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ピースメイカー  作者: 蒼蕣
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生命力

日に日に彼女の太陽は影って行った。

いくら表面的には明るく振舞っても澱みがある。

どれだけ彼女が愛想を振りまいても現実は刻一刻と着実に近づいてくる。

その度に彼女は自分に迫る命運に怯えるようになった。自分の死を仄めかすような発言が増えた。

疲れたのだろう、自分を偽ることが。何の成果も得られないのに努力することほど無駄なものはない。

死ぬことへの恐怖が生きることへの執念を諦めさせる。なんとも皮肉な話だ。

死にたくなければ生きると強く思いたいはずなのに、彼女は仕事を辞め、生活も荒々しくなった。

やはり死は辛いもので怖いものなのだ。何より余命宣告を受けたものは余計に心を患う。

ベッドで寝たきりとまではいかないが、家に引きこもるようになった。

まるで勢いよく燃えて、尽きた灰カスのようだった。

私は彼女の家に通い詰めた。

私にだけはちゃんとドアを開けてくれる、受け答えをしてくれる。しかしそのどれもつまらなそうな表情をしていた。これまでの彼女とは全くの別人だ。こんなにも彼女は弱かったのかとここにきてようやく思い知らされた。

こんな顔を私は見たくなかった。しかし彼女を笑わせられるだけの話術を私は持ち合わせていないし、それにたとえどんなに面白い話をしようとも一時的に気を紛らわせるだけで、根本的な心のケアとは程遠い。

私がいなくなれば電気もつけず、何も食べず、ただじっとその場に座り込んで、夜が明けるのを待つのだろう。

余命宣告を受けたものはそうやって弱っていき、我々が回収する前に衰弱死してしまうケースも過去にあった。

そうならないため、今度は私が彼女に寄り添うように話をしたり、ご飯を作ってあげたり、睡眠を取らせたりした。

これぐらいしか私にできることがない。自分は彼女に何度も救われたというのに。碌な恩返しもできない。

私も理屈そっちのけで彼女を全力で守ろうと奮闘するつもりだったが、なぜか彼女が全力で私を止めにかかる。弱々しい手を振り解きたいと何度も思ったが、私を見つめる瞳が私の力を奪っていた。

当初は仕事に差し支えない程度に彼女を見守っていくつもりだったが、いつの間にか仕事そっちのけで彼女につきっきりで看病した。

もしかしたら私も仕事に対する執着心を、この世で生きながらえる覚悟を失ってしまったのかもしれない。

彼女が死ねば、私も後を追うように自ら命を絶つのかもしれない。

そうすれば私は一体どこにいくのだろう。

生きていた頃に自殺しようとして罰として人の命を奪うことへの苦しみを強要され、その尸に残った空っぽの心臓を再びこの手で止めたなら、私は何になるのだろう。

咎人か、鬼か、ゾンビか。

まあ、そんなことは今はどうでもいい。

「できたよ。結衣」

「うん…ありがとう」

元気のない声がかすかに聞こえた。

私は決して料理は上手くない。しかし今の世の中ネットである程度の料理の作り方が載っているので、それを参考にした。

今日作ったのはボンゴレというパスタだ。今回はトマトソースを使っていないので、ボンゴレビアンコというべきだろうか。

オリーブオイルとにんにく、アサリを入れた手軽にできるパスタで初心者の自分でも上手くできたと思う。

にんにくとオリーブオイルの香りが鼻をくすぶる。

彼女はゆっくりとリビングのソファから立ち上がってダイニングの椅子に座った。

「いただきます…」

少し微笑んだように見えた。

「どうぞ」

彼女はゆっくりとパスタを口に運んだ。

「おいしい」

「そりゃあ良かった。今日はどこいく? せっかく昼過ぎに仕事が終わったんだからどっか遠出しようか」

「ううん。いい。ここにいる。直之も大変でしょ」

「そうか…」

外の小鳥のさえずりが聞こえるほど部屋の中は静かになった。

どんな状況でも決して明るい顔を崩さなかった結衣がこんなにも枯れてしまった。

涙は流してないものの、その顔は今にも涙が溢れそうだった。

その日は結局、特に何もすることなく終わった。

時間が流れるのが早い。もうすでに彼女の死刑執行まで一週間を切っていた。

ご無沙汰しております。先日、『シンギュラリティ』の英訳を終えました。夏休み期間全てを費やすとは思っていませんでしたが、一ヶ月ぐらいしかかかりませんでしたね。以前当時の自分の日本語をそっくりそのまま英訳するか、はたまた現状の自分の日本語に一回書き直してから英訳するかで迷っていることを話しましたが、結論から言いますと後者を選びました。というのも誤字脱字が多い点、そして改めて読んでみて、このトリックは難しいまたは更なる説明が必要であると感じたり、後は文脈的におかしい点がいくつも見つかったからです。結構な数のミスが見受けられましたので、そんな粗末な作品を読ませてしまい申し訳ありませんでした。

英訳する際の困ったことなどに着いては後書きなどに書くとして、問題はこれをいつ投稿するかです。手を加えたと言っても大まかな内容はそのままなので、『新・創世記』を投稿し終えるまで保存しておくことに意味はないと思います。かと言ってストックが『新・創世記』だけというのも少々の不安が残ります。まだ夏休みはありますので、これから新しい作品の構想を練る予定ではありますが、来年以降はこのような長い休みが取れる見込みがありませんので、もしかしたら新しい作品を書く暇がないかもしれません。そうなるとストック切れで開始当初からずっと続けてきた毎週投稿が途切れてしまうかもしれません。『新・創世記』は私の目論見では三年ぐらいかけて投稿する予定なので、三年の猶予があれば大丈夫かなとも思っていますが、研修がどれぐらい忙しくなるのか、その後教師になった後も作品を書く時間を設けられるか、これからの展開が予想できません。新しい作品の構想にどれだけの時間がかかるかにもよりますが、とりあえずは『新・創世記』と同じタイミングで投稿しようと考えています。もし新しい作品の構想が残りの夏休み中に仕上がらなければ、年末、自伝の方を一旦区切りとしたタイミングで投稿しようと思っています。

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