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ピースメイカー  作者: 蒼蕣
25/57

集結

「では、これより人口管理班の緊急会議を執り行います。ええ、まずはみなさん遠いところからご足労いただき感謝申し上げます」

会議を行うのは小さなレクチャーシアター。

私たちは縦五列、扇型に並んだ席の二列目中央に陣取った。

目の前には大きなスクリーンそして一人の男が立っていた。

どうやら彼がこの場の進行を務めるらしい。

スクリーンの横にはキャスター付きテーブルと椅子があり、そこには一人のガタイのいい大男が鎮座していた。

白髪混じりの短髪に顔中に刻まれた深いシワは暴力団のボスを匂わせる。一度も顔合わせたことがないと、露骨に怖がってしまうだろう。

進行役の人とは過去にどこかであったのを覚えている。

確か名前は…

「島津です」

そう島津義伸警部だ。

周りを見渡すと、あちらこちらに見知った顔が真剣な眼差しを向けていた。

やはり人口管理班は全国的に見ても少数なのだろう。狭い業界だ。些細な問題でも起こしたら、瞬く間に知れ渡ってしまうほどに。

その中にはこの前捜査協力していただいた赤井警部と籾井警部補の姿もあった。

「ええ〜それではまず各管轄内の死亡者と行方不明者の人数を把握したいので代表者の方々、順に説明を求めます。ではまず片倉警部から」

そう言うと、最上段の中央で一人で座っていた刑事が席を立った。

茶色いブレザーで髪の毛を後ろで束ねている。

背格好は佐竹先輩のように、痩せ型といった感じだろうか。

「東北地方担当の片倉です。ええ、今回の事件での死傷者のうち住所が我々の管轄内なのは七名、行方不明者は三名です」

「ありがとうございます。では次に…」

「地理的に言えば次は俺たちだろ」

そう言って隣に座っていた原警部が立ち上がった。

「関東地方および北海道管轄の原だ。まず死傷者のうち北海道在住なのは五人、行方不明者はいない。次に関東地方からだが、死傷者は六十四人、行方不明者二十一人だ」

我々関東人口管理班のトップである自覚があると言わんばかりに、冷静にそしてハキハキと述べた。いつものひょうきんさはどこ吹く風。もしかしてあれは我々にしか見せない姿、それだけ我々を信頼していると言うことなのか。

「わかりました。では次の方」

「はい」

これまた小島警部補やスクリーンの脇に座っている刑事に似た大柄な男の人が、我々の一段後ろの席から立った。

「中部地方担当の柴田です。ええ中部地方からの死傷者は十一人、行方不明者二人です」

「…」

島津警部はそこから先、手で次の方どうぞと合図を出した。

「近畿担当の赤井だ。死傷者は十八名、行方不明者十二名」

「中国、四国地方の十河だ。死傷者は両地方合わせて十三名、行方不明者七名だ」

「そして、最後に九州からの死傷者は七人、行方不明者六人です」

最後に島津警部がそう言った。

「やはり一番大変なのは関東ですね。立花警視正どうします?」

スクリーン横で静かに座っていた刑事がついに動いた。

彼は立花警視。彼が人口管理班の中で一番位が高いため、彼の所属している九州が人口管理班の本部となっているのだ。

「あいわかった。まずは自分の地域の死亡者の審査を迅速かつ的確に処理しろ。終わった地域から事故現場に入り、行方不明者の捜索。関東の人口管理班は死亡者の審査だけでも数日かかると思われる。その遅れを我々他の地域が行方不明者の捜索で補う。行方不明者に関しては管轄など関係ない。自分の地域の行方不明者がいなくなったからと言って引き返すことは許されんからな。我々人口管理班の連携を取るためにも誰を見つけたのか、そしてその人物の生死を確認したら必ず我々全員に知らせること、いいな。いいか我々の仕事は時間との勝負だ。一刻も早く行方不明者を探し出せ! それと、東北地方の人口管理班は管轄外ではあるが、北海道の死亡者審査も行って欲しい。そうすれば関東地方の人員を割くことなく、関東だけに集中できるからな」

「かしこまりました」

片倉警部が再び立ち上がり、敬礼をした。

それに続くように原警部が立ち上がり、片倉警部の方を向き、お辞儀をした。

「うむ。他の警察や自衛隊も捜索に向かっているからと油断しているんじゃないぞ。人口管理班以前に我々警察は国民の暮らしを、国民の命を守るのが使命だ。お前らの一分一秒が行方不明者の生死を分けることを肝に銘じろ。わかっていると思うが、通常業務も怠るなよ。以上だ、全員今すぐ取りかかってくれ」

「はい!」

会議室にいた全員が席から立ち上がり、一斉に散らばった。

「よしまずは死亡者の確認作業だ。馬場、死亡者を病院別に分けてあるな?」

「はい。しかし、六十数人ともなると、病院だけでも相当な数ですよ」

そう言いながら、紙の束を数個用意した。

「そんなのわかってる。とりあえず、まだ下っ端の井伊は佐竹と一緒に行動して、こいつらの審査頼む。小島はこれで、俺はこれだ。馬場は戻って通常業務を。一人でできるな」

そう言うと、各自紙の束を受け取った。

「警部がそう命じるのであれば、必ずやり遂げてみせます」

馬場警部補の久しぶりにやる気を感じさせる発言に心打たれた。

皆なぜか身の入り方がいつもとは違う。本部にいるからか。それとも立花警視正に鼓舞されたからか。

「よし、わかってると思うが俺たちが一番他の人口管理班の足を引っ張ってる。俺たちも遅れを取らないように、全身全霊で取り込め。俺からは以上だ。解散!」

こうして我々関東地方の人口管理班も一斉に会議室を飛び出した。

前作の『異人』にも登場しましたが、ここでも「島津さん」が出てきます。前作の島津さんとは縁もゆかりもない赤の他人です。やはり登場人物に戦国武将を当てたくなってしまうので、これからももしかしたら前に登場した苗字が出てくるかもしれません。

この作品を投稿し始めた最初の方で話したと思いますが、この作品の人口管理班の名前は全て戦国武将という他にもう一つ共通点があります。これが分かったらよほどの戦国マニアですね。これからさらに何人か登場しますので、よろしかったら考えてみてください。

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