実には変わらん。」
リア「随分と警戒されているんですね」
「外の連中や西の連中のこともある。警戒するのは当然だ。それに、お前だけ特別扱いするわけにはいかん。そういうルールなのでな。」
リア「外の連中や西の連中って…」
「知らないのか。今まさに抗争中の相手だ」
リア(少し不謹慎なやり方だけど、それならワンチャンあるかも…)
リア「あの…!私薬なら作れます!この国が抗争中なら、怪我人もたくさんいるはずで、私も役に立てるはずです!」
「それでもお前をここから出すわけにはいかん!」
リア「材料さえ届けてくれればこの場所でもできます!」
「信用できん!」
「いいじゃないか。実際怪我人の治療は追いついていない」
先ほどの金髪の女性がこちらに来た。相変わらず目つきが悪く少し怖い。
「勝手なことを言うな。ルール上そのような特例は認められていない!」
「私が預かる。危険人物と判断すれば即殺す。もちろん、この牢からも出す。」
「そんな勝手、許すとでも?」
「許さないから、何?私を力づくで止めるか?」
「……」
「沈黙は了承と捉える。上への報告は私がやっておく。出てこい!」
鍵が開いた。急な出来事に状況が把握しきれなかったが、何とか助けてもらったみたいだ。
リア「ありがとうございます。あの…」
「星呼。ここから出したからには役に立ってもらう。」
リア「はいっ!よろしくお願いします、星呼さん!」
リアは作戦が上手くいった満足感、牢から出ることが出来た安心感、そして救ってもらった星呼への感謝と憧憬を感じた。あと、やはりまだ少し怖い…
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