移動
二日後、原警部、小島警部補と私は南紀白浜空港へ向かう飛行機の中にいた。
予定通り、三日で全ての事故の死亡者を処理した。
「報告によると、初日から現場入りしたのは中部地方と九州地方の人口管理班の連中だそうで。二日目には近畿と中国・四国組が参加し、今日にも東北と我々が合流する予定」
小島警部補は報告し終えると、二つ折りの携帯の電源を切り、背広の胸ポケットにしまった。
「確か行方不明者もこの二日間の間に六人見つけたと。所在はそれぞれ中部一人に近畿一人、残り四人は関東です。その関東の四人のうち一人だけ生存確認されましたが、残りの三人は死亡。今日署に残った二人が死亡審査をして、人選機から除外する予定です」
アナログ派の私はそう言って手帳を閉じ、同じく背広の胸ポケットにしまった。
「そうか、まだ行方不明者はたくさんいる、全て見つけ出さないとな」
私たちは座席に座っていた。まだ地上、これから離陸である。
「なんか時間が無駄に感じますね。ここ数日ずっと動きっぱなしでしたから」
「と言ってもこんな飛行機の中でできることなんて限られてる。今のうちにゆっくり休んどけ」
警部はいつものように気だるげな雰囲気を出していた。
南紀白浜空港に着くと、出口で赤井警部が待っていた。
「お待ちしておりました。さ、どうぞ」
軽く挨拶を交わすと、車に乗り込んだ。
「すでに東北の方々も到着しています」
赤い警部はミラー越しに後部座席に座っている我々を見た。
車は五人乗りだが、男三人が後部座席に鮨詰めになるのは避けたほうがいいという我々の満場一致で小島警部補が助手席に座っている。
「え? 我々も朝一番の飛行機で来たのに」
「あ、そう。てことは俺たちが最後だ。俺が頭下げなきゃな」
原警部がめんどくさそうに頭をかいた。
「それぞれの地域で派遣人数が違いますよね? 我々は五人しかいませんので、三人しか動員できませんでしたけど…」
「いや、五人は人口管理班の中では多い方なんですよ。我々近畿地方からは二人、井伊刑事とも面識のある私と籾井。九州からは一人、島津警部が。中国四国からは長宗我部警部補と十河警部の二人、東北からは片倉警部、そして中国地方からは柴田警部と森、佐久間巡査部長の三人」
「合計十二人ですか」
「はい。ほとんど全国の人口管理班を総動員した形になりましたね」
「だが、今の中には特別お偉いさんはいないみたいだが、いったい誰が指揮してるんだ?」
階級的には上の赤井警部に躊躇なくタメ口で尋ねる身の程知らずの小島警部補。
「我々は他の捜索隊の指揮官とともに行動してます」
「こういう時だけ、合同か。いつもは爪弾きにされているのにな」
「ちょっ、ちょっと小島さん失礼ですよ」
私は思わず後部座席から前かがみになって、前に座って悪態をついている小島警部に耳打ちをした。
「ははっ、いいですよ。事実ですから。実際宿泊先は捜索隊の中で、我々だけ別ですから。我々の名前を嫌っている警察官は多いです。上の命令でしかたなく従ってるって感じですしね。正直居心地が悪いというか。立花警視がいたら、違ったと思いますけどね」
掲げている正義が違えば反発も起こる。
ふと、会議室で我々を指揮していた立花警視のことを思い出した。
「そういえば、立花警視は来てないんですか」
「ええ、彼は人口管理班のトップですので、持ち場を離れるわけにはいかないんです」
「おい、うるせえぞ井伊」
助手席に座っていた小島警部補が私の方を振り向いた。
「す、すみません」
小島警部の視線を辿り、隣を見ると、原警部が両手を組みながら静かに俯いていた。
「そっとしておきましょう。まだ三十分ほどかかりますし、車を降りた後も四十分ぐらい山道を歩くので」
そう静かに笑いながら赤井警部は車を森の中に走らせた。
みなさん、ご無沙汰しております。これが投稿されている頃には大学四年生の一学期が終わっている頃でしょう。短かったように感じるのが率直な意見です。冬休みはたった短いので、執筆は行いませんが、代わりに次の作品の題名を発表しようと思います。その名も『新・創世記』です。おそらくこれは前にお伝えしたと思いますが、この『新・創世記』は二部に分かれており、今回はその二つの題名も発表しようと思います。第一部が『マニポリー讃譚』で第二部が『英雄戦記』になっております。よかったらこれらの情報から物語の内容を推測してみてください。それでは来週もよろしくお願いいたします。




