6話 回復
「よし、入るか」
俺は姉のいる部屋の前に来ていた。
【頑張ってね、天使召喚を使ってさっき私が言った魔法を使えば必ず治るから】
【ありがとう、ラファエル】
後から分かったことだが、俺とラファエルはラファエルが俺の精神世界にいるときでも念話で話せるらしい。
これだったら俺が天使と契約していることは誰もきずかないだろう。
コンコン
姉が起きているかもしれないからノックをする。
返事は帰ってこなかった。
「寝ているな」
俺は、そーっと部屋に入る。
部屋の中は俺と同じような部屋で、きれいにされていた。
この部屋に何度も入っているらしい執事長あたりが清潔にしているのだろう。
いた。
姉は奥のベッドに横たわって眠っていた。
姉のベッドの横まで行く。
「姉さま………」
姉の体には悪魔に取りつかれたかのような黒い模様が体に広がっていて、顔にまで広がっていた。
これは会うのが嫌になるわけだ。
「姉さま今治しますからね」
俺は、一度深呼吸してから言った。
「『天使召喚』」
何かをまとっていく感覚。
「よし!」
どうやら成功したようだ、他人が見ると俺は本物の天使のように見えるのだろう。
俺の背中には天使の羽が二つ付いていた。
早く魔法を! 俺が天使召喚をできる時間は十秒しかない。
姉のほうに手を向け、呟いた。
『天使の治癒』
姉さまの体に光が包まれる。
黒い模様がまるで浄化されるかのように取れていく。
やばい、めっちゃしんどい!
「あと少し………」
俺は、何とか意識をつなぎとめる。
そして………
姉の黒い模様が全て取れたと同時に俺の天使召喚は解除された。
姉は気持ちよさそうに寝息を立てている。
「成功したか………」
俺は、安心して座り込む。
俺は「ふぅーっ」と息を吐く。
【お疲れ様です、クリストフ】
【ああ、ありがとう】
【動けますか?」
【正直言ってかなりやばいな、さっきの光で誰も来なければいいが】
【それは大丈夫ですよ、誰もさっきの光で起きた気配がないですから】
【そうかそれは良かった、よし! 気合いで部屋まで戻るよ】
俺は、体に鞭を打ってふらふらになりながらも何とか立ち上がり歩き始めた。
やばいな………体の疲労と睡魔が一気にくる。
しかし俺は何とか自分の部屋に戻るために歩みを始めた。
「よし何とか戻ってこれた」
自分の部屋に入った瞬間に一気に力が抜けた。
俺は何とかベッドをよじ登り、横になった。
何とか、やり遂げた。
これで姉さまは救われるだろう。
俺は姉のことを思いながら泥のように眠りについた。